リノベ+DIYってどこまでOK?リノベのプロ〔ブルースタジオ〕に聞きました!

中古物件を購入したり、持ち家をリノベーションしたい......。家族も家づくりに参加できるDIYを取り入れれば、コストも下がりそうだし、なにより愛着のわく家になりそうですよね。そもそも、リノベーションでDIYを取り入れることって、どの範囲で可能なのでしょうか?  そこで今回は、数多くのリノベーション事例に携わってきた〔ブルースタジオ〕の石井健さんに、リノベーションの基本的なプロセスから、リノベーションにDIYを取り入れるためのポイントや注意点を伺いました!

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まずはリノベーションの基本的な流れを押さえよう!

〔ブルースタジオ 〕石井健さん

——中古物件や持ち家のリノベーションを検討している方にとって、まず気になるのがリノベーションのプロセスです。物件探しから始める場合、基本的にはどのように進めていくものなのでしょうか?

石井健さん(以下石井さん):物件探しから始める方は、リノベーションを手がける会社に相談するところから始めます。マンションの場合、1年間で供給された新築の戸数より中古マンションの成約件数の方が多くなってるんです(※)。つまり中古マンションの人気が高まっているんですね。

また、リノベーションの会社も増えていますよ。その中でも最近は、コンサルタント的に物件探しや資金計画から考えるところから始めて、デザインをして、工事を経て、納品というところまでを一貫して手がける「ワンストップサービス」を提供するところが多いです。

一方で、持ち家のリノベーションを考えている方は、自分が気に入っているデザイナーや、工務店に直接頼む場合もあると思います。

——リノベーションは素人が参加できない印象がありますが、DIYを取り入れやすい業者もあるのですか?

石井さん:ありますよ。最近では、工事ができるだけではなく、デザインや備品の提供、物とそれにまつわる道具も一緒に提案してくれるような、DIYも取り入れやすい新しいスタイルの工務店も増えてきています。

※:出典「首都圏マンション市場動向2016年(年間のまとめ)」(株式会社不動産経済研究所)

予算が足りない! コストダウンのためにDIYを取り入れるなら?

リノベーション時に、書棚を設置できるスペースのみを作った例。棚は受け渡し後に家主がDIYで作ったのだそう。
(提供:ブルースタジオ )

——リノベーションにDIYを取り入れる場合、コストを下げることは可能でしょうか?


石井さん:基本的に、DIYを取り入れることはアリなのですが、まずはじめに言っておきたいのが、必ずしも「DIY=安くなる」という訳ではないということです。

「道具」「技術」「時間」この3つが足りないと、金額的にも労力的にもコストがかかりすぎてしまい、高くついてしまう場合があります。

逆に、DIYをするメリットは「経験」にあります。家がどうやってできているのか、その作る過程に参加しながら、ものづくりを楽しむ。これを経験していれば、長く住む家にメンテナンスが必要になったとき、プロではなく自分たちでやる、ということもスムーズにできるのではないでしょうか。ちなみに海外では修繕費が高いので、家のメンテナンスはDIYが当たり前、トイレの修理もお手のもの、なんていう家庭も多いですよ。

また、DIYを取り入れて「安くする」ためには、プロがやる施工の範囲と、自分たちがDIYでやる範囲をあらかじめ線引きしておくことが重要になってきます。例えば部屋の壁ひとつとってもそうです。断熱材を入れて……という作業は難しくても、ペンキや漆喰を塗ることなら自分たちでできるという場合は、ペンキを塗る一歩手前のところで引き渡してもらうようにしてもらうといいでしょう。

リノベーション後に家主がDIYで取り付けた収納棚。
(提供:ブルースタジオ )

石井さん:さらに、コストがかかりやすいのが収納家具です。特に造作家具は時間も費用もかかります。DIYを取り入れてコストを下げるなら、壁に取り付けられる形だけ作ってもらって、そこに合わせて自分たちで作っていく方法がいいでしょう。時間の確保が難しい方も、収納家具であれば、少しずつ作り足して行きやすいのではないかと思います。

道具の使い方や、技術がわからない場合は、最近ホームセンターやDIYショップでワークショップも開かれているので、そういったものに参加するといいですよ。〔DIY Factory〕なんかはいい例ですね。もし知り合いや近所にDIYが得意な人がいたら、その人達と一緒にDIYをして技術を身につけていくのもいいと思います。

プロに任せた方がいいところは? 法律にも注意!

——DIYの腕に自信があったり、仲間がいるという方の中には、ほぼ最初からリノベーションをしてみたい! という方もいると思います。その場合、ここだけはプロに任せたほうがいいという注意点はありますか?


石井さん:法律の面でも絶対に素人がやっていけないことが電気工事です。日本の場合は資格が必要なので、無資格の人が配線を繋いだり、分電盤をいじったりということはできません。防火や採光、換気に関わることも同じくプロに任せましょう。

一方で、高い技術を要するという意味でプロに任せたほうがいいのが、木材のフローリング。多少の隙間が気にならなければDIYで問題ありませんが、きれいに貼るのは意外と難しいんです。

あとは、「見えないところ」もプロに任せたほうが安心ですね。骨組みや配管などは、壁で隠してしまうので、そこの施工が甘いと、水漏れなどのトラブルが起きることも。壁で隠しているので、それを取り外して修理するとなると、かなりの手間になってしまいます。

〔ブルースタジオ 〕が設計したDIY可能な賃貸住宅《鵠ノ杜舎》
(提供:ブルースタジオ )

——DIYを取り入れる場合、業者選びの注意点はありますか?

石井さん:材料の持ち込み(施主支給)の対応が大丈夫かどうかなど、DIYをどの範囲でやるか決めて、あらかじめ可能かどうか、そのプランを相談してから業者を決定したほうがいいと思います。持ち込みOKのところもあれば、NGのところもありますから。

——結婚式のプラン決めと似ていますね。

石井さん:
そうですね。特に大手のリノベ会社は難しい場合が多いです。

〔ブルースタジオ〕で頼む場合は?

〔ブルースタジオ 〕が手がけた賃貸物件《Hut》は、自由度高くDIYできる。
(提供:ブルースタジオ )

——それでは、数多くのリノベーションを手がけてきた〔ブルースタジオ〕に任せた場合、どのようなことができるのでしょうか?

石井さん:もちろんリノベーションにDIYを取り入れたい方は大歓迎です。〔ブルースタジオ〕では、先ほどいったように、「何のためにDIYをするのか」というDIYをする目的と、コスト面、施工現場との関係が円滑になるように、コントロールをしていきます。

(提供:ブルースタジオ )

石井さん:もし賃貸住宅も考えているなら、そういったDIYをしやすい賃貸物件を選んでみるのもおすすめですよ。壁を塗装したり、壁紙を貼ったり、棚の設置や、ビスを打つなど、かなり自由度が高いDIY可能の物件や、オーナーに事前相談すればDIYが可能になる物件も取り扱っています。

自分らしいリノベ+DIYに挑戦してみよう♪

石井 健
1969年福岡県生まれ。1992年武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。ブルースタジオ執行役員/建築家・不動産コンサルタント。日本のリノベーション・シーンの黎明期より数多くリノベーションデザインを手掛け、その傍らメディアへの露出、執筆活動も行うなど、活動内容は多岐に渡る。

リノベーション+DIYは、必ずしもコストを抑えられる訳ではないようですが、リノベーション時にDIYをしやすい状態にしておけば、自分の手で家を作り上げていく楽しみができるかもしれませんね♪

自分が持っている道具や、技術のレベルに合わせて、どの範囲でDIYを取り入れるかを決めることで、自分らしい家づくりをスムーズに行うことができそうです。

賃貸でもDIYを楽しめる物件も増えてきており、気になるところ。ぜひ挑戦してみましょう!

●ライター 宇治田エリ

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