
太陽光発電を最大限に活かすために。メンテナンスの重要さと注意点
再生可能エネルギーである太陽光発電は、いまやどこに行っても見かけるようになりました。屋外にある太陽光発電システムはどうしても痛みやすく、定期的なメンテナンスが欠かせません。機器や計器の動作確認、溜まった汚れの除去など、きちんとメンテナンスを行わなければ太陽光を効率良く確保できず、発電効率の低下にもつながります。しかしメンテナンスといっても、どうすれば良いのかわからない人も多いでしょう。今回は、メンテナンスの重要さとその方法、注意点についてお話しします。
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設置前に考えたい汚れの防止法
日常的な汚れは雨が洗い流してくれる
あまり汚れていないように見える太陽光パネルでも、実はホコリや黄砂、鳥のフン、花粉、自動車の排気ガス、油分など、さまざまな汚れが蓄積されています。地域によっては火山が噴火した際の降灰や、海からの潮風に含まれる塩も汚れの原因となるでしょう。汚れが積み重なって層になると、太陽光を効率良く確保することができず、発電量の低下につながる可能性もあるため、注意が必要です。
メーカーや商品によっても多少異なりますが、太陽光パネルの汚れを放置した場合の発電効率の低下は、年間約1~2%だと言われています。これだけを見るとわずかな数値ではありますが、油断は禁物です。太陽光発電を何10年と長く使用していくことを考えると、10年間で約10%、20年間で約20%もの低下となってしまうのです。
しかし、安心してください。一般的に販売されている太陽光発電の多くは、あらかじめこのような発電量の損失を計算して設計されています。したがって、日常で発生するホコリなどの汚れが付着しても、すぐに発電量の低下につながるとは考えにくいでしょう。
さらに、太陽光パネルは、付着した汚れが雨で簡単に流れ落ちるよう傾斜がついています。よほどの汚れや日照り続きでない限りは、自然と雨が降るのを待つだけでOKなのです。雨で汚れが洗い流されると、発電効率も回復するため安心です。
防汚加工が施された太陽光パネルを選ぶ
上記で紹介したように、多少の汚れは雨で洗い流すことができますが、雨が降るまで鳥のフンや黄砂などが付着したままだと、見た目が良いとは言えないでしょう。近所の視線や来客時の印象が気になる方もいるかもしれません。
汚れが気になる方は、太陽光パネルそのものに防汚加工が施されたものを選ぶことも1つの方法です。また、設置前にあらかじめ汚れが付着しにくい塗料を塗って、太陽光パネルをコーティングしておくこともおすすめです。
太陽光パネルの表面に塗料を塗って膜を作ることで、次の2つの効果が得られます。
・防汚効果:ホコリや黄砂などの汚れの付着を防ぐ
・自浄効果:雨によって汚れを浮かし、より流れ落ちやすい状態を作り出す
ただし、知識のないまま塗料を選ぶと効果が十分に発揮されず、思わぬトラブルを招く可能性もあります。発電効率が改善されなかったり、太陽光発電のメーカーによる保証が適用されなかったりと、さまざまな問題が発生することもあるため、注意してください。
また、地域や周辺環境によって汚れの種類も異なります。コーティング剤を利用する際は、必ず太陽光発電のメーカーや販売業者に相談し、環境や風土に合った商品を選ぶようにしましょう。
発電量を保つためにメンテナンスは重要
そもそも太陽光発電には、なぜメンテナンスが必要なのでしょうか? まずはその理由について紹介します。
【定期点検は国の推奨】
太陽光発電システムは、その安定感から設置すると故障するまで問題ないように思えます。しかし、状態を保つには定期メンテナンスが必要です。JPEA太陽光発電協会では4年に1回以上の保守点検を推奨しています。
【発電量を保つ】
そもそも太陽光システムとはどういう仕組みかというと、太陽光がモジュールに当たることで電力を生み出し、パワーコンディショナーで家庭用電流へと変換して使用する仕組みです。晴れの日は良く発電し、雨の日はあまり発電しません。
このことからわかるように、モジュールに光が当たらないと発電量は減ります。外では汚れや傷が付くこともあるため、常に綺麗にしておくことが望ましいです。また接続箱やパワーコンディショナーの不具合、断線などがあると太陽光システムは動かなくなることがあります。
【火災の可能性】
建物に設置する上で気を付けなければならないのは、生き物による断線やほこりによるショートです。機器の接続部分が保護されていたとしても、配線は普段見ないところにあるため、ネズミなどに被膜をかじられることがあります。
また、電気には火災の可能性が伴います。漏電ブレーカーの作動で漏電には気付けても、熱による発火は気付くのが遅れてしまいます。安全性の面から見ても、メンテナンスはとても重要です。
メンテナンスは販売施工業者に依頼するのが一般的
太陽光発電システムのメンテナンスは、通常販売施工業者に依頼をしておこないます。点検方法は、主に「目視」「測定」があり1時間程の時間を要します。点検項目は主に下記のとおりです。
・機器や計器が正常に動いているか
・設備の留め具に緩みはないか
・断線はないか
・腐食、汚れによる不具合はないか
中には自分でのメンテナンスを考える方もいらっしゃいますが、勾配屋根を上るのは大変危険なため、地上からモジュールを見上げる目視点検にとどめておきましょう。
屋上屋根の家なら間近でモジュールの様子が見られるため、もしほこりや鳥の糞などで汚れているときは水で洗い流すと発電量が戻ります。ヒビ割れを見つけたときは販売施工業者へ連絡してください。
また、発電量の記録を付けておくと変化がわかりやすく、おおよその状況が把握できます。晴天なのに発電量が著しく下がっているときは、販売施工業者へ連絡して正式なメンテナンスをしてもらいましょう。
汚れの清掃の依頼もプロへ
雨では落ちない汚れが付着してしまった場合、できるだけ費用をかけずに清掃したいと考える方もいるかもしれませんが、自分できれいにしようと水道水などで磨くのはNGです。屋根にのぼって太陽光パネルを清掃することは、転落事故の危険だけでなく、次のようなリスクも伴います。
・こびりついた汚れを強く擦ることで、太陽光パネルの傷や故障につながる
・濡れたままにしておくことで、塵やホコリが付着しやすくなる
・水道水のカルキ成分により、太陽光パネルの表面が白く濁りやすくなる
・洗剤の流し残しがあると、その油分が汚れの原因になる
また、太陽光発電のメーカーによって適切な清掃方法や洗浄方法が異なります。自己流の誤った方法で清掃すると、その後の保障が適用されない可能性もあるのです。
そこで、落ちない汚れに困った場合は、太陽光発電の清掃・洗浄をおこなう専門業者などに依頼するのがおすすめです。太陽光パネル専用の洗剤や高圧洗浄機を使用するため、太陽光パネルを傷付けることなく、汚れをきれいに洗い流すことができます。
依頼先や費用に注意! メンテナンスで気を付けるべきこと
太陽光発電のメンテナンスで注意するべき点は、主に以下の3つです。
【依頼先】
依頼先は信頼できる販売施工業者にすることが第一です。もし設置した会社が倒産している場合は、近くにある別の販売施工業者かメーカーへ依頼をしてください。ただし、売電メーターは電力会社の持ち物なので、依頼先も電力会社になります。
【メンテナンス費用】
いざメンテナンスとなれば費用の心配があるでしょう。契約時に無償点検の約束を取り交わしていない限り、基本的に費用がかかります。1回のメンテナンスにつき20,000円から30,000円ほどかかるため、これくらいの金額は用意しておくようにしましょう。
また屋根の上の点検は高所作業になりますので、別途で足場の組み立て費用が必要なこともあります。さらにメンテナンスによって不具合や故障が見つかった場合も、別途費用が発生します。先におおよその見積もりをもらっておくと安心です。
売電メーターに関しては、10年単位で取り換えが必要です。これは電力会社によって費用や体制がまちまちで、現在ではメーターの種類や取扱方法が変わっている場合もあります。
【故障が見つかったら】
点検で故障が見つかったら、点検した業者から見積もりの相談があります。もっとも多いのは、パワーコンディショナーの耐久年数経過による故障で、メーカーにもよりますが、200,000円から300,000円ほどかかります。設置後10年以上経っている場合は要注意です。
ただし故障内容によっては保険が適用される場合があります。このときは修理にかかる金額が大幅に変わるため、太陽光発電システム専用の保険だけでなく、住宅にかけている保険も良く確認しましょう。
まとめ
太陽光発電システムは、普段の電気代の節約や売電による利益だけでなく、緊急時の電力供給もしてくれる心強い設備です。その分、いつでも正常に使えるよう定期的なメンテナンスが大切になります。メンテナンスを行うことで、より良い環境づくりができ、発電効率のアップも期待できるため、長く使われている方は太陽光発電システムのメンテナンスを検討してみてください。
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