
耐圧盤工法とは?特徴や費用、注意点をチェック
家の傾きを修整するには、さまざまな手段があります。基礎下に耐圧盤を設置し、ジャッキを使って家の傾きを直す耐圧盤工法も、そのひとつです。とはいえ、工法名だけ聞いてもいまいちピンと来ないのではないでしょうか。「どんな工事をするの?」「料金はどれくらいかかるの?」「どんな家でもできるの?」そんな疑問についてまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
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耐圧盤工法の特徴
耐圧盤工法とは、家の一部の地盤だけが沈下したために傾いてしまった家を水平状態に戻す際に使用する工法です。家の重さをしっかりと支える鉄板「耐圧盤」を用いてジャッキアップしながら、家の傾きを修整していきます。ジャッキを使ったこの工法は、ミリ単位の修正が可能で、沈下量も制限はありません。また、ベタ基礎でも布基礎でも、基礎工法を選ばないのが特徴です。地盤沈下が収束していることや、強固な地盤が浅い位置にあるなどの条件はありますが、確実に家を支持でき、再沈下しにくいメリットがあります。
【施工手順】
まず、家の基礎下にある土を掘り起こし、強固な地盤の上に耐圧盤を設置します。この耐圧盤は、鉄板やコンクリート板などを使って作ったもので、家を持ち上げるのに耐えられるようになっています。その耐圧盤の上に置いたジャッキで、家の傾きを水平になるように修正し、支持フレームを設置してすき間にモルタル材などを使用し、圧力を加えながら充填します。最後に地表部を埋め戻して完成です。
【施工の期間と状況】
工期は全体で2~5週間程度かかります。比較的長めですが、重機類や大型の資材を使用しないため、騒音や振動、粉じんなどが少ないのが特徴です。したがって、近所への配慮も最小限で済むのがメリットと言えます。また、居住者自身も家に居住したまま、引っ越しなどの手間なく施行を進められるのはうれしいところです。
耐圧盤工法の費用
耐圧盤工法は、施工のすべてを手作業で行います。また、ほかの工法に比べると工期も長めになるため、比較的高額になる傾向にあります。金額は、建坪15~20坪の総2階建て換算で、だいたい5,000,000円~7,000,000円が相場です。工法の似ているアンダーピニング工法と比較すれば、小規模のため安めではあります。
なお、費用の幅が大きいのは、家によって、地盤の状態や必要な人員数が前後するためです。納得のいく費用で施工してもらえるよう、何社かに見積もりを依頼して比較するのがよいでしょう。
条件さえそろっていれば、再沈下の可能性は低くなり、再工事の費用もかかりません。また、耐圧盤自体が地震に強い構造をしているため、耐震性も高めです。さらに先述したとおり、家に居住しながら施工できるため、仮住まいや引っ越しの費用がかかりません。
家の傾きを修正する工事にかかる工費は、高価・長期になるほどしっかりと支えて丈夫なものになると言えます。希望する強度と用意できる予算をすり合わせたうえで選ぶといいでしょう。
耐圧盤工法を行う際の注意点
耐圧盤工法で沈下修正を行う場合注意したい点には、下記のようなものがあります。
【沈下が終息していること】
耐圧盤工法は地盤改良を行うわけではないので、地盤沈下が現在でも進んでいる土地での施工には向きません。ただし、地盤沈下が終息するまで待って施工すれば、再沈下の可能性はかなり低くなります。場合によっては、事前に沈下状況の測定を何度か行って沈下が終息していることを確認することになるでしょう。
【支持層が浅い位置にあること】
耐圧盤工法では、傾いた家を支え、沈下した部分にジャッキを設置しますが、その支持層が1m~2m程度の浅い位置にあることにより有効になります。支持層に地盤改良の不要な強固な地盤があれば、かなりの強度を期待できるでしょう。
【沈下範囲が広くないこと】
耐圧盤工法は、家の沈下状況が部分的である場合に修正を行う工法です。沈下が広範囲にわたる場合には向きません。
【残土処理が必要】
大規模ではありませんが、家の基礎下を掘り起こし、沈下部分にはモルタル材などを充填してから埋め戻すため、残土が発生します。その残土の処理が必要になる点には留意しておきましょう。
まとめ
地盤は、一度沈下してしまうと元の高さに戻らないのが厄介なところです。原因はさまざまありますが、家が傾いたままだと、建物そのものが壊れてしまったり、水道管やガス管などを破損させてしまったりする場合があります。何より、その家に住む人自身の体調に悪影響を及ぼす原因になってしまいます。
今回ご紹介した耐圧盤工法は、ミリ単位の修正ができるため、条件さえそろえば大規模な工事を行わなくても、安心して生活できる家に戻すことが可能です。これから先も長く住む家ですから、何社かの施工業者に見積もりを依頼し、比較して、納得のいく費用で施工してもらうようにしましょう。
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