
相続手続きで納税証明書が必要になる場面とは? 種類や手続きも紹介
相続など各種の手続きのなかで、納税証明書が求められることがあります。そもそも納税証明書とはどういったもので、どんな場面で必要となるのでしょうか。また、入手するまでにはどんな手続きが求められるのでしょうか。税理士がわかりやすく解説します。
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納税証明書と必要になる場面
納税証明書とは、納付すべき税額や納付済みの税額などが記載された書類です。書類があれば、納税額や納付状況を証明することができます。税金には、法人税、所得税、相続税などの国税と、住民税などの地方税があり、それぞれの課税主体で、納税証明書を取得することができます。
納税証明書の種類について知っておこう
国税の納税証明書には、以下のとおり、いくつかの種類があります。
(1) 税額の証明
納付すべき税額、納付した税額、未納税額等を証明します。
(2)所得金額の証明
所得金額の証明書であり、個人は申告所得税および復興特別所得税に関する所得金額、法人は法人税に関する所得金額を証明します。
(3)税の未納がない証明
未納の税額がないことの証明書であり、税目を指定した「その3の2」(申告所得税および復興特別所得税と消費税及地方消費税)や「その3の3」(法人税と消費税及地方消費税)の証明もあります。
(4)滞納処分を受けていない証明
証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないことを証明します。滞納処分とは、法定の納期限など、既定の期日までに納付されない税金について、滞納となっている税金等を強制的に徴収するため、財産を差し押さえるなどの手続きを実施することをいいます。
納税証明書の提出を求められるケースとは?
納税証明書の提出を多く求められるのは、金融機関で融資を受ける場合です。
納税証明書を利用する目的はさまざまあるものの、代表的なものとしては、滞納している税金の有無を確認して、当事者の信頼性をチェックすることが挙げられます。融資は返済が滞ることがあるため、金融機関は貸付を実施する前に、借入を希望する人の信用情報を調べます。その一環として、納税証明書の提出を求めることが多くなっています。
被相続人(亡くなった人)に借入金があり、借入金を引き継ぐ場合に、金融機関から納税証明書の提出を求められることもあります。この場合は、被相続人と相続人の双方について求められることがありますので、留意しましょう。
そのほか、店舗の賃貸契約を結ぶ場合に、所得と納税額を証明する書類として、納税証明書の提出を求められることもあります。これも、融資を受ける場合と同じく、借入を申し込む人の信用調査の一環として、提出が求められています。
また、営業許可を申請する際の添付書類として提出を求められることもあります。
納税証明書の請求方法
国税の納税証明書は税務署の窓口での請求、郵送による請求、オンラインによる請求の方法で取得することができます。一方、地方税の納税証明書は、原則として区市町村の担当窓口または郵送での請求が可能です。
納税証明書請求の注意点
国税の納税証明書を取得する際は、取得方法に併せて書類を用意する必要があります。以下でそれぞれの方法について解説します。
まず、税務署の窓口で納税証明書を取得する方法です。なお、窓口または郵送で請求する場合は、次の算式による手数料を支払う必要があります。
・(1) 税額の証明と(2)所得金額の証明の場合
税目数×年度数×枚数×400円
・(3)税の未納がない証明と(4)滞納処分を受けていない証明の場合
枚数×400円
そして、納税証明書を取得する際に準備する書類は以下のとおりになります。
必要事項を記載ずみの納税証明書交付請求書
手数料の金額に相当する収入印紙または現金
本人確認書類(運転免許証など)、マイナンバー確認書類
本人(法人の場合は代表者)から代理人への委任状
本人が窓口に行く場合は本人(法人の場合は代表者本人)の本人確認書類、代理人が窓口に行く場合は代理人の本人確認書類が必要です。マイナンバー確認書類は本人のものが必要です。法人の場合は不要です。
委任状は必須ではありません。代理人が窓口に行って取得する場合にのみ必要となります。
以上の書類と手数料を持参して窓口で申請すれば、国税の納税証明書を取得できます。
納税証明書を請求する方法
続いて、郵送で納税証明書交付請求書を送付する方法です。郵送で請求する場合は、以下のものを同封して請求します。
必要事項を記載ずみの納税証明書交付請求書
手数料の金額に相当する収入印紙
切手を貼った返信用封筒
個人の場合は、マイナンバー確認書類のコピー、本人確認書類のコピー
オンラインで交付請求する方法についても知っておきましょう。この場合は、3種類の受け取り方法があり、受け取り方法によっては、電子証明書を準備する必要があります。オンラインで請求する場合は、手数料の単価が370円と少し安くなります。
まず、オンラインで交付を請求して税務署の窓口で納税証明書を受け取る方法です。この場合、電子証明書は不要で、スマートフォンやタブレットからも納税証明書の交付請求をすることができます。
税務署の窓口で納税証明書を受け取る場合、以下の書類の持参が求められます。
本人(法人の場合は代表者本人)であることが確認できる本人確認書類(運転免許証など)
マイナンバー確認書類((個人の場合のみ)
手数料の金額に相当する収入印紙または現金
代理人が受け取りに行く場合は、委任状も必要になります。
続いて、オンラインで請求して納税証明書を郵送で受け取る方法です。この場合は、電子証明書が必要になります。
電子署名を付与し、電子証明書を添付してe-taxで交付請求を行うことで、納税証明書を郵送で受け取ることができます。この場合は、手数料と郵送料をインターネットバンキングなどで電子納付する必要があります。
最後に、納税証明書をPDFファイルなどの電子形式で受け取る方法です。こちらも、電子証明書が必要です。電子署名を付与し、電子証明書を添付してe-taxで交付請求を行うことで、納税証明書を電子形式でダウンロードすることが可能です。
このように、国税の納税証明書は複数の方法で取得することが可能です。地方税については、区市町村の役所等に確認すると良いでしょう。
まとめ
納税証明書は各種手続きで提出を求められることがあります。都合に合わせて、必要な書類を取得しましょう。
もし方法がわからない場合は、お近くの税務署または区市町村の役所等に問い合わせるとよいでしょう。
(記事は2021年11月1日時点の情報に基づいています)
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