通夜、葬儀、告別式は何が違うの?特徴や流れ、それぞれの種類などを徹底解説
親族など近しい人物が亡くなると、その遺族は通夜や葬儀を開くケースが一般的です。しかし、通夜や葬儀は頻繁に開かれるものではないので、「通夜と葬儀の違いがわからない」「告別式とは何が違うの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、通夜と葬儀、告別式の各特徴についてご紹介していきます。
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■通夜、葬儀、告別式の違いって?
通夜と葬儀、告別式は、いずれも近しい人物が亡くなった際に開かれる儀式を指します。
ただし、各儀式はそれぞれ異なる意味合いを持っているので、まずはその違いから理解していきましょう。
【通夜】
通夜は故人を葬る前に開かれる儀式です。故人と親しかった親族や知人などが集まることで、邪霊から故人の体を守ることが本来の目的とされていました。
しかし、現代ではこの通夜の目的も少しずつ変わってきており、葬儀や告別式に出席できない方のために、「最後のお別れの場を設ける」といった目的で開かれるケースも見られます。
このような変化により、近年では通夜が夜通し開かれるケースは減ってきており、数時間のみ開かれる「半通夜」が増えてきています。
通夜の時間はケースによって異なりますが、半通夜の場合は1時間~3時間程度が一般的です。
【葬儀】
葬儀は通夜の後に開かれるケースが一般的であり、主な目的は「故人の冥福を祈ること」です。
実際の葬儀では故人の冥福を祈るために、僧などを読んでお経を読んでもらいます。
ただし、葬儀は信仰する宗教によって形式が大きく異なり、故人や喪主の宗教に合わせて参列をすることが基本的なマナーとなります。
近年では単に宗教に則って開くだけでなく、家族葬など故人の生前の希望を実現する形で開かれるケースも増えてきています。
【告別式】
親族や知人などの参列者が、故人に最後のお別れをする儀式のことを告別式と言います。こちらも宗派などによって形式は異なりますが、日本では参列者全員が故人に対して焼香をするケースが一般的です。
近年では、上記で挙げた葬儀と告別式を同時に行うケースも少なくありません。
そのため、葬儀と告別式の間に明確な違いはなくなってきており、単に葬儀という場合は告別式を含むケースも多いので注意しておきましょう。
■通夜の種類とそれぞれの特徴と流れ
上記でご紹介した通夜には、いくつかの種類が存在しています。
いずれの種類も目的は変わりませんが、具体的な流れが異なるので以下でしっかりと確認しておきましょう。
【仮通夜】
親族だけでなく知人が参列する通夜も多く見られますが、中には家族だけで通夜を開く場合もあります。
このように特に親しい人物のみで開かれる通夜を「仮通夜」と言い、仮通夜では基本的に親族以外の人は参列しません。
実際の仮通夜は、故人の遺体を病院から自宅へと運んでから開かれます。
また、中には知人が自宅へと尋ねるケースも見られますが、長居は避けることがマナーとされています。死因を尋ねることもマナー違反とされているので注意しておきましょう。
近年では、遺体を病院から自宅へと運ぶことが減ってきたので、仮通夜が開かれるケースも減少してきています。
ただし、病院によっては病院内で仮通夜を行えるので、「どうしても」という場合は病院に相談をしてみましょう。
【本通夜】
親族はもちろん、それ以外の知人も一般的に参列が認められている通夜のことを「本通夜」と言います。
単に「通夜」という場合は、この本通夜を指すケースが一般的です。
宗派や家庭によっても異なりますが、本通夜は通常1時間程度で終わる場合が多く、読経のために僧を迎えて開かれます。
読経は30分~1時間ほどであり、その間に参列者は順番に焼香をします。
僧の読経や法話などが済み、喪主が参列者に対して挨拶をすると本通夜は終了です。
【通夜ぶるまい】
本通夜が終了すると、参列者に対して飲食がふるまわれます。
これを「通夜ぶるまい」と言い、喪主や親族が参列者に対して感謝の意を示すために開かれます。
通夜ぶるまいでは、たとえお腹がすいていなかったとしても、食事に箸をつけることがマナーとされています。
また、地域によって出される食事やマナーには違いが見られるので、各地域のマナーに合わせることが大切です。
一般的に通夜ぶるまいは1時間ほどで終了するケースが多く、1時間経過した頃に喪主が挨拶をして終了となります。
■葬儀の種類とそれぞれの特徴と流れ
葬儀も通夜と同じように、複数の種類が存在しています。
特に近年は葬儀の種類が増えてきており、喪主や親族は金銭面やスケジュール、参列者などを想定した上で、都合の良い葬儀の種類を選ぶことが大切です。
以下では、主な葬儀の種類と特徴を解説していくので、ご自身のシーンに適した種類を見極めてみましょう。
【一般葬】
親族だけでなく故人の知人や同僚など、一般の参列者が多く集まる葬儀のことを「一般葬」と言います。
葬儀の中で最も一般的な形式であり、大規模な葬儀になる点が特徴的です。
進行については宗教儀礼が中心になるケースが多く、僧がお経を読んでいる間に参列者が焼香をします。
読経や焼香が終わると僧が法話や説教を行い、喪主が挨拶をして終了となります。
【家族葬・密葬】
故人と親しかった親族のみを集めて、執り行う葬儀のことを「家族葬」や「密葬」と言います。
ただし、家族葬や密葬の参列者に細かいルールは存在しておらず、特に親しかった知人が家族葬に参列するケースも見られます。
家族葬や密葬は規模が小さいので、喪主や遺族の負担を大きく抑えられます。
「故人の冥福をゆっくりと祈りたい」「故人とのお別れの時間を大切にしたい」などと考えている方に向いている種類と言えるでしょう。
具体的な流れに関しては、一般葬と大きな違いはありません。
【直葬】
特別な会場を用意せず、火葬場で故人とお別れをする方式のことを「直葬」と言います。
一般参列者に対しての葬儀は行われないので、ほかの葬儀と比べると規模は小さくなります。
直葬のメリットは、遺族の経済的負担や身体的負担を抑えられることです。
ただし、その反面で一般参列者が参列できないというデメリットがあるので、故人の知人にはあらかじめ説明をしておく必要があるでしょう。
また、お布施や戒名に関しても事前に菩提寺と話し合っておくべきです。
トラブルが生じやすい形式なので、事前に一般参列者と菩提寺などの理解を得ておくことが大切なポイントです。
【社葬・団体葬】
主に会社や団体に向けて執り行われる葬儀のことを、「社葬」や「団体葬」と言います。
会長や社長など、重要な役職に就いている方が亡くなった場合に開かれることが多い葬儀です。
社葬や団体葬は、ほかの葬儀に比べると大規模になりやすい特徴を持っています。広い会場も必要になるので、費用が多くかかる点には注意をしておきたいところです。
なお、一般葬と社葬を同時に執り行う方式は「合同葬」と呼ばれており、合同葬ではさらに規模が大きくなるでしょう。
具体的な流れについては、一般葬と大きな違いはありません。
【生前葬】
本人が亡くなったタイミングではなく、生きている間に葬儀を開く形式を「生前葬」と言います。
生前葬では本人が喪主を務めるので、本人が希望する通りの葬儀を生前に実現することができます。
生前葬の流れは基本的に自由ですが、生前葬は一般的に広く普及している形式ではないので、喪主は参列者への配慮を忘れてはいけません。
参列者を困惑させないように、葬儀の目的や流れなどを事前に知らせておく必要があるでしょう。
【市民葬・福祉葬】
喪主や親族の中には、「経済的な部分で葬儀を開くことが難しい」と悩んでいる方もいることでしょう。
そのような方々に対して、市区町村などの自治体がサポートを行って執り行われる葬儀のことを「市民葬」や「福祉葬」と言います。
市民葬や福祉葬は、喪主が住んでいる自治体で利用できる可能性があります。経済面でお悩みの方は、お住まいの地域の情報を一度調べてみましょう。
なお、市民葬や福祉葬の流れについては、シンプルな形式のものが主流となっています。
上記でご紹介した以外にも、流れが特に決められていない「自由葬」、海や川などに遺骨を散骨する「自然葬」などさまざまな種類があります。
葬儀の必要性に迫られた場合には、故人や親族などの意志をしっかりと確認した上で、多くの方が納得できる形式を選ぶことが望ましいでしょう。
■宗教ごとの通夜・葬儀の違い
葬儀の内容は、故人や親族が信仰する宗教によっても大きく異なります。
世界にはさまざまな宗教が存在していますが、以下ではその中でも主な3つの宗教について葬儀の特徴をご紹介していきましょう。
【仏式葬】
自宅や会場に僧を招き、読経や説教などをしてもらう方式が「仏式葬」です。
日本においては最も一般的な形式であり、熱心な仏教徒でなくても仏式葬を選ぶケースは珍しくありません。
仏式葬を執り行う場合は、葬儀社や菩提寺に事前に連絡を入れて、葬儀の流れや会場を決めていきます。
ただし、天台宗や真言宗などの宗派によって葬儀の内容が異なる可能性もあるので、時間に余裕のある場合は信仰する宗派の形式を事前に調べておくことが望ましいでしょう。
【神式葬】
主に神社などの神官が執り行う葬儀のことを「神式葬」と言います。
一般的には、故人の自宅などに神官を招いて執り行われるケース、葬儀場などの会場で執り行われるケースが多くなっています。
神式葬の流れは仏式葬に似ていますが、焼香や香典などいくつか違いが見られます。神式葬では焼香の代わりに、玉串を供える「玉串奉奠(たまぐしほうでん)」を行います。
また、香典の代わりに「御玉串料(おたまぐしりょう)」を包む点も仏式葬との違いです。
【キリスト教式葬】
キリスト教式葬は一般的な葬儀場や神社などではなく、教会で葬儀が執り行われます。
参列者が讃美歌を歌う点、焼香の代わりに献花を行う点などが特徴的であり、神父を中心に進行していきます。
ただし、キリスト教式葬も宗派によって内容が異なるので注意が必要です。
例えば、プロテスタント系では葬儀と告別式が一緒に執り行われますが、カトリック系では葬儀と告別式が明確に分けられています。
ほかにも通夜祭や前夜祭の有無、神父の呼び名なども宗派によって異なるので、キリスト教式葬に参列する予定の方は事前に確認しておくことが望ましいでしょう。
上記の中でも、日本人の約9割は仏式葬を執り行うとされていますが、中には宗教に縛られない葬儀を執り行うケースも見られます。
そのような葬儀は「無宗教葬」と呼ばれており、特に細かいルールなどは決められておりません。
無宗教葬では僧や神父などを呼ぶことはなく、喪主と参列者によって葬儀が進行していきます。
葬儀を開くとなると、親族や知人だけでなく参列者も事前に準備をしなければなりません。
上記の宗教による違いを理解した上で、適切な準備を進めるようにしましょう。
■通夜と葬儀どちらに参列するべき?
「通夜か葬儀のどちらかにしか参列できない」といった経験はありませんか?
もちろん、可能であれば通夜と葬儀の両方に参列することが望ましいですが、仕事などの都合で参列が難しい場合もあるでしょう。
前述でご紹介した通夜と葬儀の目的から判断すれば、このようなケースでは葬儀に参列することが望ましいと言えます。
ただし、現代では通夜と葬儀の目的が少しずつ変わってきており、葬儀に参列することが難しい参列者のために通夜が開かれるケースも多いので、どちらに参列しても大きな問題にはならないでしょう。
どちらに参列するべきかを決める上で特に注意しておきたいのが、通夜と葬儀の時間です。
近年の通夜は1時間~3時間の短時間で終わるケースが見られますが、葬儀(告別式)に関しては基本的に日中執り行われます。
その点に注意をして、参列する儀式を決めるようにしましょう。
なお、香典を渡すタイミングに関しても、通夜・葬儀のどちらでも構いません。
通夜にも葬儀にも参列することが難しい場合には、後日弔問した際に渡すか、それが難しければ郵送で渡すことを検討してみましょう。
■まとめ
今回ご紹介した通夜と葬儀は、いつ必要に迫られるのかわからない儀式です。
準備不足に陥ると心身ともに疲れ果ててしまうので、可能であれば必要に迫られる前に情報収集をしておくべきでしょう。
種類による違い、宗教や宗派による違いをしっかりと理解した上で、余裕を持って準備を進められるよう知識をつけておきましょう。
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