遺族年金「もらえる条件」国民年金・厚生年金でどう違う

「年金」は老後にもらえる「老齢年金」だけではありません。「国民年金」や「厚生年金」。わたしたちが加入するこれらの公的年金は、老後の生活を支える柱です。また同時に、一家の大黒柱が亡くなった場合、遺された家族の暮らしを守る機能も持っています。それが「遺族年金」です。亡くなった人が加入していた年金制度、そして遺された家族の状況によって支給される内容が違います。今回は、配偶者が亡くなったときの年金について、分かりやすくまとめていきます。

本サービス内ではアフィリエイト広告を利用しています

  • 43
  • 0
  • 0
  • いいね
  • クリップ

「年金」は老後にもらえる「老齢年金」だけではありません。

「国民年金」や「厚生年金」。わたしたちが加入するこれらの公的年金は、老後の生活を支える柱です。また同時に、一家の大黒柱が亡くなった場合、遺された家族の暮らしを守る機能も持っています。

それが「遺族年金」です。

亡くなった人が加入していた年金制度(国民年金もしくは厚生年金)、そして遺された家族の状況によって支給される内容が違います。

今回は、配偶者が亡くなったときの年金について、分かりやすくまとめていきます。

国民年金・厚生年金「遺族がもらえる年金」はどう違う?

「遺族年金」は、年金受給者や一家の大黒柱が亡くなったとき、その人に生計を維持されていた遺族が「一定の条件」のもとで受給できます。

冒頭でお伝えしたように、故人が国民年金・厚生年金のどちらに加入していたかで、遺族が受け取る年金の内容に差が出ます。まずは、もらえる遺族年金を整理します。

国民年金加入者(自営業など)の場合

⇒「遺族基礎年金」

厚生年金加入者(会社員や公務員など)の場合

●子のある配偶者(※1)、または子⇒「遺族基礎年金」+「遺族厚生年金」

●上記以外の遺族(子のない妻(※2)・父母・孫・祖父母)⇒「遺族厚生年金」

 

※1…夫は55歳以上
※2…30歳未満の場合は5年間の有期給付

遺族年金の基本ルール「国民年金・厚生年金」共通

では、国民年金・厚生年金いずれに加入していた場合も共通する、遺族年金の基本的なルールを確認します。

遺族年金のルール

遺族年金は非課税である…老齢年金は所得税・住民税の課税対象

再婚した場合は支給停止となる…内縁・事実婚を含む

遺族年金と老齢年金は「原則同時に受給できない」…「1人1年金」の原則(後述)

次では、遺族年金の受給条件などについて、「遺族基礎年金(国民年金の部分)」「遺族厚生年金(厚生年金の部分)」に分けて整理していきましょう。

国民年金:「遺族基礎年金」を知る

国民年金に加入している人が亡くなったとき、一定の条件を満たす場合、遺された家族は「遺族基礎年金」を受給できます。

遺族基礎年金を受け取れるケース

●亡くなった人に生計を維持されていた「子がいる配偶者」と「子」のみ

「子」には年齢制限がある

⇒「18歳になる年度の末日を経過していない子ども」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子ども」

遺族基礎年金の支給額(2021年4月~)

78万900円+子の加算(※)

※子の加算 第1子・第2子…各22万4700円、第3子以降…各7万4900円

 

(注)子が遺族基礎年金を受給する場合の加算は第2子以降について行い、子1人あたりの年金額は、上記による年金額を子供の数で除した額。

遺族基礎年金の注意点

●子どもがいない妻や夫、20歳を超えた子どもなどは支給対象外

⇒子どもが条件を満たさなくなると、支給停止となる

●故人が生前、国民年金保険料をしっかり納めている必要がある

⇒「加入期間の3分の2以上が保険料納付済」もしくは「死亡月の前々月までの1年間に保険料滞納がない(2026年4月1日前に、65歳未満で亡くなった場合)」

死亡一時金・寡婦年金

亡くなった人が第1号被保険者の場合、子どもがいない妻の場合は遺族基礎年金を受け取ることができません。ただし、

亡くなった夫が第1号被保険者として10年以上国民年金保険料を納めていること

亡くなった夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していないこと

などの条件を満たしている場合は、妻が60歳~65歳の間であれば「死亡一時金」か「寡婦年金」を受給できます。

参考:日本年金機構「

」「

」「

」「

厚生年金:「遺族厚生年金」を知る

会社員や公務員など、国民年金の第2号被保険者で一定の条件を満たす人が亡くなった場合、その人によって生計を維持されていた家族が受け取れる年金です。

遺族厚生年金を受け取れるケース

●亡くなった人に生計を維持されていた「配偶者」、「子・孫」、「父母・祖父母」

妻…夫の死亡時に30歳未満でかつ子のいない妻は、5年間の有期給付

夫…55歳以上。遺族基礎年金を受給中の場合に限る。

子・孫…「18歳になる年度の末日を経過していない」もしくは「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級」

父母・祖父母…支給開始は60歳から

遺族厚生年金の実際の金額は現役時代の収入が反映されます。日本年金機構のホームページ内にある「

」でシミュレーションができます。

遺族厚生年金「妻が遺されたら・・・」

では、最も多いパターンである「妻が遺された場合」の注意点をご紹介します。「遺族厚生年金」に関して、妻が遺された場合は下記の点も知っておきましょう。

妻が65歳以上の場合

妻が65歳になると中高齢寡婦加算は支給停止となり、自分自身の老齢基礎年金が支給されます。妻が専業主婦であった場合、「遺族厚生年金」と「妻の自身の老齢基礎年金」を受給することになります。

妻が65歳から老齢厚生年金を受給する場合

妻自身に厚生年金に加入していた期間があると、自分の老齢厚生年金が優先的に支給されます。自分の老齢厚生年金のほうが遺族厚生年金よりも多いと、遺族厚生年金は全額支給停止となります。

妻が40歳以上65歳未満の場合

夫の厚生年金被保険者期間が20年以上あって条件を満たす子どものいない妻には、遺族厚生年金に加えて「中高齢寡婦加算」が支給されることがあります。

参考:日本年金機構「

」「

)」

「まさかの時」は突然訪れる!~お金の準備と年金知識~

総務省統計局の「家 計 調 査 報 告 家計収支編 2020年(令和2年)平均結果の概要」では、単身世帯(平均年齢58.5歳)の消費支出額は15万506円です。あくまでも目安額ではありますが、パートナーに先立たれた場合、遺された側はこの程度の生活費を1人で捻出していく必要があります。

仮に「夫婦ともに年金暮らしで、国民年金の受給者である夫が先に亡くなった」というケースであれば、妻は遺族基礎年金の支給対象ではありません。よって、相当な金額を、公的年金以外の収入、もしくは貯蓄の切り崩しに頼ることになります。

現役世代の私たちにとって、老後の生活は思いのほかに長くなるかもしれません。若いころからコツコツと資産形成を続けるとともに、夫婦の年金の加入状況を把握しておきましょう。

また、公的年金制度の「使えるしくみ」はぜひ積極的に検討したいものです。在職老齢年金を受給しながら働く、年金受給開始を繰下げて、もらえる年金額を増やす、といった裏ワザ的な選択肢もあります。

ただし、働き続けるには「気力と体力」が、繰下げ受給をするには「受給開始までの老後資金」が必要となります。いずれも一朝一夕で手に入るものではありません。

「まさかのとき」は突然訪れます。

備えあれば憂いなし。老後資金と年金に関する知識は、若いころから「蓄えて」おかれることをオススメします。

参考資料

日本年金機構「

日本年金機構「

日本年金機構「

日本年金機構「

日本年金機構「

日本年金機構「

日本年金機構「

日本年金機構「

日本年金機構「

日本年金機構「

総務省統計局「

  • 43
  • 0
  • いいね
  • クリップ
コンテンツを違反報告する

関連キーワード

関連アイデア

カテゴリ

このアイデアを投稿したユーザー

くらしとお金にまつわる経済ニュースをわかりやすくお伝えします。LIMOでは、人生をより豊かにするためのくらしやお金のヒントとなる情報や、気になる時事ネタ、厳選し…

LIMO[リーモ] くらしとお金の経済メディアさんの他のアイデア

コラムのデイリーランキング

おすすめのアイデア