園芸「バラ栽培の基礎」について
バラ園のプロが教える「本当に必要なバラの栽培テクニック」を、写真付きで分かりやすく解説します。美しいバラを育てるためには、いくつかのポイントがあります。病気にならずに健康的に育てて、見事な花を咲かせ、バラのある暮らしをぜひ楽しみましょう!
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バラ園のプロが教える「本当に必要なバラの栽培テクニック」を、写真付きで分かりやすく解説します。美しいバラを育てるためには、いくつかのポイントがあります。病気にならずに健康的に育てて、見事な花を咲かせ、バラのある暮らしをぜひ楽しみましょう!
苗の種類と選び方
よい苗選びはバラ育ての基本。バラの苗の種類と選び方を紹介します。
*苗の種類
秋から冬に出回るのが「大苗」、春に出回るのが「新苗」
バラ苗には、おもに「大苗」と「新苗」の2種類があります。大苗は夏から冬につぎ木し、約1年後の9月末から翌年3月までの間に出回る苗。新苗は夏から秋に芽つぎするか、冬に切りつぎをして数か月後の春に出回る苗です。店頭でよく見られる、プラスチックのロングポットに仮植えされた大苗。太い枝についた新芽が伸びて、しっかりした枝葉が出はじめているよい苗。※参照:よい大苗(画像1)
▲よい大苗(画像1)1本でも太く、しっかりした枝がある大苗なら丈夫に育つ。つぎ口部分も自然で、健全でよい苗。※参照:よい大苗(画像2)
▲よい大苗(画像2)根巻き苗。従来よく見られた大苗で、根を水ゴケやピートモスで巻き、不織布やネットなどでくるんだ状態で売られている。購入後すぐ植えつけない場合は、 根を乾かさないように管理する。※参照:根巻き苗
▲根巻き苗【よい大苗】切り口の木質部分が多く、枝にシミがないものがよい。白い髄はあまり大きくなく、中心に少し残る程度が充実したよい枝。
【悪い大苗】細く貧相な枝ばかり数本出ている苗は避ける。この苗は、つぎ口部分も枯れ込んで、枝が傷んで赤紫色のシミが出ている。
*よい大苗の選び方
1本でも太くて堅い枝がある苗がよい!
大苗は秋~冬(9月下旬から3月ごろ)まで、枝だけの状態で流通します。最近はロングポットに仮植えされた苗が主流です。品種や時期にもよりますが、以下の点に注意してよい苗を選びましょう。
●1本でも堅く太い充実した枝(直径1.5〜2㎝)があればよい。または、枝が細くても堅く締まった枝であれば問題ない。冬期は、樹皮が寒さに当たって赤紫色に変化した苗(*)がよい。
*品種によって、樹皮の色などは異なり、冬でも緑色が濃いものもある
●つぎ木部分をチェックして、つぎ口がはがれかけていたり、枯れ込んでいるものは避ける。
●9~11月、2~3月の苗は、芽がふくらんでいるものがよい。
●傷みによる赤紫色のシミ、切り口の木質部分にシミがあるものは避ける。
*よい新苗の選び方
【よい新苗】葉に病気がなく太くがっちり育っているものがよい
▲よい新苗【悪い新苗】枝が細く、下葉が落ちて全体の葉も少ない。つぎ木部分が不安定でぐらぐらしたものは健全に育たないので選ばない
▲悪い新苗葉に病気がなく太くがっちり育っているものがよい
新苗は、春4月から夏まで出回る若い苗で、枝が1本伸びて蕾がついた状態で売られていることが多いです。よい新苗は、以下の点に注意して選びましょう。
●葉色がよく、葉が多く茂っているもの。
●節間が間のびしていないもの。
●病気や害虫の食害がないもの。葉裏を見て、ハダニなどがついていないもの。
●台木の太さと枝の太さが、ほぼそろっている。
●新芽が動いているか、または蕾がついているものがよい。
●品種名のラベルがきちんとついているもの。ラベルは成育上のポイントを知る大切な情報源。
●同品種が複数鉢もある場合はよく見比べて、他と極端に形状が違うものは避ける。全体をチェックし、ラベルなども参考にして、納得のいく苗を選ぶ。
▲蕾がついている新苗。
*教えて!苗選び Q&A
Q.「よい大苗は枝が3本」って本当?
「枝が3本出ているものがよい苗」とよく聞きますが、すべてに当てはまることですか?
A.品種によって見方は違う!
バラにはさまざまな系統、品種があり、それぞれが性質、特徴、樹形は異なります。ゆっくり成長するもの、ある時期にのみ成長し、あとはほとんど伸びないもの、また、枝数のふえ方や長さなども品種によってさまざまです。
バラは大きくなることが必ずしも健全とは限りません。大切なのは、病気にかからないように注意しながら、その品種の性質を理解して育てることです。そうすれば、自ずとよい花が咲くはずです。
Q.乾いた輸入苗はもう駄目
ネット通販などで海外からバラの苗を購入しましたが、裸苗でビニール袋などに密封して送られてきました。全体が乾いていて、新芽がしおれてしまっています。このまま育てられるでしょう
A.適切なケアをすれば大丈夫
輸入苗は、植物検疫を受ける関係で根洗いされた状態で日本にやってきます。苗は日本に届く前に発芽がしていることもあり、発芽状態で乾燥した苗は、根もしおれていますから、そのまま植えつけても根づく可能性は低いといえます。
すぐに白いもやしのように伸びた新芽を1〜2㎝残して切りとり、株全体をバケツなどにつけて十分給水させてから、殺菌剤で消毒します。このような苗は根に傷がついていることが多いので、雑菌の多い庭に直接植えると根が腐ったり枯死することがあります。
はじめは、雑菌のない清潔な水はけのよい用土を使用して鉢植えにし、しっかり根づいてから庭に植えることをおすすめします。
バラ栽培に必要な資材と用具
それぞれの特徴や効果を理解し、自分の栽培条件に合わせて必要なものをそろえましょう。
*用土、肥料、土壌改良材
鉢植えや庭植えに必要な用土や肥料は品質を吟味しましょう。有機物は完熟のものを選ぶのがポイントです。■赤玉土
鉢栽培に最適な基本の用土で、通気性、保水性、排水性に富む。中粒と小粒が使いやすい。■パーライト
真珠岩を急激に高温高圧処理した多孔質の無菌用土。通気性、排水性がよい。■バーミキュライ
蛭石を焼いたもので多孔質。通気性、保水性、保肥性に富む。■ピートモス
堆積した水ゴケなどが腐熟したもので、排水性、保水性に富み、保肥性を高める。■もみ殻くん炭
もみ殻を炭にしたもの。通気性、排水性にすぐれ、根腐され防止にもなる。植えつけ、土壌改良材にも利用できる。
■完熟堆肥
家畜のふん、ワラや草などを積んで発酵させたもの。水はけ、水もちのよい土にするため、植えつけ時や寒肥に使用。■油かす
ダイズやナタネなどの種子から油をとったあとの搾りカス。チッ素成分が多い。■骨粉
家畜の骨を原料とする肥料。微生物分解による花、実、根に必要なリン酸成分が多い■ぼかし肥料
鶏ふん、米ぬかなどの有機物を発酵させて、肥効をぼかした(穏やかにした)肥料。■熔成リン肥
リン酸を多く含む有機質肥料■硫酸カリ
水に溶けやすい速効性の肥料でカリ分を多く含む。■ミリオン
根腐れ防止剤。鉢植えの植えつけ、植え替え時に少量与えるとよい。
* 鉢
お洒落なテラコッタ(素焼き鉢)、軽量なプラスチック(合成樹脂)製の鉢など、いろいろな種類の鉢がありますが、栽培する場所や条件に合わせて、育てる鉢を選びます。■駄温鉢
一般的によく使われる鉢■プラスチック製の深鉢
軽くて乾燥しにくいのでベランダ栽培におすすめ
*ジョウロ
丈夫で安定感のあるものを選びましょう。8ℓぐらいの容量が使いやすい。
*スコップ(ショベル)
庭への植えつけや移植、施肥時などに使います。先がとがった剣先タイプ、平らな四角形のものなどがありますが、使いやすいものを選びましょう。
*土入れ
鉢への植えつけや移植時に、苗や鉢のすき間に土を入れるのに便利。
*ノコギリ
バラの枝はかなり太くなるのでノコギリを使うことがあります。小型の使いやすいものが1本あれば便利です。
*剪定バサミ
バラ栽培には大変重要な用具。手にとってみて、重さなども確認し、自分の手になじむ使いやすいものを選びます。ケース付きは腰に下げられ、作業時が楽。
*結束資材
枝を支柱に結びつけたり、つるバラを誘引するために結束資材が必要です。自然に劣化する天然素材のものがおすすめ。
*革手袋
鋭いバラのトゲから手を守るため、革素材などでトゲを通さない丈夫なガーデニング手袋が必要です。
*噴霧器
薬剤を散布する際に使います。育てているバラの本数や大きさに合わせて、使いやすいサイズや、容量のものを選びます。写真は、乾電池を使うポンプ式。
*使って便利! バラ専用土&肥料
おもに鉢栽培に便利な、バラ専用の培養土や肥料があります。苗や目的に合わせて、上手に利用してください■京成バラ園の土
苗をしっかり根づかせる土。大苗を植えるときに便利■京成バラ園 バラの培養土
根づいた苗を丈夫に育てる力強い土。新苗や鉢苗の植え替え時におすすめ■ハイポネックス バラ専用培養土
バラの成育に適した弱酸性で、排水性、通気性、保肥性に大変すぐれた土■バラの肥料(フラワーメーカー)
鉢の縁に置き、指で軽く土に埋め込むだけで肥効は約1か月。計量に便利なタブレットタイプ■ハイポネックス バラ専用肥料
アミノ酸、ミネラル含有の100%天然原料肥料。元肥、追肥として花数の多い丈夫な株をつくる■ハイポネックス バラ専用置肥
速効性の肥料成分とゆっくり効く有機質がバランスよく配合され、安定した効果が1〜2か月持続する置肥■ハイポネックス 専用液肥−バラ−
1滴に高濃度の養分を配合した高品質な液体肥料。1週間に1回を目安に与える
水やり
バラの成育になくてはならないものが水ですが、与え方によっては病気や害虫の発生を誘発し、株を軟弱にしてしまうことがあります。上手な水やりのコツを覚え、ていねいに行いましょう。
*基本の水やり
午前中に、土の乾き具合を見ながら静かに株元にたっぷり与える!
水を与える時間帯は鉢植え、庭植えとも、午前中が最適です。植物は葉が根から吸い上げた水と空気中の二酸化炭素を使い、光で光合成を行い、自ら栄養分をつくり出します。その作用が活発に行われているのが午前中なのです。
■鉢植え
年間を通して水やりが必要です。基本は「鉢土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出るまでたっぷり与える」こと。毎日少しずつ与えるやり方では、いつも表面が湿った状態で根腐れを起こしてしまうので、よくありません。
■庭植え
植えつけ直後は乾燥しないような管理が必要ですが、その後は、特に乾燥が続く場合でないかぎり水やりは不要です。ただし、シュートが伸びはじめている時期にひどく乾くと、シュートが短いままで開花してしまいます。
また、植えつけ1年目の幼い株、鉢植えを庭に移植した場合などは、株の様子を見ながら、定期的に水やりしましょう。
なお、常に水を与え続けると、バラの根は水を求めて土中深く伸びなくなります。過保護な水やりによって軟弱な株をつくることにもなるのでやめましょう。【よい水やり】鉢土の表面が乾いてから、鉢底から流れ出るまで株元にたっぷり与える。
【よい水やり】霧状の水が出るホースノズルをつけて、ハス口を下に向けて静かに、やさしく与える。
【悪い水やり】株の上から水をかける :病気を誘発。特に冷たい水が葉にかかると、べと病が発生する。鉢植えも同様。
【悪い水やり】水圧を高くすると泥がはねる:ホースの先をつぶしたりして水圧を高くすると泥が飛び散って、黒点病を誘発する。
【悪い水やり】土を掘るようにたくさん与える :土が硬くなり、地面が固まる。
* 季節の水やり
夏と冬の水やりは違う!
夏の水やり 朝夕の涼しい時間に冷たい水を与えます。ときどき葉水を与えると、ハダニの除去に有効です。
冬の水やり 晴れた日の午前中(10〜12時)、気温が上がりはじめてから与えます。夕方は凍る心配があるので与えません。井戸水はホースの冷たい水を出してから、水道水はお湯を加えて少し水温を上げて与えます(15~23℃が適温)。
★ここがPoint!
秋バラは8月の水やりが要!
秋バラを美しく咲かせるには、開花時期の1か月前の8月に十分な水を与える必要があります。この時期に水が切れると、花がつかない、ついても花が大きくならなかったり、花色が悪くなってしまいます。★冬は水の出しはじめに、ホースの中の残留水がツララ状に凍ったものが出てくることがあるので、すべて出しきってから水やりをはじめる。
★細かい霧状の水がやさしく出るのが理想的。
ハス口
金属製のホースノズル
病害虫の予防と対策
バラは花木の中でも病気や害虫の被害を受けやすいのは確かですが、栽培環境を整え、ときには薬剤で早め早めの対処をすれば、必ず美しい花を咲かせます。
*栽培環境を整える
日当たり、風通し、水はけ、肥料、定期的な薬剤散布がポイント!
バラの栽培の一番の悩みは病気と害虫です。春、3月ごろ新芽が伸び出すとアブラムシ、うどん粉病やべと病が発生しやすくなります。開花期からは黒星病、チュウレンジハバチなども発生。病害虫の被害を軽減するには、以下の点に注意します。
●日当たりと風通しがよい場所を選ぶ。
●水はけのよい土壌に改良する。
●株間をあけて植えつける。
●肥料の量を適正にする。 肥料過多→株を軟弱にし、病気を誘発 肥料切れ→成育が悪いので追肥が必要
●鉢植えは雨が当たらない軒下などで栽培。
●初心者はなるべく病気に強い強健種を選ぶ。
無農薬栽培にチャレンジする人もふえてきましたが、残念ながら現状では完全無農薬で病害虫を防除することはできません。まずは株を立派な成木にすることを先決にしましょう。
こまめに観察し、病気の兆しや害虫を発見し、大発生する前に早めに薬剤で防除しましょう。
灰色かび病が発生した花
カイガラムシがびっしりついた枝。
*バラの2大病は、黒星病とうどん粉病
【黒星病】
気温20〜25℃ぐらいの4月から11月に多発します。初期は葉に墨をにじませたような直径3mm程度の病斑ができ、やがて地面に近い葉から上へと広がります。最後は葉が黄変して落葉します。
雨に当たると胞子が広がり、急速に感染が広がるので、特に梅雨期や秋の長雨期、台風後には注意が必要。鉢植えは雨の当たらない軒下やベランダなどで栽培するか、雨が降りそうなときだけでも移動させるとよいでしょう。
一度かかると完全に殺菌するまで大変手間がかかるので、できるだけ早期に発見して病葉を摘みとり、病害がなくなるまで、3日で3回ほど薬剤を散布します。■予防と対策
前年発病した株は3月から防除を開始する。耐病性の品種を選び、風通しをよくする。落ちた葉はこまめに拾って処分する。雨による病原菌のついた泥の跳ね上がりを防ぐため、株元を敷きワラなどでマルチングする。
■適する薬剤:サプロール乳剤(1000倍液)
■黒星病に気をつけたい品種
・ヴィーナー シャメル[HT]、エバー ゴールド[CL]
・オレンジ メイアンディナ[Min]
・サマー サンシャイン[HT]、ザンブラ[FL]
・ソニア[HT]、ダイナマイト[CL]
・プリンス メイアンディナ[Min]、ランドラ[HT]
[FL]=フロリバンダ [HT] =ハイブリッドティー
[CL]=つるバラ
[Min]=ミニアチュア(ミニバラ)
【うどん粉病】
春、秋の湿度の高い時期、気温15〜25℃で発生しやすく、冷夏は夏でも発生します。新芽や若葉や蕾などに白い粉で覆われたような斑点が現れるのが初期症状。また、若葉の表面がふくれ上がるように脈打ちます。放置するとどんどん感染し、茎や蕾まで白く曲がりくねり、白い胞子は飛び散るようになります。発生したらすぐに、葉の表面から病斑部を洗い流すように薬剤を散布します。■予防と対策
耐病性の品種を選び、日当たり、風通しをよくする。チッソ肥料の過多に注意。
■適する薬剤:サルバトーレME(4000倍液)、バイレトン乳剤(3000倍)、ハッパ乳剤「なたね油乳剤」(200倍)
■うどん粉病に気をつけたい品種
・クリスチャン ディオール[HT]
・パパ メイアン[HT]
・ミミ エデン[FL]、レオニダス[HT]
・ロイヤル ハイネス[HT]
[FL]=フロリバンダ [HT] =ハイブリッドティー
[CL]=つるバラ
[Min]=ミニアチュア(ミニバラ)
鉢植えのマルチングはバークチップや水ゴケなどが便利。
*黒星病、うどん粉病以外の病害虫と予防・対策
※バラ栽培に使用する薬剤は、おもに病気を防除する殺菌剤、害虫を防除する殺虫剤の2つ。殺菌・殺虫両方に効果があるものもあります。スプレー式やエアゾール剤は、病害虫の発生時すぐに対処できるので便利。
薬剤を使用する場合は、必ずラベルや説明書で使用量、使用法などを確認のうえ、適正にご使用ください。
*薬剤散布のポイント
殺菌剤と殺虫剤の混合散布が効果的!
薬剤は、病気の防除のための殺菌剤と害虫防除の殺虫剤の2種類に大別されます。一般にはその両方の薬剤を規定の量で希釈した薬液を、一度に散布します。
バラが少ない、小さい場合の防除には、そのまま使えるハンドスプレーやエアゾール剤が便利。フローラガードALはそのまま使えるスプレータイプで、葉の裏にも散布しやすい逆さ噴射のできるすぐれもの。
規定の濃度を正確に守る!
薬剤は効能、説明書きをよく読み、示されている希釈倍率を正確に守ることが大切です。濃度を濃くしたからといって効果が上がるわけではなく、逆に害虫や病原菌がその薬では効かない耐性をもつことになります。散布時の注意点
●春先などは薬液を冷たい水で作ると逆に病気を誘発する場合があるので、水温に注意する。
●春と秋は気温が上がった午前中、夏は朝夕の涼しい時間帯に散布する。
●同じ株に2度がけしない。
●1週間に1回の割合で散布し、同じ薬剤を長く続けて使わないこと。3回使用したら、別の薬剤に切り替える。
●残った薬液は排水溝などには流さず、必ず土中にしみ込ませる。
薬剤散布時、薬液を体に付着させないように、ゴム手袋、マスク、レインコートなどで身支度を整え、防護する。春先は「べと病」予防が必要!
薬剤を散布すると、一時的に葉が枯れたり黄変したりする薬害を受けることがあります。気温の低い春先などはべと病の発生を抑えるため、必ずマンネブ水和剤を混合します。ここがPoint! 希釈倍率の計算法
作りたい希釈倍率で割り算をすれば、薬剤の量が算出されます。
[例]A剤の800倍液とB剤の1000倍液で1ℓの薬液をつくる場合
A: 1L=1000ml÷800=1.25ml B: 1L=1000ml÷1000=1ml (水和剤の場合はg)
*害虫
■アブラムシ(発生時期:4~11月)
新芽、蕾などのやわらかい部分を覆うように、緑色や黒色の極小の虫がつき、養分を吸汁して成育を阻害する。また、放置するとすす病の原因にも。予防と対策:ウイルス病を媒介するなどの二次病害もある。早期発見なら捕殺。ブラシなどでこすり落とす方法も有効。大量発生後は薬剤を散布。
■ハダニ(発生時期:5~11月)
葉裏に寄生する吸汁性害虫で、クモの仲間。吸われたところは葉緑素がなくなり、白いかすり状の斑点になる。予防と対策:高温乾燥の真夏に大量発生するので、梅雨の間に防除するのが得策。特にミニバラが被害にあいやすい。葉を裏返して点検し発生していたら、強く水をかけて洗い流して薬剤を散布。■アザミウマ類(スリップス)(発生時期:5~11月)
蕾や花に潜り込んで吸汁する。花が奇形になったり、変色したりする。蕾が開かず、花が咲かないこともある。予防と対策:花弁に産卵するので、食害された花や蕾は切りとる。花がらや落ちた花弁は拾って袋などに入れて処分し、薬剤を散布する。■チョウレンジハバチ(発生時期:4~11月)
1.5cmほどの成虫(ハバチ)は腹がオレンジ、背は黒。産卵管を出して枝に産卵。ふ化した緑色の幼虫は集団で葉を食害し、瞬く間に葉脈だけに。予防と対策:産卵時に枝を傷つけ、のちに産卵痕が裂ける。見つけたら捕殺か殺虫剤を散布。■カイガラムシ(発生時期:1年中)
幹や枝に円形や楕円形、お椀形の扁平なかたまりがつく。細かい粉状の白い虫が吸汁し、木を弱らせる。予防と対策:ホースの先端を指でつぶして勢いよく水を出し、水圧で洗い流す。■バラゾウムシ(発生時期:5~6月)
春先に発生する体長2~5mmの黒い虫。新芽や蕾に産卵し、先端がチリチリに乾いたような状態になる。予防と対策:日の出から午前8時ごろ枝の頂部にいるので、落として捕殺。被害部には幼虫がいるので、多発するようなら枝ごと処分。■オオタバコガ(発生時期:8~9月)
予防と対策:年3回発生するが、秋バラの被害が大きい。蕾を焼却して、ケムシ用の殺虫剤を散布する。
バラの育て方をもっと見たい方におすすめ!
「改訂版 プロが教えるバラのすべて」では、今回紹介したレシピ以外にもたくさんのバラの育て方のポイントをわかりやすく丁寧に紹介しております。
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