話題の陶芸作家・鹿児島睦インタビュー。愛らしさと潔さと力強さと。

鹿児島 睦さんは陶芸を中心に活動するアーティスト。展示会では作品が即日完売するほどの人気を集めています。「ドワネル」で11月17日まで開催されている「鹿児島睦の図案展2015」。鹿児島さんに今回の展示、作品にかける思いについて尋ねた、インタビューの前編です。

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唯一無二のモチーフの魅力に迫る「鹿児島睦の図案展2015」

青山にあるセレクトショップ「ドワネル」で行われている「鹿児島睦の図案展2015」は陶芸を中心に活動するアーティスト、鹿児島 睦さんを特集した企画展だ。特に陶器は、近年の展示会では初日で売り切れが続出するほど、熱狂的なファンをもつ鹿児島さん。

鹿児島さんのモチーフそのものに注目した「図案展」として3度目の開催となる今年は、その線と輪郭に着目。そもそもこの「図案展」は、手に入れるのが困難になった鹿児島さんの作品の魅力をもっと伝えたい、と始まったという。今年は、ワンモチーフの力強さを訴求。

ポスターやモビール、「かまわぬ」とコラボレートした注染(染めの技法)のてぬぐいなどが、新作として登場した。器の中に配置された絵柄を外に出して、紙や布で表現したら、はたしてどんな化学変化が起こるのか——。

魅力的なクリエイター達と一緒につくり上げる展示は本当に楽しい!

LIMIA編集部:「鹿児島睦の図案展2015」が始まってみて、いかがですか?

鹿児島 睦さん(以下、鹿児島):これまで同様、今回も素敵なクリエイターの方とコラボレーションすることができました。モビールやポスターをディレクションしてくれた前田 景さん、空間やライブペインティング用のキャンバスを手がけてくれた設計事務所ima(イマ)、てぬぐいを製作してくれた「かまわぬ」…。陶芸やイラストの仕事は基本的にひとりの仕事なので、たくさんの人と仕事をするのはとても楽しいですね。

たとえばポスターは、会場に来て初めて目にしたのですが、新鮮な印象です。私は素材を提供するだけ、あとは皆さんにおまかせするというスタンスで、それがこの企画展の面白さなのかな。

LIMIA編集部:ドワネルと鹿児島さんの関係を教えてください。

鹿児島:長いお付き合いですね。僕は10年以上会社勤めをしていたので、サラリーマンと陶芸家の二足の草鞋を履いていたんです。当時、いろいろな場所で企画展に参加していたときに、ドワネルのオーナーの築地雅人さんが来場され、声をかけてくれました。数年後に、ビオトープ(ドワネルの前身)で展示をしたのが始まりです。

絵を描く意識はない。陶器という画面を構成しているイメージ

LIMIA編集部:今回のテーマでもある「線と輪郭」。ご自身ではどのようにとらえていますか?

鹿児島:陶器に絵付けをする際に、絵を描く認識はあまりないんです。画面構成をしている感じが強い。絵を描きたいなら、キャンバスや紙に書けばいいでしょう? 新作でも白と黒の配置を重視しています。皿という限られた画面を構成する中で、花も葉も茎も別々のパーツになって、それらのバランスを探っていく。今回は、一枚の陶器に入っていた図案を別々に使ってもらうことで、新しい作品になっている。

線に関しても、新作では必要最低限の線しか入れていません。もっと細かく描き込むこともできるけれど、今回はここで留めておくのが私の仕事だと思ったからです。他人に委ねる部分を残す方がいい。だから私は「アーティスト」ではないような気がします(笑)。陶器に関しても同じスタンスですね。お皿を使う方に良し悪しを決めてほしいのです。

自分から生まれ出たものなのに、違って見える感覚がおもしろい

LIMIA編集部:紙や布という、陶器とは異なる素材を用いた作品の感想は?

鹿児島:陶器は基本的に土と水と火でつくるので、素材や色も限られています。私はおとなしくて、静かで、くすんだ色を使うことが多いのですが、このポスターやモビールは本当にきれいな色使い。特に色彩のバリエーションが素晴らしい。テクスチャーも全然違います。私がつくったモノに違いないけれど、ある意味でそうではなくなっているのが、楽しいですね。

LIMIA編集部:「かまわぬ」とコラボレートしたてぬぐいに関しての感想は? 

鹿児島:築地さんから「てぬぐいをつくろうと考えず、ヨーロッパの住宅にあるタペストリーのようにも使えるイメージで」という話を受けました。特に日本的とか、ヨーロッパ風とか、どちらも目指したわけでもないけれど、私の描く線になって出来上がりました。

LIMIA編集部:下絵を見て、ウィリアム・モリス(19世紀イギリスで活躍したデザイナー)の作品が思い浮かびました。

鹿児島:実は、私の先生はウィリアム・モリスなんです。勝手にそう思っていて(笑)。ウィリアム・モリスが作り上げたレッドハウスには、『 si je puis (仏/英訳すると’ if I can ')』と書いてあります。そのロケーションから庭を含む外装、内装、家具調度など、その素材や技術、色彩のなどのすべてが、本当にすばらしい。

モリスも民衆が使う物のデザインを多く手がけていました。今回の展示された作品ももちろんですが、私が生み出した物を使い手が自由に使う中で、少しでも日常が楽しくなったらいい、そういう気持ちで仕事に取り掛かっています。

◆プロフィール
鹿児島 睦/かごしま まこと 陶芸作家、アーティスト。福岡生まれ。美術大学卒業、インテリア会社に勤務の後、陶芸作家に。現在は福岡市内にあるアトリエにて、陶器に限らず、ファブリック、版画などを中心に制作。植物や動物のモチーフを独自の世界観で描いた作品で注目を集める。近年は、ロザンゼルス、台北、ロンドンなど海外での個展を開催。世界中にファンを持つ。
http://www.makotokagoshima.com

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図案展にて旧知のクリエイターとのコラボレーションを純粋に楽しんでいる鹿児島さん。インタビュー後編では作品づくりへの思いを伺います。過去の経験から学んだこととは? お楽しみに!

◆取材協力:ドワネル 
http://doinel.net/


Text:山本奈奈(LIMIA編集部)
Photo:小久保直宣(LIMIA編集部)

鹿児島睦インタビュー【後編】過去の経験から学んだプロ意識

器やデザイン好きから絶大な支持を誇る、陶芸作家の鹿児島 睦(かごしま・まこと)さん。図案をテーマにした展示会では陶器に加え、ポスターやモビール、てぬぐいなどの新作が登場。インタビューの後編では、多くの人の心をつかむ作品を生み出す背景にあるプロ意識について語っていただきました。

LIMIA編集部

インタビューの後編はこちら!

「鹿児島睦の図案展2015」の紹介記事はこちら!

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