和装だけじゃない! 洋服でかわいく履けて動きやすい《SAMURAI足袋》
埼玉県行田市は古くから足袋の産地として栄えてきました。和装には欠かせない足袋ですが、生活様式の変化に伴って履く人が減ってきてしまいました。そんななか、足袋職人のハンドメイドで洋服にも合わせやすい足袋を開発しているメーカーがあると聞き、商品を見せていただきました。
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友達の依頼で始まった足袋づくり
訪れたのは行田市にある〔株式会社武蔵野ユニフォーム〕さん。創業は昭和35年、おもに作業服や医療用ユニフォームを製造、販売している会社です。
足袋を開発するようになったのは2012年のこと。テキスタイル作家で着物が好きなお友達から、社長の小松和弘さんが足袋制作の依頼を受けたことに始まります。「従来ある白や黒などといった足袋ではなく、デザイン性のある足袋をと言われ、足袋の開発に興味を持ちました」と語る小松さん。行田の足袋職人に生地を持ち込み、作ってもらうことにしたとか。
「70歳くらいの職人さんにお願いしたのですが、最初は『こんな柄で作るの?』『目がチカチカする』『誰がこんなの履くの?』などと、さんざんな反応でした」と当時を思い出して笑います。昔気質な職人さんを説得し、そこまでいうなら、と製造を渋々引き受けてもらって最初の足袋ができあがりました。
《SAMURAI足袋》は一足ずつ職人の手作り
その後、もっと多くの人に履いてもらおうと商品化し、命名したのが《SAMURAI足袋》です。現在、〔武蔵野ユニフォーム〕では足袋の企画を行い、製造はすべて地元・行田市内の足袋職人による手作りで生産をしています。一足作るのに概ね2~3週間かかり、繁忙期には2ヶ月待ちでお願いしているとか。今は市内の数社に発注し、《SAMURAI足袋》を作っています。
「大量生産と違い、作るのに時間はかかりますが、職人さんたちの手仕事で履きやすい足袋に仕上がっています。以前はあれこれ言っていた職人さんたちも、『こんなのどう?』など足袋のアイデアを出してくれるようになりました(笑)」。
《SAMURAI足袋》の利用シーンを教わりました
取材に訪れた際、足袋を履いて現れた小松さん。足元が靴下より足袋のほうが蒸れにくくさわやかなのだと言います。和装のときのおしゃれは言わずもがなですが、どんなときに《SAMURAI足袋》を履くのがおすすめなのでしょうか。「これからの季節はサンダルと合わせて履くとおもしろいと思います。水玉やチェックなど、ビビッドカラーの生地を使っているので、洋服にもよく合いますよ」。
ほかにも花火大会などで浴衣を着る機会が増えるこの時期、下駄の鼻緒で指をすりむいてしまう人におすすめなのが足袋なのだとか。足先がふたつに分かれているので、履くことで踏んばりがきくのも特長だそうです。
《SAMURAI足袋》は冬用に裏起毛の足袋もあり、生地の目が詰まっているので、冷えやすい指先も暖かく過ごせるそうです。和装アイテムなので、使ったあとのお手入れ方法も気になるところ。「洗濯ネットに入れて、ほかの衣類と同じように洗濯機で洗って大丈夫ですよ」。
《SAMURAI足袋》で足袋産業の活性化を
足袋の生産量の減少によって、昭和50年代には従業員数4人以上の足袋業者が30カ所あった行田市ですが、現在は5カ所のみ。《SAMURAI足袋》の開発を続けて、雇用の創出や従業員の定住など、地方創生にも力を入れていきたいと語ります。
2015年からは市内にある産業文化会館で「新しい足袋ファッション」を全国へ発信しようと「行田足袋コレ」を企画・開催。23~25組もの足袋好きが、思い思いのファッションで登場しています。過去には市内の建具屋さんが社員6人で登場し、カンナがけのパフォーマンスとともに足袋への想いを語って会場を沸かせたとか。
一方で、足袋の良さを海外の人たちにも知ってもらおうと、『JAPAN EXPO』への出展を機に、フランスやドイツなどでも《SAMURAI足袋》の販売を開始しています。
2017年は行田の老舗足袋屋を舞台にしたTVドラマが大ヒットしたのも記憶に新しいところ。足袋の機能性や魅力を新たなデザインとともに、国内だけでなく世界に発信するため、これからも挑戦が続きます。
●ライター 大浦春堂
社寺ライター、編集者。日本の伝統工芸品や骨董品、和雑貨が好き。日本国内やアジアを旅しながら雑誌やWEBマガジンへ社寺参りに関する記事の寄稿を行う。著書に『御朱印と御朱印帳で旅する全国の神社とお寺』(マイナビ出版)のほか、『神様と暮らすお作法(協力:三峯神社)』(彩図社)、『神様が宿るお神酒』(神宮館)など。
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