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行き詰まる「パッケージ戦略」 厳しい対米関税交渉 アグリラボ編集長コラム

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 米トランプ政権の関税政策について、英国との交渉が早期に決着し、中国とも関税の大幅引き下げと相互関税や報復関税の90日間の発動停止などで合意した。金融市場では楽観ムードが台頭している。ただ、米側は「製造業の再構築」という理念を堅持しており、柔軟姿勢に転じたとは思えない。特に日本の交渉戦略は米側の関税政策とずれており、難しい対応を迫られそうだ。

 石破茂政権は、日本の対応を「パッケージ」として米側に示し「1回で話をつけなければいけない」(4月7日の参院決算委)と早期決着を目指していた。「トランプ政権は理念よりも実利を優先する」という判断を前提に、ディール(取引)の柔軟性を確保するのが狙いだ。個別分野の「ガチンコ」では交渉が難航する。パッケージでお互いに譲り合える状況を築いて全体のバランスを取り、双方が満足できる合意を形成する戦略だ。これまで何回も繰り返されてきた日米貿易交渉から得た教訓だ。

 しかし、トランプ政権には「これまでの教訓」が通用しない。最大の焦点である自動車は「交渉の対象ではない」と門前払い、25%の関税を維持する。それどころか2回目の交渉の直後に自動車部品も分野別関税の対象に追加し、パッケージ型の交渉そのものを拒否する姿勢を鮮明にした。日米交渉は入り口でかみ合っていない。

 日本では「トランプ関税」として十把ひとからげに扱われているが、国内産業を保護するための「グローバル関税」(一律10%)、二カ国間交渉で譲歩を迫るための「相互関税」(日本は14%)、重要な産業を対象にする「分野別関税」(25%)は、それぞれ目的も法的根拠も異なる。

 英国との合意は、これらの関税を使い分ける米国の戦略を再確認する内容だ。関税は10%が岩盤で、その対象になる自動車は関税割り当て(TRQ)で10万台に制限する。露骨な数量制限だ。「一連の関税措置を全て見直してもらう」(赤沢亮正経済再生担当相)のは困難を極めそうだ。

 パッケージ型交渉には国内の課題もある。ディールのための「カード」を何枚もそろえて優先順位を付けなくてはならない。業界や省庁間の綿密な国内調整が必要で、政権の指導力が問われる。政権基盤の安定が前提だが、石破政権の支持率は低迷が続く。

 赤沢氏は、2回目の対米交渉に臨む直前、牛肉、トウモロコシ、大豆、コメなど農産物に優先順位を付けるよう農水省に対して直接指示し、自民党の森山裕幹事長を激怒させた。政権内の調整不足を露呈した形だ。石破首相は帰国した赤沢氏に対して「(対処の)検討・調整を迅速・緻密にやってもらいたい」と指示し、早急に足並みをそろえるよう要請した。

 内外の事情を踏まえると、パッケージ戦略には限界を感じる。「自動車を守るために農産物を差し出す」という発想では、国内で説明が付かず、米側も満足しない。トランプ政権の関税政策に影響を与えているエコノミストのオレン・キャス氏は、4月5日のブログで、1980年代の日本の自動車業界による輸出自主規制(VER)を成功例として絶賛し「相互関税と聞いたら、VERと思え、というのが私の一番のアドバイスだ」と締めくくっている。この「助言」にどう応えるかが、3回目の交渉の焦点になる。

(共同通信アグリラボ編集長 石井勇人)

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