中学受験を考えている子どもの約8割が小1までにそろばんを習い始めている！今、なぜそろばんが見直されている？

子どもの習い事として昔からお馴染みになっているものの一つにそろばんがありますよね。なんとなく昔の習い事のイメージがあるそろばんですが、近年はその価値が見直されていることをご存知でしょうか。

そろばんは習わせてよかった習い事の上位

東京大学とベネッセ教育総合研究所が2023年に行った調査では、習い事をしている小学生のうち、そろばんを習っている子どもは全体の9％。運動系を除いたランキングでは4位となりました。また株式会社Frankelが2023年の調査でも、「習わせてよかった習い事ランキング」にそろばんが4位にランクイン。運動系を除くとピアノに次ぐ2位という結果でした。

都内では中学受験が盛んになってきており、その傾向は年々顕著です。そうした中、「中学受験界隈では算数を制する者は中学受験を制する」とも言われ、算数科目でいかに高得点を取るかが大きな鍵になっているのだとか。

その理由として中学受験において国語と算数は配点が高いため、得点の差が付きやすい特徴が挙げられます。特に算数は他の科目に比べて全体の問題が少なく、大問ごとにそれぞれの問題に連動性があるため、最初の問題を正解するとその他の問題も正解する確率が上がっていきます。そのため算数の得点が合否に与える影響が大きい現状があるのです。

また算数は問題自体の難易度も上昇しています。与えられた問題を機械的に計算するだけでなく、解を導いた過程を書かせるなど論理的思考力を問う学校が増えています。こうした観点からも「計算力」という基本的な土台は、複雑な問題を解く上で欠かせないと言えるでしょう。

23区のそろばん教室に通っている子どもの7割以上が小学校1年生までに始めている

公益社団法人全国珠算教育連盟がこのたび行った、中学受験とそろばん教育の関係性に関する調査結果もご紹介します。調査は東京23区のそろばん教室に通う小学生以下の子どもを持つ親348人を対象に行われました。

まずそろばんを習い始めた時期を聞くと6歳が最も多く43.7%、5歳が24.7%という結果

に。入学前から始める子も含めると小学校1年生までに始めた子どもは75.3％となりました。また中学受験を予定している子どもに至っては、88.3％が小学校1年生までにそろばんを習い始めていました。以前は小学校の授業で九九を習った後にそろばんを習い始める子が多かった印象がありますが、現在では低年齢化が進んでいることがうかがえます。

実際に小さい頃から始めるほど珠算式暗算力が身に付きやすくなることが期待できます。同連盟の理事で研修学教委員長である前田珠樹さんによると、小さいうちからそろばんを学ぶことで豊かな数感覚を身につけ、数への苦手意識を作らないようにできるそうです。

「そろばんは十進法やくりあがりを可視化できるので視覚的に理解しやすい学習教具。自ら操作することで学ぶ楽しさや興味を引き出せ、主体的な学びや自律的学習の第1歩となります。脳の発達、計算能力、集中力、忍耐力、判断力向上が期待できるでしょう」（前田さん）

そろばんを習っていた現役中学生は、いま中学校の数学学習がスムーズに

実際にそろばんを習わせた結果、「計算能力がついてきた」と答えた親は82.8％でした。「集中力がアップした」と答えた親は39.1％。そろばんを習い始めて大きな効果を感じている親は多いようです。

「そろばんの検定試験や競技大会は非常に高い集中力が求められます。問題に一心に向き合う習慣付けができるでしょう。手は第2の脳とも言われていますから、そろばんの一連の流れは子どもの能力向上に大きく影響するはずです」（前田さん）

またそろばん学習経験のある現役中学生にアンケート調査も実施。そろばん学習によって中学数学にどのような効果があったかを聞いたところ、「一次関数や連立方程式などの計算問題はテストで時間を省くことができ、難しい問題に時間を長く費やすことができた」、「計算問題が速く解けるから見直しの時間が増えた」、「筆算を書いて計算しなくていいので速く解ける。筆算分のスペースがなくなり、式がどれかわかりやすい(ごちゃごちゃしない)」、「計算に時間がかからないから最高！」といったコメントが得られました。

以前から大規模なICT教育を推進してきたスウェーデンでは、2023年に児童の大きな学力低下が明らかになりました。そこで国は2023年8月からタブレット操作を減らして読書や紙と鉛筆の手書きで学ぶなどデジタル規制の動きをスタート。読み書き計算という教育の基本の重要性が改めて世界的にも見直されているのです。その上でこれまで以上にそろばんが大きな役割を果たしていくのではないでしょうか。

今回、調査結果を見て未就学児の子どもがいる私は小学校に入学したら子どもをそろばんに習わせることを決めました。近所のそろばん教室を探してみると、意外とたくさんあったので無料体験会に足を運んでみるのもよさそうです。やはり自分自身が小学校や中学校の頃に算数や数学で苦労したので、同じ思いをわが子にさせたくないと改めて思いました。みなさんも子どもの習い事の選択肢の一つに、そろばんを検討してみてはいかがでしょうか。