松村由美子のワインライフ「本場ボルドーワインの社交界」

フランスボルドー、マルゴー村のシャトー・ディッサン　

ボルドーの中でも特に著しい品質の向上が見られるシャトーのひとつが、マルゴー地区格付3級『シャトー・ディッサン』です。
歴史は長く、古くは12世紀頃から歴史の表舞台にその名が登場します。有名な逸話として、1152年、後のイギリス王ヘンリー3世とアリエノール妃の結婚式に供された記録が残っています。このエリアでも有数の美しさを誇るシャトーは、17世紀に建てられました。1855年に設定された格付は第3級。（５級まで、全部で６１シャトーが選ばれた）
柔らかい口当たりで偉大さが上品さに包まれたその味わいは、近年ますます評判があがっています。

美しいワインセラーがパーティ会場に　～ワインの騎士叙任式ってなに？　

2009年６月ボルドー・ボンタン・ドゥ・コマンドリー(ワインの騎士）　叙任式の様子をお伝えします。
２年に一度行われるワイン最大の展示会「VINEXPO」の最終日が毎回この祭典の日。
開花の祭典　（　La　Fete ｄｅ　ｌａ　Ｆｌｅｕｒ）と呼ばれ、展示会の打ち上げも兼ねて世界各国のワインバイヤー、ジャーナリスト、著名人など１５００人のゲストが招かれ盛大に行われます。　　
ボルドーワインの普及に貢献した人に贈られる名誉な称号。この年私も叙任されました。

叙任式とその祭典の会場はフランス、ボルドーのマルゴー村にあるシャトー・ディッサン。
その近くの空き地が臨時駐車場となり　奥に見えるトロッコでシャトーディッサンまで移動します

ドレスコード「フォーマル、ブラックタイ」　さて　女性は何を着ていくのが正解？

招待状に書かれたドレスコードは「フォーマル・ブラックタイ」
「フォーマル」が最も格式の高いドレスコード。男性はタキシードがお約束。女性は明記はありません。ブラックタイと書いてあった場合は、女性は暗黙の了解で「イヴニングドレス」になります。
イブニングトレスとはデコルテ（胸元）が開いたロング（裾を引きずる位の長さ）が正式。　膝丈だと、カジュアルなのでＮＧです。またハイヒールを履きたいのですが、手入れされたお庭にヒールで穴を開けてしまうので、太いヒールかぺたんこ靴の厚底にするのが、暗黙のマナー。

ワインセラーで叙任式が始まります

シャトーディッサンに着くと、普段ワインセラーになっている場所が　叙任式の会場に。　樽はどかしてあります
ステージには、ボルドーの生産者達が制服であるローブを着て勢ぞろい。新たにボンタン騎士となるメンバーを待ちうけます

名前を呼ばれてステージでローブを着ます
各国からメンバーが呼ばれ、一人ずつワインが注がれ「このワインは何だと思いますか？」に　答えなければいけません。
それぞれが答えて、　「合格、では貴方達をボンタン騎士として認めましょう。これからもボルドーワインを普及してください」　「はい　誓います」
これで晴れて、ボンタン・ド　コマンドリーとなり、バッチをつけてもらい叙任式が終わります　

ボルドーワイン格付シャトーの正式な晩餐会の始まり・・・

さていよいよ、祝賀パーティの始まりです。1500人を１０人ずつのテーブルに割り振ります。招待者は格付けワインの生産者、ワイン商などボンタン・ド・コマンドリー協会に認定された会員達です。
これはボルドーの格付されたシャトーたちにとって、世界各国の御取引先へのおもてなしの場。最高の料理、自慢のワインをふるまい、「これからもうちからワインをたくさん輸入してね」というメッセージがこめられている、そう優雅な接待なのです。

松村由美子　ワイン輸入コンサルタント
Blog　 http://ameblo.jp/yumikodeluxe/
HP http://dionne.co.jp/index.html
Column http://winejoker.jp/