
読み物として楽しめる沖縄のお酒文化がまとめられた「酒文化誌」が誕生
泡盛を中心に沖縄における酒文化の歴史を体系的にまとめた書籍「泡盛をめぐる沖縄の酒文化誌」(ボーダーインク)が、 […]
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泡盛を中心に沖縄における酒文化の歴史を体系的にまとめた書籍「泡盛をめぐる沖縄の酒文化誌」(ボーダーインク)が、このたび発売された。
「泡盛をめぐる沖縄の酒文化誌」は長く沖縄の泡盛研究に勤しんできた研究者・萩尾俊章氏の新著。萩尾氏は民俗学、社会史を専門に研究し、これまで、沖縄県立博物館の博物館班長、教育庁文化財課長などを歴任してきた。
本書の構成は全7章。「泡盛の由来と歴史」から始まり、「泡盛の生産地と酒造所の変遷」「泡盛の周辺」「沖縄の伝統的酒文化」「飲酒習慣と食文化」「現在の泡盛と酒類事情」、そして、「ユネスコ無形文化遺産と泡盛文化」で締めくくる。
章タイトルからも分かる通り、泡盛の生産や作り手のことのみならず、「飲酒習慣」や当時のメディアでの宣伝等までフォローし、まさに市井における酒事情を細かく伝えている。
興味深かったのは「泡盛の生産地」の部分でつづられている泡盛の酒造所とブタとの関係。戦前、「泡盛の酒造所である酒屋と養豚業はセットであった」という。その理由は、泡盛造りの工程で出てくる泡盛の搾りかす「カシゼー(酒粕)」。その後の工程では使用しないので捨てられるしかなかったが、このカシゼーは栄養価が高くブタの飼料としては最適なものと考えられていたためだ。このような時代から現代のような循環型の産業構造になっていたことに驚かされる。
さらに、第三章の「泡盛の周辺」では、「かつては各地でよく見られた光景と思われるが、例えば沖縄本島北部のやんばるでは、サキ(泡盛)は必要に応じて雑貨店で一合二合と量り買いをしていた」という記述も見られる。こちらも、“リフィルステーション”など量り売りの店舗が世界的に増えている現在の動きのまさに先駆けといえることが行われていた記録が残っている。
ほかにも、明治時代以前、「嫁を迎える時は、先ず第一に酒及び味噌を巧みに製造できるか」が良妻の判断基準になっていたという話や、「旧家の主人は銭蔵の鍵は家扶も預けても、古酒蔵の鍵はいつも自分で保管していた」など古酒(クースー)が大事にされていたこと、大正時代に、「瓶を持参すると代金を支払う」というリサイクルが行われていたことなど、泡盛の生産の話ではないエピソードも多く展開され、興味深い。
沖縄におけるお酒についてさまざまな視点からアプローチを試みている点は、まさに萩尾氏の研究領域の広さから来る賜物といえる。ただ、単なる研究論文的なものではなく、しっかりと読み物としても面白く沖縄のお酒文化に触れられる1冊に仕上がっている。
「泡盛をめぐる沖縄の酒文化誌」
発売中 2,640円(税込) ボーダーインク
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