色・形・大きさのバリエーションが豊富!憧れの花「ダリア」の育て方
花束やウエディングブーケで人気のダリア。可憐でかわいらしいものから、大輪でゴージャスなものまで、種類が豊富なのが特徴です。花色も、白やピンクから、紫、オレンジ、黄色まで、実にさまざま。今回は、多様な魅力を持つダリアの種類とその特徴、また育て方についてご紹介したいと思います。
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ダリアってどんな花?
ダリアはキク科のダリア属に分類される、メキシコからグアテマラが原産の球根植物です。色鮮やかでゴージャスなダリアは、花束やフラワーアレンジ、またガーデニングでも人気を集めています。日本におけるダリアの歴史は古く、江戸時代にオランダ人によって持ち込まれ、各地で育てられるようになりました。
世界中で品種改良が行われたため、一口にダリアと言っても、その姿は八重咲でボリュームのあるものから、可憐な一重咲きのものまで、実にバリエーションに富んでいます。花の色もさまざまですが、特に鮮やかな色合いのものや、グラデーションになったものは人気があるようです。
花屋さんでは一年中ダリアの切り花が売られていますが、実際に育てた場合、開花時期は7月~10月頃で、春に球根を植えると、夏から秋にかけて花が咲く、というのが一般的です。
花の色や形、大きさはさまざま
ダリアはシンプルな一重咲きをはじめ、大輪の八重咲、可憐な小輪など種類がとても多く、花の形だけでダリアを定義するのは困難なほどです。ここでは、花の大きさや咲き方、草丈、咲き方による分類の仕方についてご紹介したいと思います。
花の直径による分類
・超巨大輪 30cm以上
・巨大輪:26~30cm
・大輪:20~26cm
・中輪:10~20cm
・小輪:3~10cm
・極小輪:3cm以下
花の形による分類
・シングル咲き:シンプルな一重咲き
・オーキッド咲き:花びらの端が内側に丸まって半管状になったもの
・コラレット咲き:花びらの内側に小さな花びらがついたもの
・アネモネ咲き(丁字咲き):一重咲きの花びらの中心部分がアネモネのように盛り上がったもの。
・ピオニー咲き:花びらが2~5重についたもの。
・ポンポン咲き:花びらの先端が丸く縁が内巻きになった小輪の八重咲き。花全体がボールのように球状になる
・ボール咲き:花びらの先端が丸く縁が内巻きになった中輪の八重咲き。花全体がボールのように球状になる
・デコラティブ咲き:平べったい花びらが並んだ八重咲き
・カクタス咲き:花びらが管状に細く巻いた八重咲き。花びらが外側に巻いて真っ直ぐ伸びる「ストレートカクタス」、花びらが内側に巻く「インカーブドカクタス」、完全に巻かないで幅広の「セミカクタス」がある
・スイレン咲き:幅広の花びらが八重咲きになったスイレンのような咲き方
・ショー咲き:八重咲きで短めの花びらの縁が内側に丸く巻いたもの。大輪の花に多い
丈による分類
・極高性:150cm以上
・高性:120~150cm
・中高性:100~120cm
・中性:70~100cm
・中矮性:50~70cm
・矮性:50cm以下
花の大きさ、花の形、草丈にこれだけの分類があることからも、いかにダリアの種類が多いか分かりますね。
ダリアの上手な育て方|土や肥料の選び方、種まきや水撒きの方法
色鮮やかなダリアを自分で育ててみませんか? ダリアは切り花として花屋さんで買うというイメージが強いかもしれませんが、実は家庭でも栽培できる植物なのです。種類によって難易度が違うため、初めてなら育てやすい品種を選びましょう。
ダリアを育てるのに適した土とは
ダリアは水はけの良い土を好みます。赤玉土7:腐葉土3で作った土や、市販の草花用培養土などが適しています。
ダリアの球根の植え方(鉢植えの場合)
ダリアの球根を植えるのに一番適しているのは、気温が20度近くなった3~5月頃です。寒冷地では霜が降りなくなったら植えましょう。鉢に球根をひとつずつ植えます。超大輪や大輪には7~8号(直径21~24cm)の鉢、中輪や小輪には5~6号(直径15~18cm)の鉢を用意します。
1. 鉢底に軽石を敷いてから、鉢の3分の2程度まで土を入れる
2. 球根は寝かすように斜めにして、芽のついている細い部分が上になるように置く。土を5cmくらいかける
3. 浸透性の殺虫剤と緩効性化成肥料を与える
4. 支柱を立てて、たっぷりと水やりをし、発芽するまでは水やりを控える
ダリアの球根の植え方(地植えの場合)
ダリアを地植えする際は、巨大輪や大輪は80cm以上、中輪や小輪は30cm以上、株と株の間をあけます。
1. 植え付ける2週間ほど前に、土に堆肥や腐葉土などを混ぜておく
2. 5~10cm位の深さの穴を掘って、球根を斜めにし、芽がついている細い部分が上向きになるように置く
3. 土をかぶせてから、支柱を立てる
4. たっぷり水やりをしたら、発芽するまでは水やりを控える。発芽後は、水やりをする必要はなく天候任せでよいが、日差しが強い夏場は水やりが必要になることもある
ダリアの種の蒔き方
ダリアは球根から育てるのが一般的ですが、種から育てることもできます。ただし、種が球根になるまでにおよそ3年はかかります。ダリアの中にはミニダリアなど、春に種を撒いて夏に花が咲く品種もあるので、種から育てたいなら、そちらを試してみるのもいいかもしれませんね。
1. セルトレイや卵のパックなどに土を入れて、5cm間隔で種を2~3粒ずつ蒔き、5㎜ほど土をかぶせておく
2. 発芽するまでは、土が乾かないように水やりをする。発芽したら、土の表面が乾いてから水やりをする
3. 本葉が2~3枚になったら、植木鉢か地面に植え替える
ダリアは20~25度で発芽するため、春に暖かくなってから種蒔きをしましょう。花を咲かせるまでに時間がかかりますが、育てることが好きな人にはおすすめです。
肥料はどのくらい必要?
植え付けの際に肥料を与えた後は、植えてからひと月後と、秋の開花前に緩効性化成肥料を追肥します。鉢植えの場合はそれに加えて、真夏以外の時期は、10日に1回くらい液体肥料を与えるか、月に1回程度、緩効性の化学肥料を与えるとよいでしょう。
水やりは控えめに
ダリアの球根は水分をたっぷり含んでいるため、植え付け後に水を与えたら、発芽するまで水やりは不要です。水やりをし過ぎると球根が腐ってしまいます。
また、芽が出てからも、土の表面が乾いたら水やりをする程度で十分です。水を与えすぎると、根が土の中でよく伸びず、苗が弱くなります。ただし、蕾がついた時から花が咲いている間は水切れに気を付けるようにしましょう。
夏場の直射日光に注意
ダリアは日当たりが良い場所が好きですが、夏場の直射日光には弱いため、真夏は遮光ネットで日除けをするか、半日蔭に移動させましょう。
病気や害虫を防ぐには
葉がしおれて元気がなくなったり、成長が遅くなったりした場合は、株が病気にかかってしまった可能性があります。
葉に白い粉のようなものが発生したら、うどんこ病を疑いましょう。また、枯れた葉っぱや花がらをそのままにしておくと、灰色かび病の原因になることがあるので、小まめに取り除くようにしましょう。これらのカビが原因の病気は薬剤が効きやすいため、適切に対処すれば回復します。
カビではなく、ウイルスが原因の病気にかかってしまった場合は、薬剤が効かないので、他の株に伝染しないように早急に処分しましょう。
また、葉に穴が開いていたり、フンのようなものがついていたりしたら、害虫がいる可能性があります。アブラムシ、ハダニ、メイガ、ネキリムシ、ヨトウムシなどが、ダリアにつきやすい虫です。早めに見つけられれば被害も少なく、薬剤をあまり使わずに済みますが、既に大量発生してしまった場合には、市販の薬剤を使ってしっかり駆除しましょう。
日々のちょっとしたお世話が大切
ダリアは日々のお世話をきちんとしておくことで、立派な花が咲き、花期も伸ばすことができます。初めは面倒に思うかもしれませんが、慣れてしまえば意外と簡単で時間もかからなくなりますよ。
➢ 倒れないように支柱に固定を
ダリアは茎が細いため、伸びたら倒れないように支柱に縛っておきます。また、早めに摘心して重心を下に下げておくのもいい方法です。
➢ 脇芽かきをする?しない?
ダリアは脇芽をそのままにしておくと、枝分かれが進み、主茎の花が大きくなりません。主茎の花を育てたいなら、脇芽を小まめにかき取っておきます。なお、小さな花をたくさん咲かせたい場合には、脇芽かきは控えめにした方がいいでしょう。
➢ ダリアの仕立て方
ダリアには「天花仕立て」と「摘心仕立て」という2種類の仕立て方があります。
1. 巨大輪や大輪向けの天花仕立て
最初に咲く花(1番花)は1本だけにして、大きな花を咲かせる方法です。主茎の花が咲くまでは、根元から2節までを残して、それ以外の脇芽はすべて取り除いておきます。1番花が咲き終わったら、花の下で切り落として、残しておいた2節を育てて花を咲かせます。この時にも、下の節を残して、あとの脇芽は取り除くようにしましょう。
2. 小輪や中輪向けの摘心仕立て
1番花から複数の花をつける方法です。一番太い主茎が2~3節くらい伸びたら、先端を切り落とします。残った節から出てくる脇芽を育てて、花を咲かせます。天花仕立ての場合と同じく、下の2節ほどを残して、脇芽を取り除きましょう。
➢ 花がら摘みと切り戻しを忘れずに
花が咲き終わったら、花がらを必ず摘み取っておきましょう。花がらを放置しておくと、害虫や病気の発生につながります。また、夏の開花シーズンが終わったら切り戻しをして新しい芽を成長させると、秋にもきれいな花を咲かせてくれます。
ダリアの冬越し
ダリアの球根は土の中が凍ったり、湿度が高い状態になると腐ってしまうので、寒い地方では霜が降りる前に球根を堀り上げる必要があります。暖かい地方では堀り上げはせず、ムシロなどで防寒をすれば冬越しできます。鉢植えは掘り上げず鉢ごと室内に取り込みましょう。
➢ 球根の堀り上げ方
1. 茎を土の表面付近で切り落とす
2. スコップで細い根を切りながら、球根の周りを掘っていく。球根を傷つけないように、大きさや位置を手で確認しながら丁寧に作業を進める
3. 茎に手を添えて、スコップを差し込みながらゆっくり引き上げていく。茎と球根の間にあるクラウンと呼ばれる部分は、将来芽が出る箇所なので、折れないように特に注意する
4. 掘り起こしたら土をやさしく取り除いておく
➢ 球根の保管
掘り上げた球根は軽く水洗いをしてから、1週間ほど日陰で乾燥させ、その後に木箱や段ボール箱に入れます。ダリアの球根は5度以下になると腐りやすくなるため、寒い地方では室内で管理した方がいいでしょう。
多湿の地域では、土を混ぜたもみ殻やピートモスの中に球根を埋めておきます。一方、乾燥気味の地域では、土を混ぜて湿らせたバーミキュライトで球根をくるみ、ビニール袋に入れてから箱の中で保存するといいでしょう。
増やし方は3種類
ダリアの増やし方として一般的なのは分球ですが、挿し芽でも増やすことができます。また、前述したように種をとって実生させることも可能です。
➢ 分球の仕方
春先になって、球根と茎の間にあるクラウンという部分から新しい芽が出てきます。よく切れるカッターナイフなどを使って、一つの球根に一つの芽がつくように、クラウンを切り分けます。このとき、なるべく発芽点がクラウンの中央部分にくるように切りましょう。あらかじめ、球根についた細い根や、小さくて成長不良の球根を取り除いておくと、作業が楽になります。
➢ 挿し芽の仕方
挿し芽には球根から切り取った芽を植える「かき芽法」と、育った茎から切り取った脇芽を植える「脇芽法」があります。どちらも手順は一緒です。
1. 挿し芽になる枝を6cmくらい切り取る
2. 使用説明書通りに薄めた発根促進剤を切り口に数秒間つけてから、土に挿す
3. 水切れに注意しながら、日陰で2週間ほど管理する
4. その後、日陰から半日蔭、日なたへと徐々に移動させる。西日が当たらないように注意する。
花が咲いたときの喜びはひとしお
シンプルで可憐なものから、八重咲の豪華なものまで、種類が実に豊富なダリア。美しく咲かせるためには、成長段階に応じた日々のお世話が必要ですが、手を掛けた分、開花した時の喜びもひとしおです。お気に入りのダリアを見つけて、自分の手で育ててみませんか?
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