
インテリアスタイリスト窪川勝哉が語るGROHE “SENSIA ARENA”の可能性とは
ドイツ生まれの水栓ブランド、GROHE(グローエ)から発表された、まったく新しい概念のトイレ、SENSIA ARENA(センシア アリーナ)を様々な視点から紐解いていくこの企画。今回は雑誌などで活躍するインテリア&プロップスタイリスト、窪川勝哉氏を迎え、空間スタイリングという観点から見たセンシア アリーナの可能性を語っていただいた。
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日本の技術を世界に発信するという発想を内包したグローバルデザイン
まず欧州ならではの洗練されたデザインと世界でも最先端と言える日本のトイレテクノロジーをしっかり融合させているのが一目で分かります。特にGROHEはドイツのブランドということで、機能性を追求する日本との相性も良かったのではないでしょうか。僕自身の体験談で言うと、ドイツ人は非常に真面目な性格で彼等が間違ったモノを造るはずがない、という印象を持っているので、我々日本人の実直さととても相性が良く、”機能美”という同じ目標を突き詰めた結果がこのセンシア アリーナなんだと思いますね。
日本が生み出した”シャワートイレ”というプロダクトを世界に訴求するというコンセプトで造られたそうですが、機能性に関しては現在最高峰のものを備えていると言えるのではないでしょうか。シャワートイレ機能はもちろんですが、例えば汚れが付き難い日本開発のアクアセラミックボディや3.8リットルという最高レベルの節水性能などはトイレとしての基本性能の高さを表しているものです。シャワートイレが一般的ではない地域でも受け入れられる可能性が高いのではないでしょうか。
そしてそれに付随する快適性能の高さはまさに日本特有のものですよね。温かい便座はもちろん、エアカーテン式の脱臭機能や、LEDで可視化させたプラズマクラスターでの抗菌機能。夜に照明を付けなくてもよいLEDでの間接照明機能に、水面に泡を立てて飛沫を飛ばさないフォームクッションなど、至れり尽くせりです。なによりセンシア アリーナが素晴らしいのはこれらの最先端機能をこの洗練されたデザインの中に盛り込んだ事です。例えば極限まで薄くされた便座に暖房機能を入れるだけでも大変な労力だったはず。つまり工業デザインというものはテクノロジーの進化とは切っても切れない関係なわけで、テクノロジーに支えられたところで新しいデザインが生まれているというのが理解できます
家具や家電にも似た”見せたくなる”フォルム
フォルムや質感などの見た目でまず感じたのは、遠目に見た時と近付いて見た時に表情が変わってくれるんですね。それはきっと素材そのものに表情があるからだと感じました。陶器の質感とフタの部分の質感は統一感はあるのだけれど近付いた時にその質感の微妙な変化に気付くという。ストンとしたボディと薄いフタのコントラストも加味されて見ていて飽きないフォルムなんですね。
眺めていたくなる存在感、それはもはや単なるトイレではなく、家電とか家具のような佇まいを持っているような気がします。家電として捉える、そう考えるとトイレ、という空間に対して様々な提案が生み出せそうな気がします。例えば日本ではまだまだ個室空間のイメージがありますが、アリーナに関してはドイツ生まれというのもあって、まずは欧米のバスルームという一つの空間で見せたいというイメージがありますね。トイレをトイレという空間だけで考えない。日本もどんどんそういったカタチになっていく、そのきっかけになってくれる、それぐらいのパワーのあるプロダクトだと思います。
〜トイレの有る空間の可能性を広げてくれる存在〜
多目的な空間の中の一つとしてトイレという存在を考えると、実はそこで色々楽しめるようになっていくのではないでしょうか。まだイメージは漠然としていますが、現代はそれこそタブレットなど持ち込めるものが色々あるので、居住空間のなかに当たり前に存在する、そんな空間イメージを提案できるきっかけを与えてくれる”見せたい”プロダクトとして可能性を感じます。
もしかしたらもっとその先の完全にリビングと地続きになったら、みたいな可能性を考えるのも面白いですよ。例えばソファって昔は必ず背面が壁にくっついていたんです。それがどんどん壁から離れていって、背面にシェルフがあったりしてそこが新しい動線になっていっている。つまり生活様式の多様性に従ってデザインも進化して、結果使い方も変化していく。そこには固定観念の変化があるわけで、そういう意味ではトイレも今あるイメージの個室空間から離れていくことだって充分に考えられる。今ではボタン一つで目隠し出来るガラスのようなテクノロジーもあるので、リビングの一角にガラス張りのトイレがある風景だってアリなわけです。
そういった技術の力を借りれば、空間演出にも無限の可能性が生まれます。実際に商業空間だとそういった斬新なトイレ空間が実現できているので、住空間でもこういう提案をしたいと思わせるポテンシャルがアリーナにはあると思いますね。
実際僕もそのうち家を建てる事を考えていまして。きっと職業柄自分のスタイリストとしてのコダワリなどもたくさん盛り込んでしまうと思うんです。そんな時にセンシア アリーナを使った斬新な水まわりも提案できたら、みたいなことも妄想してしまいますよね。
具体的に考えてみても、モダンでありながらトラディショナルな存在感があるセンシア アリーナのデザインは非常に使い易いと思うんです。まず合わないような空間は考えられないですよね。もちろんモダンな空間にも合うし、華美ではないので、むしろアンティークな古材にだってフィットするのではないかと思います。陶器の白の質感っていう部分では古民家のような空間に持ち込んでみるのもいいかもしれません。親和性もあってなおかつ斬新な何かが生み出せそうな、そんなワクワクするプロダクトですね。スタイリストとしてはこの上ない”素材”ですよ。
1974年山梨県生まれ。インテリアのみならず車や家電、ステーショナリーなどプロダクト全般に造詣が深いインテリアスタイリスト。バンタンデザイン研究所インテリア学部在学中より空間プランナー赤松珠抄子氏に師事し、インテリアスタイリストの道へ。2002年独立し、小道具や撮影背景のスタイリングを担うインテリア&プロップスタイリストとしてテレビ番組などのインテリアコーナーや「LEON」「Begin」等など雑誌を手掛ける。そして雑誌やTVなどメディアでのスタイリングだけでなく、ウインドウディスプレイや マンションのモデルルーム、イベントのデコレーションなども手がける。近年では大手家電メーカーのオフィシャルカタログなどもプロデュース。業態も含めて業界が注目するクリエイターである。2011年渡英。1年半の英国滞在を終え、2013年より再び拠点を ロンドンから東京に移し活躍中。
Interview&Edit:藤川経雄
Photo:木下 誠
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