【専門家監修】新築よりお得!?スケルトンリフォームを選ぶメリットとデメリット、費用についても紹介!

スケルトンリフォームはリフォーム工事の中でも最大規模の工事です。ここまでくると「いっそのこと建て替えた方がいいかな?」と悩むラインに入ってきます。冷静に考えると建て替えた方がメリットの大きいケースも出てきますが、一般的にはスケルトンリフォームのほうがその工事金額も建て替え工事よりも大きく減額されます。また、古民家リフォームのような骨組みを意図的に残したいと考える場合にはスケルトンリフォームの出番となるのです。メリットやその費用などを詳しく説明していきます。

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「スケルトンリフォーム」や「フルリフォーム」とは?

この2つの言葉について改めて考えたことはなかったのですが、現場を知っている側からいうと以下のようなニュアンスになります。

●スケルトン
骨組みだけを残すという意味合いですので、ひとまず内装をすべて引っ剥がして工事をスタートさせます。

●フルリフォーム
スケルトンよりは若干弱いニュアンスかな……という程度でしょうか。

同じと言えば同じと言ってもいいくらい大きく差があるものではないように感じます。

スケルトンリフォームとリノベーションの違いは?

一見すると同じような内容に見えますが、この二つは微妙にニュアンスが異なります。

スケルトンリフォームはその名の通り、骨組だけを残して室内を完全に取り払って行う大規模リフォームだとお考えください。感覚的にはほぼ建て替えと認識していいでしょう。

それに対してリノベーションは、現在の建物の特性や特徴を生かしながらさらに発展させるものになります。

スケルトンリフォームの3つのメリット

リフォームをするときに、スケルトンリフォームが選ばれる特長的な理由を3つご紹介します。

1. 構造をあえて残したい

古民家リフォームがその代表格でしょう。古民家には今では伐採不可能な太くて立派な梁が多数使われているケースが一般的です。

建て替えしてはもったないし、単なるリフォームではその木を活かすこともできなければ魅せることにも適していません。

このようなときにこそ、立派な梁や柱だけを残すスケルトンリフォームは向いているのです。

2. 建て替えたいが資金が少しだけ厳しい

2つ目の理由はこれ。とくに一戸建てをスケルトンリフォームをするケースでは、この理由が多い傾向にあると私は思います。

費用については後で詳説しますが、暮らし始めると完全に以前の環境とは一新されますし、外観までリフォームをするので建て替えた場合に受ける印象と相違がなくなるからです。

3 間取りを根本的に変えたい

和室だけをリフォームしたいなどの1部屋単位での変更であれば問題ないのですが、3部屋を一つにまとめたいなど間取りを根本的に変更したいケースでは、室内の壁などをすべて取り払って設計する方が合理的だからです。

スケルトンリフォームが向かない家は?

1. 2×4などの壁構造を取り入れている住宅

在来工法など一般的な木造住宅の工法で建築された家は問題ないのですが、2×4やその他のプレハブ工法などでの建築物は要注意です。

2×4はパネル工法とも言われるのですが、建物がパネルで構成されていて、それが建築物を支える役目もしています。この工法ではすべての壁が壁構造となっているので、その性質からたとえ1枚でも壁を除去するのが極めて困難だからです。

ですから、中古物件を購入する際には、その工法をチェックするのは必須事項となります。当初はリフォームの意思がなくても、購入後にスケルトンリフォームに予定が変更することもあるでしょう。

2. 昭和56年以前に建てられた建物

部屋の部分リフォームならば大きな問題は発生しないと私は考えますが、スケルトンリフォームをする場合はその内容によっては最新の建築基準を満たさないケースも出てきます。

希望の間取りを入れ込もうとしても、それらの負荷に建物が耐えられないわけです。こうなると、我慢をしたリフォームとなり、せっかくのスケルトンリフォームも台無しです。

ちなみにこの昭和56年というのは、この年を境に建物の耐震基準が変わったのです。ですから、昭和56年以降の建物であれば、柱などが強化されているのでスケルトンリフォームにも構造上対応しやすいとお考えください。

ただ、昭和56年以降建築の中古住宅は耐震性が担保されている分、購入費用も高くなることも覚えておくとよいでしょう。

スケルトンリフォームにかかる費用

スケルトンリフォームをする場合、戸建てとマンションでそれぞれどのくらいの費用がかかるのでしょうか?

戸建ての場合

30坪~40坪程度の一戸建てを想定しますが、700万〜1500万円がボリュームゾーンと思われます。ただし水回りの位置を大幅に変更するなど、水道の配管変更まで伴う工事を入れると、どうしても費用は上がります。

マンションの場合

25坪程度のマンションを想定します。戸建てと比較して面積が少なくなるのと、基本的には2階部分がないので工事個所が一か所に集中するので有利に働きます。

こういった点から工事費用をいくらか抑えることができ、その費用は700万円~1200万円くらいでしょう。

また戸建ての場合は、工事内容によって足場を組む必要があり、特に外壁リフォームをする場合は必ず家の周りに足場を組みますが、この費用がばかにならないのです。

内容別のスケルトンリフォームの費用相場

一部分だけの間取り変更

一戸建ての主寝室(8畳程度)をスケルトンリフォームした事例を例にとります。

比較的簡単な工事でしたが、かかった費用は既存の壁などの撤去費用もすべて込みで55万円でした。一例になりますので基準になりにくいかもしれませんが、実例なのでご紹介しました。

また、間取りを少しだけ変更するスケルトンリフォームも考えられますが、間取りを一部変更する程度であれば、大掛かりな工事にはならないのでやはり30万~50万円で収まるケースが多いでしょう。

2LDK〜3LDKほどの広さの間取り変更

この広さのスケルトンリフォームは、費用と工期がどうしてもかさんできます。

面積に換算すると50㎡~80㎡と思われますが、この数字を元に費用を導き出すと、100万円~500万円の相場ではないでしょうか。

幅が大きいですが、この広さになると導入する住宅設備機器のグレードで大きく値が変わるからです。

水回りを含めた全面的な変更

水回りが絡むスケルトンリフォームはさらに大掛かりになるので、少しだけ慎重に臨みましょう。

費用面で1000万円~1800万円です。先ほど同様に値段の幅が大きくなるのは同じような理由からです。

二世帯住宅への変更

二世帯住宅への変更となると、内容によっては大きな金額になります。もっとも費用が掛かるケースは、玄関、風呂、キッチン、トイレなどを完全に2世帯分作る場合。

これを完全二世帯住宅と言いますが、通常はキッチンだけは2世帯共通にします。しかし、このケースではキッチンを余分に1台設置することになるわけです。

こうなると水道管の新設工事が発生します。もちろん、上水道に加えて下水道の配管も必要ですよね。さらにシステムキッチン本体の価格も丸々かかってくるのです。

簡単に見積もっただけでも、ざっと150万円は増える計算になりますね。50坪の住宅をスケルトンリフォームするのであれば坪単価を3万円上げる要因となります。

キッチンだけでもこうなるのですから、トイレ、玄関、風呂となっていけばその費用の上がり方も想像がつくでしょう。

ここまで前置きしたうえで申し上げますが、50坪程度の二世帯住宅スケルトンリフォーム価格の目安は、1500万円~3000万円と思われます。

ただし、この3000万円を言う数字もとりあえずの上限を切らせていただいただけで、贅沢なものを入れたり、親のことを考えて階段の勾配を緩やかにした特殊な階段を創ればどんどん値が上がってしまいます。

また、昔は特殊な事例でしたが、最近では2世帯住宅建築時に室内エレベーターの導入事例も急速に増えてきました。高価なことに加えてメンテナンス費用もかさむのですが、一考の余地はありますのでご検討ください。

条件があうなら費用も抑えられるスケルトンリフォーム

スケルトンリフォームなる言葉を初めて私が聞いたのは1996年のこと。

長谷工コーポレーションで専務を務められていた方のご自宅で「マンションも戸建てもスケルトンリフォームが当たり前の時代になりますよ」と、登山が大好きという奥様からこの言葉が出てきました。

みなさんに説明した3つのメリットに加えて、安価な中古マンションが将来的にはたくさん市場に流通するということを理論立てて話をされていたので今でも鮮明に覚えています。

賃貸ではなく、マンションや戸建の購入を検討されている方にもスケルトンリフォームはおすすめなのです。

このアイデアの監修者

森住宅コンサルタント株式会社 代表取締役 森雅樹

名古屋生まれ。名古屋市立菊里高校卒業。
法政大学卒業後、大手ハウスメーカーに就職し戸建て住宅営業を経験。
退職後は都内の零細工務店において戸建て営業とリフォーム営業に従事。その後、森住
宅コンサルタント㈱を興して独立。現在は住宅会社と消費者向けの講演、執筆、コンサ
ルティング活動を行う。買う側、売る側双方の立場を熟知したうえでのアドバイスを行
っている。住宅購入者向け、住宅販売者向けの単行本20冊以上。

森住宅コンサルタント(株)
http://mori-consultant.com/

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