地震保険の控除について。一時払いの契約で支払い分は控除されるの?

東日本大震災から、地震に対する不安はより身近なものになりました。その影響で、地震保険の加入率や付帯率は、以前より増えています。特に大地震のリスクが高い地域は、地震保険に加入している人の割合も高いです。ただ、地震保険料はリスクが高い都道府県ほど高く設定されているので、家計の負担が大きくなってしまいます。その負担を少しでも軽減をできるよう、地震保険は支払った保険料に応じて控除を受けられます。地震保険料控除はその年に支払った保険料が対象ですが、5年契約などの一時払いなどはどうなるのでしょうか?今回は、地震保険料控除についての基礎知識と一時払いに関する注意点についてご紹介していきます。

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地震保険の基礎知識! 地震保険料控除とは?

平成18年に税制が改正され、損害保険料控除が廃止されました。それに代わって新設されたのが地震保険料控除です。

地震保険料控除は、地震保険に加入した際に支払った保険料に対して、一定の金額が課税所得金額分から控除される制度です。年末調整や確定申告の際に地震保険料控除の申請をすることで、所得税と住民税から控除を受けることができます。

控除の対象となる地震保険

地震保険料控除の対象契約は、居住用家屋または生活用動産を保険の目的とする地震保険の保険料です。

注意したいのが、居住用家屋については、自己や自己と生計を共にする配偶者そのほかの親族の所有する居住用家屋が対象だということです。生活用動産とは、家具、衣類など、生活をする上で通常必要となるものを指します。しかし、そのほかの資産を対象とする契約でも地震保険料控除の対象となる保険もあります。

地震保険に加入するには、火災保険とセットで加入する必要があります。ただし、控除の対象となるのは地震保険料のみで、火災保険料は対象になりません。

所得税と住民税からどのくらい控除されるのか

地震保険料控除では所得税と住民税から控除されます。ここではどのくらい控除されるのか、それぞれ具体的に見ていきましょう。

【所得税】
●年間支払保険料:50,000円以下……控除額:支払保険料全額
●年間支払保険料:50,000円超……控除額:50,000円

所得税からは最大で50,000円が控除されます。支払保険料が50,000円より多く支払っても、控除額は50,000円です。

【住民税】
●年間支払保険料:50,000円以下……控除額:支払保険料×1/2
●年間支払保険料:50,000円超……控除額:25,000円

住民税は、最大で25,000円が控除されます。支払保険料が25,000円より多く支払っても、控除額は25,000円です。

控除を受けるには何をすればいいの?

地震保険に加入しても、自動的に地震保険料控除が受けられるわけではありません。地震保険料控除を受けるためには、年末調整もしくは確定申告をする際に申請する必要があります。この申請方法や書類の数は、会社員の方と自営業等の方で異なります。

【会社員の方の場合】
だいたい11月から12月に行われる年末調整で申請する必要があります。年末調整をする際に必要な書類は2つです。

ひとつは保険会社から送られてくる「地震保険料控除証明書」、もうひとつは勤務先からもらう「給与所得者の保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」です。2つの書類は必須なので、なくなさずに保管しておきましょう。

地震保険料控除証明書が送られてくる時期などに関しては、加入している保険会社にお問い合わせください。

団体保険に加入している方の場合は勤務先の会社がやりとりしているため、地震保険料控除証明書は必要ありません。

【自営業等の方の場合】
フリーランスの方や自営業の方などは、ご自身で確定申告しなければいけません。その際に「地震保険料控除証明書」のみが必要です。

税制改正による旧長期損害保険の経過措置とは

平成18年の税制改正によって、損害保険料控除が廃止されました。ただし、一部経過措置として旧長期損害保険契約料控除が新設されました。続いて、この旧長期損害保険料控除額について解説していきます。

旧長期損害保険料控除額

【所得税】
●年間支払保険料:10,000円以下・・・控除額:支払保険料全額
●年間支払保険料:10,000円超~20,000円以下・・・控除額:支払金額÷2+5,000円
●年間支払保険料:20,000円超・・・控除額:15,000円

所得税からは最大で15,000円が控除されます。

【住民税】
●年間支払保険料:5,000円以下・・・控除額:支払保険料全額
●年間支払保険料:5,000円超~15,000円以下・・・控除額:支払金額÷2+2,500円
●年間支払保険料:15,000円超・・・控除額:10,000円

住民税は最大で10,000円控除されます。

条件にあてはまる人は、旧長期損害保険料控除についても確認しておきましょう。

どちらの控除も適用できるか?

注意したいのが、地震保険料も旧長期損害保険料も支払っている場合、控除されるのはどちらかひとつで、両方とも適用させることはできないということです。

ただ、地震保険料控除額の方が大きいので、地震保険に加入している方は基本的に地震保険の控除を適用した方がいいでしょう。

長期の損害保険とは何が該当するのか

長期損害保険契約とは、以下のすべてに該当する損害保険契約です。

1. 保険契約日が平成18年12月31日以前であること。
2. 保険期間満了後に満期返戻金(年金給付金を含む)が支払われる契約であること。
3. 保険期間が10年以上あること。
4. 平成19年1月1日以降に契約変更をしていないこと。

具体的に該当する長期損害保険の商品は、年金積立傷害保険、積立型傷害保険、積立型火災保険などです。
自分の加入している保険にこれらの契約がないか、確認しましょう。

地震保険料を一時払いする時の注意点や控除について

中には、割引があるため地震保険料を一時払いされる方もいるでしょう。その際の注意点をご紹介します。

地震保険料控除は、その年の1月1日から12月31日の間で支払った保険料に対して控除されます。そのため、5年などの長期契約で一時払いをした場合、まとめて控除されるのでは? と思いますよね。
しかしそれは違います。この場合、控除されるのは一時払保険料を契約期間(年)で割った金額が対象です。

また、損害保険会社によっては保険始期が12月の契約で、保険料の払い込み方法が分割払または1年契約の一括払いの場合、地震保険料控除証明書が添付されないことがあります。この場合、保険料は翌年の所得から控除されます。

一時払いを利用するなら地震保険控除額の条件をよく確認しよう

地震保険に加入していれば地震保険料控除を受けられます。地震保険料は地域によっては決して安くない金額なので、少しでも控除が受けられるのは嬉しいですね。

地震保険料控除を受けるには、年末調整や確定申告の際に申請が必要です。それまでに大切な書類はしっかりと保管しておきましょう。火災保険のみに加入していて、地震保険を付帯していない方は自分は対象外だ、と決め付けずに旧長期損害保険料控除が適用されるかもしれません。確認しておきましょう。

今後、大きな地震が起きる可能性は高いため、地震保険の必要性も高くなるでしょう。支払う保険料や控除額などを考えた上で、地震保険の加入を検討してみてはいかがでしょうか。

■プロフィール
川添典子
元ハウスメーカーの営業職として、5年間勤務。前職の経験を生かして、暮らしやお金、不動産に関するライターとして役立つ知識をお届けしています。
得意分野は、不動産・住宅ローン・税金・住宅に関することです。
ファイナンシャルプランナー2級と住宅ローンアドバイザーの資格を保有。

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