地震保険と旧長期損害保険の関係とは?地震保険料控除は受けられる?
地震保険がメジャーになる前から、長期の損害保険、いわゆる「旧長期損害保険」に加入していた方もいらっしゃると思います。以前は損害保険料控除の対象でしたが、平成18年の税制改正により、平成19年度から控除の対象外となってしまいました。ですが、一定の条件をクリアしている旧長期損害保険に対しては、地震保険料控除の特例を受けることが可能です。旧長期損害保険と地震保険の関係や、旧長期損害保険料控除の方法について解説していきます。
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旧長期損害保険とは? 地震保険と旧長期損害保険
「旧長期損害保険」とは、過去に損害保険料控除(長期保険料控除とも言います)の対象になった損害保険のことです。保険期間が10年以上、かつ満期返戻金があることが特徴です。
なお、損害保険料控除の対象になっていたのは、基本的には居住用物件に対する保険です。事業用の長期損害保険については対象外となっていました。
地震保険と旧長期損害保険の関係
地震保険は、地震・噴火・これらによって起こった津波を原因とする、火災・損壊・埋没・流失による損害を補償してくれる、災害専用の保険のことです。
地震保険の特徴は、運営を主導しているのが「国」である点です。そのため、保険会社による補償の差や金額の違いは特になく、どの会社から加入しても同じ補償内容になっています。
また、地震保険への加入を促進するためか、平成18年の税制改正により、損害保険料控除が廃止され、代わりに地震保険料控除制度が新設されました。実際に平成19年度から運用されています。
ですが、税制改正によって、今まで保険料控除を受けられていた旧長期損害保険加入者が不利益を被ってしまうため、経過措置として、一定の条件をクリアする旧長期損害保険に関しては、保険料控除を受けられるようになっています。
地震保険料控除の対象となる旧長期損害保険
損害保険料控除廃止の経過措置として、以下の要件を満たす一定の長期損害保険契約等に係る損害保険料については、地震保険料控除の対象とすることができます。
1.平成18年12月31日までに締結した契約(保険期間又は共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものは除く)
2.満期返戻金等のあるもので保険期間又は共済期間が10年以上の契約
3.平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしていないもの
旧長期損害保険が受けられる地震保険料控除の金額とは
上記の通り、旧長期損害保険で一定の条件を満たす契約に関しては、地震保険料控除の特例を受けることが可能です。地震保険料控除によって控除できる金額は以下の表の通りです。
地震保険料は、所得税について最大50,000円、住民税について最大25,000円の控除、経過措置適用の旧長期損害保険料は、所得税について最大15,000円、住民税について最大10,000円の控除が受けられます。
では、旧長期損害保険である火災保険のみ加入していた場合と、旧長期損害保険である火災保険と地震保険の両方に加入していた場合、それぞれの控除適用ルールについて見ていきましょう。
旧長期損害保険である火災保険と地震保険の両方に加入している場合は、その契約が同一契約か別契約かによって、控除できる金額が異なります。
旧長期損害保険(火災保険)のみ加入している場合
旧長期損害保険である火災保険にだけ加入している場合は、経過措置適用の旧長期損害保険料欄に記載の控除が受けられます。つまり、所得税について最大15,000円、住民税について最大10,000円が控除されます。
旧長期損害保険(火災保険)+地震保険を同一契約で加入している場合
旧長期損害保険である火災保険と地震保険に同一契約で加入している場合は、旧長期損害保険か、地震保険か、どちらの控除しか受けられません。両方の控除は受けられないので注意してください。
どちらの控除を受けるかは自由に選択できますので、金額的に得をする方の控除を申請するといいでしょう。
旧長期損害保険(火災保険)+地震保険を別契約で加入している場合
旧長期損害保険である火災保険とは別契約で、地震保険にも加入している場合は、両方の契約を合算して、地震保険の年間控除限度額まで控除を受けることが可能です。
つまり、所得税について年間50,000円まで、住民税について年間25,000円まで控除を受けられます。
地震保険と旧長期損害保険の保険料控除申請方法
地震保険料と旧長期損害保険の保険料控除を受けるには、毎年の年末調整か確定申告での申請が必要です。
会社員の方は、年末調整の際に地震保険料控除の手続きをするのがおすすめです。なぜかというと、確定申告よりも手続きが簡単で、還付金が返ってくるのも比較的早いからです。加入した初年度だけでなく毎年申請が必要になりますので、忘れないようにしましょう。
年末調整で地震保険料控除を申請する際は、「地震保険料控除証明書」というものが必要です。保険会社にもよりますが、一般的には10月ごろに自宅に郵送されます。また、保険に加入した初年度は、地震保険の保険証券と一緒にすでに手元にあることが多いです。もし手元にない場合は、早めに保険会社へ問い合わせましょう。
自営業や確定申告者の方は、確定申告にて忘れずに申請してください。
地震保険と旧長期損害保険、よく確認して控除申請しよう
地震保険と旧長期損害保険は、どちらも保険料控除を受けることが可能です。両方契約がある場合は、同一契約か別契約かによって控除できる金額が異なります。よく確認してから控除申請をするようにしましょう。
■プロフィール
金指 歩
法学部政治学科出身・元信託銀行勤務のフリーライター・ブックライター。神奈川県出身。FP3級を大学在学時に取得。金融系全般、女性のライフスタイルをテーマとした記事を中心に執筆している。
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