掘り出し物を発見!休日はアンティークマーケットでショッピングを楽しもう
ヨーロッパの蚤の市のようなおしゃれなマーケットが、いま都内を中心に盛り上がりをみせています。広場には、日本各地をくまなく歩き、出会った掘り出し物をひろげるお店がいっぱい! フランス、イギリス、ベルギーなどで目利きの個人ディーラーが選んだアンティーク雑貨を並べるお店などが軒を連ね、見ているだけでワクワクしてきます。「行ってみたい! でもアンティーク雑貨は敷居が高くて……」と、二の足を踏んでいるのなら毎週土曜日に開催されている『青山ウィークリーアンティークマーケット』へ足を運んでみてはいかがでしょう。
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気軽に立ち寄れるアンティークマーケット
青山通りにある国連大学本部の広場の一角で開催される『青山ウィークリーアンティークマーケット』。
2011年に港区南青山の骨董通りでスタートし、2014年に毎週末に開かれている「ファーマーズ・マーケット」内に移り、毎週土曜日に開催しています。
「なじみのない人にもアンティーク雑貨を身近に感じてほしい」と、オーガナイザーの塩見さんは言います。塩見さんは自身もアンティーク雑貨に魅了された一人。ショップを開いていたこともあり、ときどきアンティークマーケットに出店することもあるそうです。生活が豊かになるような、そんなとっておきのものをアンティークマーケットのなかから見出し、古きよき道具を暮らしのなかで実際に使っていただけたらと。
都内でも各所で蚤の市や骨董市などが開催されていますが“毎週”開催しているところは、この『青山ウィークリーアンティークマーケット』だけだそうです。毎週開催しているのは「今日はちょっと時間があるから行ってみようとか、ファーマーズ・マーケットに野菜を買いに来たついでにのぞいてみようなど、気軽に立ち寄ってもらえるような場所にしたかったから」と塩見さん。実際、行き交う人を見ていると、野菜の入った袋を手にさげアンティーク雑貨を見ている人や、通りすがりに気になる物を見つけ、吸い込まれるように立ち寄っていくという人を見かけます。
アンティークマーケットに出店する店舗も、生活のなかで使いやすい物や雑貨を扱っているお店に絞って出店してもらっているのだそうです。そして、毎週出店するお店もあれば、月に1度だったり、年に1度だったり、月に2、3回出店するお店など、そのときどきによってアンティークマーケットの雰囲気も変わります。
わからないことはお店の人に聞いてみる
蚤の市や骨董市などに興味があるけれど、どうやって見てまわったらいいのかわからないという人もいると思います。そんな場合はどうしたらいいのでしょう。「まずは気軽に1軒、1軒のぞいてみてください。そのなかで『これなんだろう?』と思う物があったら、お店の人に聞いてみてください」と塩見さんは言います。
気になったのはどんな物なのか。どこの国で、何に使われていたのか、何年ごろの物なのか、そういったその物の価値がわかると、興味が湧いてくることでしょう。興味が湧いてくると、いつしか“初心者的な緊張”も解け、きっと次から次に、いろいろと見てみたくなってくると思います。お店の人との会話を楽しめるのも、こういったマーケットの醍醐味かもしれませんね。
それではさっそく、アンティークマーケットを歩いてみます。
軒先にたくさんのポスターが並んでいます。レトロな色合いの美しいイラストに目を奪われていると「これは1900年代のファッション誌の広告なんです」と〔Eureka(エウレカ)〕の本間さん。〔Eureka〕はフランスの物を中心に扱っており、ヴィンテージファッション誌の広告を額装し、インテリアツールとして提案したり、パリ在住のジュエリーデザイナーから直接買い付けたアクセサリーや雑貨なども並べています。
1940年代のフランス製の陶器。粘土泥漿を凸凹とした複雑な形に石膏型などで成型した陶器に錫釉などガラス質の釉薬をたっぷり使って彩色した物なのだそう。色合いがとても特徴的です。
白銀の輝きが目を引く〔L’AMITIE(ラミティエ)〕。1900年代前半のフランスのフラットウエアがテーブルに並びます。「この頃のフランスには小さな工房がたくさんあったそうです。フランスでは、テーブルセッテイングは背の部分が見えるようにフォークやスプーンを並べるので、裏側にも美しい装飾が施されています」と〔L’AMITIE〕の熊倉さん。
「スプーンをよく見ると、純銀を証明するホールマークと、ひし形のマークが刻まれています」と熊倉さんが刻印を見せてくれました。ひし形のなかに“HS”と彫られています。これはフランス・パリで1884年から1910年頃まであった〔Henri Soufflot(アンリ・スーフロ)〕という銀製品のブランドの刻印なのだそうです。この三日月の形をしたナイフは、丸い満月の形をしたスプーンと合わせて使い、スプーンにのせた物をお皿にサーブする際に使ったりするそうです。
フランスやベルギー全土から集めてきた雑貨を並べる〔La Grasse Matinee(ラ グラスマチネ)〕でかわいいスタンプを見つけました。「こちらはフランスの物で、1950、60年代に小学校の授業のなかで使われていたスタンプです」と、赤井さん。フランス語が彫られているスタンプは、綴りを覚えるために使われていたそうです。また、単位が彫られているスタンプもあり、実際にノートに押して見ることができます。
赤井さんはフランスに5年住んでいた経験があり、フランス・クリシー市にお店を構え、そこを拠点に1950年代近辺のさまざまなジャンルのブロカントを集めているのだそう。買い付けへ行く際も、フランス語でやりとりができるため、価格交渉もスムーズにでき、その分、日本で比較的リーズナブルに提供することができるのだそうです。
木箱に白磁器をずらりと並べているのは〔器たつのこ〕。これらは1950〜60年代に、瀬戸・多治見地方で海外輸出用に生産されたデッドストックなのだそうです。「日本製でクオリティがひじょうに高いから、ふだん使いにぴったりだよ」と掘西さん。
きれいな白色の磁器を眺めていると「サウジアラビア航空!」「日本航空!」というポップが目に飛び込んで来ました。器をひっくり返すと、裏には「JAL」の印字が。「これは機内食の器として作られた物です。飛行機マニアの人にもすごく人気がありますよ。重ねて食器棚にしまえるから普段使いにいいでしょ」と、掘西さんのおすすめの一品です。
ヨーロッパのミリタリーウエアやワークウエア、シルバー小物を並べる〔otanishop〕。アムステルダムやパリ、ベルリン、チェコ、ポーランド、ポルトガル、ハンガリーなどへ仕入れに出かけ、日常に活用できるウエアを提案しているのだそう。
ショップを営む尾谷さんが着るコートもインナーも、スニーカーもミリタリーもの。ふだんのコーデに、どのようにミリタリーウエアを取り入れたらいいのか参考になります。ご主人が描く独特なタッチのイラストをプリントしたTシャツやバッグも人気があるそうです。
色とりどりの物が並ぶアンティークマーケット内でもとりわけ異彩を放っていたのが〔蔵フィティ〕の《BORO(ボロ)》。江戸時代から何代にも渡り、布を再生して、つぎ当てを重ねたボロ着物は《BORO》として世界から注目を集めています。これは裂いた布と糸で織る“裂き織り”という手法で作られた東北地方の衣服。これを目当てに海外からもお客さんが来るほどだとか。
喜多方市に店を構える〔蔵フィティ〕のブースには東北、会津の古民具や会津木綿の古着、アケビやヤマブドウの蔓で編んだカゴなどが並んでいます。この会津木綿の野良着も外国のお客さんが次々と手にとって見ていました。
イギリスやフランスのアンティークを扱う〔C’est la vie ! Robin et B.R. Antiques?〕。並べられているアンティークの品々はもとより、それぞれを並べるディスプレイの仕方にも見入ってしまうほど、限られたスペースに見事な世界観を作りあげています。
「いまライトをつけるので、ちょっと待っててくださいね。このライトで照らしてあげると、すごくいいんですよ」とオーナーのマツモトさん。マツモトさんが作った温かみのあるライトに照らされると、道具たちの存在感がグッと引き立ちました。
1940〜60年代頃のフランスのおもちゃ、ままごとセット。マツモトさんは国内外のマーケットへ足を運び、その道具を手にした人の顔を思い浮かべられる物だけを買い付けるのだそうです。「お金持ちの家のこどもが遊ぶままごとセットです。金持ちしか遊べなかったってちょっとしゃくですよね」とマツモトさん。一つひとつに物語があるような、そんな品々が並んでいました。
今回、予備知識ゼロで訪れた『青山ウィークリーアンティークマーケット』でしたが、1軒、1軒どんなものが並んでいるのか見て歩くのがとてもたのしく、また、お店の方々から聞く話はとても興味深く、ついつい長い時間、聞き入ってしまうほどでした。公式サイトには、その日に出店するお店の情報が掲載されています。事前にチェックして行くのもいいかもしれませんね。
長い時を経て、いまそこにある古い道具たち。誰かが作り、使ってきた道具には一つひとつ物語を感じます。それをまた次の人が引き継ぎ、使う。アンティークマーケットには、そんな一期一会がたくさんあります。そんな出会いを見つけに足を運んでみてはいかがでしょう。
【イベント概要】
●イベント名:『青山ウィークリーアンティークマーケット』
●開催日:毎週土曜日
●時間:10〜16時
●会場:青山・国際連合大学前広場「青山ファーマーズ・マーケット」内
http://www.thejmp.com/
●ライター 忍章子
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