外壁塗装で行われる吹き付けタイルとは?そのメリット・デメリットを解説します
塗装工事にはたくさんの工程があり、材料の種類も多いものです。いざ塗装工事をするときになって施工業者にさまざまな説明を受けても、一度で把握することは難しいでしょう。この先何十年も暮らしていく住宅だからこそ、その家の環境に合ったより良い材料を使用し、より良い工程で施工してもらうことが重要です。そのために、ある程度の知識をあらかじめ身につけておくと良いかもしれません。そこで今回は、外壁塗装の工法の一種である「吹き付けタイル」についてご紹介したいと思います。
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吹き付けタイルとは?
吹き付けタイルとは、その名の通りタイルを貼る工事というわけではなく、実際にはモルタル外壁に仕上げ塗装を行う際の工法の一種です。モルタル外壁とは、外壁の下地材をワイヤーなどで補強した上からモルタル(水・砂・セメントを混合したもの)をコテで塗り付け、その上を塗装して仕上げた外壁のことです。数十年前までは一般的な住宅の外壁に多く採用されていました。
モルタル壁の仕上げの方法には、吹き付けリシン、吹き付けスタッコなどいくつかの種類があり、吹き付けタイルもそのうちの1つです。一般的なモルタル外壁の塗装は3工程(下塗り→中塗り→上塗り)ですが、吹き付けタイルは4~5工程(下塗り→主材1~2回→中塗り→上塗り)と工程が多くなる特徴があります。
次に、吹き付けタイルの工程の詳細について見ていきましょう。外壁を洗浄したのち下塗りをして「スプレーガン」と呼ばれる工具を使い、外壁に主材のベースを吹き付けます。ただし、塗料を吹き付けただけでは凹凸をつけることはできませんので、模様吹きの上塗りをした後でローラー、コテ、コンプレッサーなどを使用し、表面に凹凸模様をつけて柄を作ります。
仕上がりのパターンとして、塗料を吹き付けたまま表面の凹凸を残した仕上げ方法や、凹凸をなくし均等に馴らし表面を平らにする方法などがあります。模様を吹き付ける施工は職人さんの腕次第で出来栄えも変わってきます。この辺りはマニュアル通りの施工で技量に左右されにくいサイディング外壁の仕上げ方とは異なる特徴です。
たとえば、国家資格である一級塗装技能士の試験にはスプレーガンを用いた吹き付け技能の実技試験があるほど、均一で美しい吹き付け模様を仕上げるためには高い技術が必要です。吹き付けタイルは特殊な塗装方法のため、経験豊富で技術力の高い職人さんが在籍する塗装業者に依頼することをおすすめします。
また、塗装の耐久性は仕上げの塗料の選定によって大きく異なってきます。以前はアクリル系の塗料がよく使われており、その耐久性は数年ほどと短いものでした。しかし現在最もポピュラーな塗装はシリコン系塗料を用いたもので、その耐久性は10年ほどに延びています。さらに上のランクとなるフッ素系塗料は少し高価になりますが、15~20年ほどの耐久性があります。
吹き付けタイル使用のメリット
【1.ひび割れに強い】
吹き付けタイルの塗料素材は、弾力があるものとないものの2つの種類があります。弾力性に乏しい硬質な塗料は比較的安価ですが、ひび割れしやすい特性を持っています。
それに対して弾力性がある吹き付けタイルは、弾性効果がありひび割れしにくい素材で構成されています。建物の微細なひび割れにも追従してくれますから、もし外壁の下地材にひび割れが入ってしまった場合も、塗膜の弾性機能によって雨漏りしにくくできるのです。また、防汚性と防水性が高いという利点も備えています。
【2.耐久性が高い】
エポキシやウレタンなどの合成樹脂に、珪砂や寒水石などを混ぜたものを材料とするため塗膜も厚く、単にローラーで塗り重ねているものよりも耐久性が高く、下地への密着性も優れています。
【3.施工時間が短く、費用が安い】
手塗りと比べ、塗料をスプレーしていくため、広い面積を一気に塗ることができます。施工にかかる時間が短い上、施工に必要な作業員の人数も少なくて済むためコストが抑えられます。
・手塗りの相場
ウレタン塗料…約2,000円/㎡
シリコン塗料…約2,200円/㎡
・吹き付けタイル仕上げの相場
ウレタン塗料…約1,800円/㎡
シリコン塗料…約2,000円/㎡
【4.デザインが重厚】
塗膜が厚く、陶磁器質タイルのような風合いが得られるため重厚感のある仕上がりが望めます。その上高い技術力を持っている職人さんが手掛けてもらえば、美しい模様や独特の質感を演出することも可能です。
吹き付けタイル使用のデメリット
【1.飛散が多い】
塗料をスプレーで吹き付けるため、周辺への飛散が多くなります。近隣の家の迷惑にならないよう、施工前の養生をしっかりしておく必要があります。そのため、準備に時間がかかってしまいます。
【2.騒音が発生する】
吹き付けタイルの塗装作業では、必ずエアスプレーガンを使用します。そのためにはコンプレッサーで空気に圧力をかける必要があります。その独特の響く音がうるさいと嫌がる近隣の人も出てくるかもしれません。だいたい1日で終わる作業ですので、作業前に近隣の人に挨拶へ行っておいた方がいいでしょう。
まとめ
最近の住宅ではサイディング材の外壁が主流になっており、吹き付けタイルを見かけることは少なくなってきました。しかし、独特の雰囲気や塗り壁ならではの風合いを好む方も少なくなく、吹き付けタイルによる塗装は根強い人気を誇っています。外壁の全体ではなく、部分的なアクセントとして採用する家もあるほどです。住宅の外観に個性を求める方や、愛着の湧く外壁に仕上げたいという方なら塗り壁+吹き付けタイルの工法を検討するのは一案でしょう。
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