
プッシュアップ工法とは?特徴や費用、注意点まとめ
地盤沈下などによって傾いてしまった家を水平になるように修正するには、さまざまな工法があります。今回ご紹介するプッシュアップ工法とは、家の傾きを修正する工法のなかでも、早くから確立されていた方法です。その特徴はどのようなものなのか、かかる費用や注意点とあわせてご紹介しましょう。
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プッシュアップ工法の特徴
プッシュアップ工法とは、傾いてしまった家の基礎を土台として切り離し、建物のみをジャッキアップにより水平に修正する工法です。「土台あげ工法」や「軸あげ工法」、「あげ舞い工法」「曳家工法」などとも呼ばれています。
この工法がほかと違うのは、「どれくらい上がっているのか」「どのポイントでジャッキアップをしているのか」が目に見えてわかるところです。そのため、基礎下にトンネルを掘って作業をするほかの工法とは違って、繊細な作業が可能となります。
【プッシュアップ工法の施工手順】
まず、建物の沈下状況を確認後、ジャッキアップする準備のため、基礎部分を削ります。このときに、基礎と家の土台をつなぐアンカーボルトを切断して基礎と土台を切り離したら、油圧ジャッキを設置します。
家の傾きを修正したら、土台を仮受けして再度アンカーボルトを継ぎ足すなどして溶接します。基礎と土台の間にできたすき間を補強したらモルタルなどで固めて終了です。
【プッシュアップ工法のメリット】
基礎の底板や現状の地盤を触ることなく施工ができ、工事期間が比較的短いのが特徴です。2~3週間程度で完了します。基礎形式は、ベタ基礎でも布基礎でもどちらでも施工が可能で、10㎝程度の傾きまでが有効です。また、基礎と土台を切り離すので、シロアリなどが原因で傷んでしまった柱や土台を一緒に入れ替えることもできます。
作業はほとんどが手作業で、大きな工具や重機などは使用しません。また、基礎部分を削るとき以外、騒音やほこり、振動はあまりありません。近隣住宅への配慮も最小限で済むでしょう。さらに、住みながら施工できるため、引っ越しなどの対応は不要です。
基礎強度のない古い住宅には、基礎下で修正を行う工法は使用できません。その場合、プッシュアップ工法が最適となります。
プッシュアップ工法の費用
プッシュアップ工法は、工期が短く、比較的安価にできる工法です。料金は、建坪15~20坪の総2階建てで、2,000,000円~3,000,000円程度といわれています。なお、費用相場に幅があるのは、建物によって違いがあるためです。使われている木材の強度や床材の種類でも施工時の手間や工数は変わってくるため、その分、費用も変動します。
また、沈下の仕方や面積によっても料金に違いがあります。工事後には家の周囲の補修工事が必要になる場合もありますので、「どこまで直すのか」の許容範囲を施工会社と相談しながら決めていくといいでしょう。
料金が比較的安価な工法のため、安易に価格だけで工事会社を決めてしまう傾向にあります。施工会社に依頼する際は、施工事例の多くある工事会社を選ぶようにするといいでしょう。工事後に後悔しないためにも、比較検討は複数の会社から見積もりを取って、希望に合った工事会社を見つけてください。
プッシュアップ工法を行う際の注意点
プッシュアップ工法で家の傾きを修正する場合は、下記の点に注意が必要です。
【地盤が安定していること】
地盤が沈下して傾いてしまった基礎を土台として家の傾きを修正するこの工法は、地盤の不同沈下が終息していて、再沈下の可能性が低い安定した地盤である必要があります。軟弱地盤の場合や、現在も地盤沈下が起きている場合、この工法で修正しても再沈下が起きてしまいます。
【傾きは10㎝程度であること】
ジャッキアップをする際、建物にかかる負担はそれなりにあるため、一般的には10㎝までの傾斜がこの工法に向いているといわれています。それ以上の傾きがある場合には、他の方法を検討するのがよいでしょう。
【建物の築年数】
アンカーボルトを切断したり基礎を一部壊したりするため、耐震強度を心配する声もあるでしょう。ですが、古い住宅の場合、基礎下の修正ができるだけの基礎強度を持たない場合もあり、その場合はプッシュアップ工法を選択する必要があります。将来的には建て替えを考えているなどで、「とりあえず」の処置として傾きを修正する工事をしたい場合には、安価にできるプッシュアップ工法で修正するのがおすすめです。
まとめ
今回は、家の傾きを修正する方法のひとつとして、家をジャッキアップするプッシュアップ工法をご紹介しました。条件や注意点はありますが、ほぼ手作業で済む比較的安価な方法ですので、選択肢のひとつに考えてみるとよいでしょう。他の工法とも比較し、施工業者と工事内容や費用を相談しながら、家にとって最適な方法を選んで、傾きを修正してください。
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