家の傾きの修理方法にはどのようなものがある?各工法をわかりやすく解説

もし家の傾きが見つかったら、早急に修理を検討するのが最善策です。しかし傾きを修理する工法にはいくつもの種類があり、それらの選択によって予算や工期は大幅に異なってきます。また、家の状態や傾きの原因に応じて、適した工法を選択する必要もあります。そこでこちらの記事では、家の傾きを修理するための数々の工法について性質や手順、適した家の状態などをご紹介します。

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家の傾きの修理には多くの工法がある。その種類は?

家の傾きを直す工事は1種だけではなく、複数の工法があります。家が傾いてしまった原因や、傾き方の性質によって適切な工法の選択も異なってくる点には注意が必要です。「予算がこれだけなので、それに合っているこの工法で」と簡単に選べるとは限りませんので、その点を把握しておきましょう。こちらでは、家の傾き修理の数々ある工法について詳しくご紹介します。

【1.硬質ウレタン注入工法】
住宅の基礎の下部に空間ができて傾いている場合に有効で、その空間部分に硬質発泡ウレタンを注入してすき間を無くし、傾きを元に戻します。費用がリーズナブルで工期が短いというメリットがありますが、地盤改良や耐震補強の役割は十分に果たせません。軟弱地盤の土地や住宅の基礎自体がしっかりしていない場合には施工が難しくなりますから注意しましょう。

【2.アンダーピニング工法】
住宅の基礎の下に長い鋼管を埋め、さらに深いところにある硬質地盤にまで刺すことで、地盤をしっかりと支えます。また、家の傾きはジャッキアップによって修正します。費用が高額になる点や、長い鋼管を使用する大がかりな工事となるため土地が狭小な場合は施工が難しくなるなどのデメリットもあります。しかし、耐震性の強化や再沈下の防止には高いレベルで対応できる工法です。もし地盤が軟弱で鋼管の杭で固定することも難しい場合には、この工法ではなく地盤そのものを硬くする「グランドアップ工法」の方が有効になるかもしれません。

【3.耐圧盤工法】
住宅の基礎の下部に穴を掘り、その下部にある硬質地盤の上に板やブロックを置くことで底上げして家の傾きを修正します。アンダーピニング工法に似た工法ですが、材料などが少なく済むため費用は若干抑えられます。ただし、この工法を採用できる住宅には条件があり、硬質地盤が浅い位置にあることや地盤沈下が完全に終了していて再沈下の可能性がないことを確認する必要があります。

【4.グランドアップ工法】
基礎や地盤に大きな穴を開けたりせず、地盤そのものを硬く作り変えることで傾きを修正しながら地盤を改良する工法です。5~10mほどの深さからセメントミルクやベントナイト、珪酸ソーダなどを注入して地盤の強化と土地の盛り上げを同時に行い、家の傾きを元に戻す工事となります。薬剤を土壌に混ぜる工法のため軟弱地盤でも工事を行える点や、狭小な土地であっても作業が容易な点がメリットです。地盤そのものを物理的に固めるため、効果の持続性も高い点が特長。

【5.プッシュアップ工法】
住宅をジャッキアップしてできた空間をモルタルで埋め、物理的に傾きを修正する方法です。工事は難しくなく工期も比較的短くなりますが、硬質ウレタン注入法と同様に対症療法のような修正法となるため、再沈下が懸念される場合や地震で液状化するリスクがある土地への適用は難しくなります。

傾きの状況に応じてどの修理方法を選ぶべきか

家がどのような原因で傾いていて、傾き方の特徴がどのような状態であるかを把握しなければ、適した修正の工法は選べません。こちらでは、傾きの状況などで適切な工法を判断するポイントについてご紹介します。

【1.地盤が軟弱なことで家が傾いた場合】
単純に地盤が緩いため沈下して家に傾きが起こっている場合は、地盤を強固にして再沈下を防げる「グランドアップ工法」や「アンダーピニング工法」が有効です。ただし、硬質地盤がかなり深いところにある場合はアンダーピニング工法で用いる鋼管も長くなるため、施工が難しい場合があります。

【2.水回りの劣化などが原因で家が傾いた場合】
液状化や地盤沈下が原因ではなく、水回りのシロアリなどによる食害や腐食で家が傾くこともあります。その場合は修正とともに水回りの設備を解体して部材を取り替えながら修繕する必要があります。地盤さえ安定していればプッシュアップ工法や硬質ウレタン注入法で対処できますが、浴室などを解体しなければいけませんからその交換費用が掛かってしまいます。

【3.狭小な土地の家を傾き修正する場合】
隣の家との距離が近いなど、工事にもさまざまな障害がある狭小地の住宅は、大きな部材や建機を必要としない工法の選択が必須となります。具体的には、薬剤で土壌を硬くするグランドアップ工法や、セメントや凝固する液体で地盤を強化する「グラウト注入工法」「ダブルロック工法」などが適しています。

修理方法を決める際の注意点

家の傾き修理の工法を決める際は「予算・費用だけで工法を決めないこと」や、「施工業者の選定」がポイントになると覚えておきましょう。費用が安く上がるからと、適切でない工法を選んでしまうと根本的な傾きの解決につながらないことがあります。また、費用が高いから工事の品質が良いとも限りませんから注意しましょう。

また、業者選びの際には「保証付きの工事を行ってくれるか」「有資格者が在籍する業者であるかどうか」「ご近所への配慮をしっかりできる業者か」など、工事そのもの以外の要素にも注意して選定することが工事を成功させるポイントです。

まとめ

こちらの記事では、家の傾きを修正するための工法のご紹介や工事の方法を決定する際の注意点についてご紹介しました。家はこの先何十年と暮らしていくものですから、予算が足りないからと一時しのぎの工事で済ませたり、傾きの状態に合わない工法を選んだりしてしまうと後悔を招きかねません。家は一生ものですから、末永く安心して住めるように適切な工法で修繕を行ってあげましょう。

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