
高齢化社会に注目高まる「サービス付き高齢者向け住宅」とは
総務省の統計によると、2016年8月時点の日本の高齢者数は全人口の27.3%です。約4人に1人が65歳以上であることが分かっています。こうした社会の高齢化が進む中で注目されている施設の一つに、生活支援や見守りを受けながら暮らすことができる「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」があります。
今回は、この「サ高住」と投資家向けの融資制度についてみていきましょう。
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比較的健康な高齢者を対象とした住宅の不足
高齢で介護が必要になってきた場合、自宅での生活が難しくなることがあります。こうした高齢者が身の回りの世話や介護を受けながら生活できる介護施設にはいくつかの種類があります。
例えば、社会福祉法人や地方公共団体が運営する「特別養護老人ホーム(特養)」があります。特別養護老人ホームは入居金や利用料などが低額であるため、応募倍率が高く、入居の可否を市町村の委員会が決定することもあり、入居のハードルは高いのが現状です。
その一方で、民間運営の「介護付き有料老人ホーム(有老)」は入居の難易度はやや低く、施設の設備などは充実していますが費用は高額です。
最近は高齢でも比較的健康で、介護や身の回りの世話などがほぼ必要ない、あるいは軽度の支援のみで生活できるという人も少なくありません。そのような人は、老人ホームよりも必要な時にだけ支援が受けられる高齢者を対象とした住宅が適しているといえます。しかし、これまでの日本には高齢者向けの住宅が外国に比べて不足していました。
自立した高齢者を対象とした施設には、社会福祉法人や民間が運営する「一般(自立)型ケアハウス」がありますが、身寄りがなかったり、経済状況に問題があったりする高齢者が優先のため、近親者が近くに暮らしている人や、資産がある高齢者の入居は難しい状況です。
必要に応じた生活支援が受けられる「サービス付き高齢者向け住宅」
そのような状況を受け、2011年に「高齢者住まい法」が改正され、厚生労働省と国土交通省が管轄する「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が誕生しました。
「サ高住」は、バリアフリー構造で、自由に利用できる共同設備があり、各部屋は完全個室となっています。また、希望者には有料で食事を作ってくれるサービスがあります。外出する場合も許可を取る必要は基本的にありません。軽度の介護が必要な高齢者でも入居が可能です。ただし、介護サービスを希望する場合は、必要に応じて入居者が外部事業者に申し込む必要があります。
また、「サ高住」では、「生活相談」と「安否確認」という、二つのサービスを提供することが必須条件です。
● 生活相談
常駐の生活相談員が、入居者の買い物やゴミ出しの手伝い、介護や人間関係に関する相談、緊急時に医療機関や身内などへの連絡を行います。
● 安否確認
直接各部屋のインターホンを鳴らすなどの人的なサービスと、室内のセンサーやカメラなどを使用したシステムサービスの二種類があり、施設によってその内容は異なります。
融資制度や減税措置などの手厚い支援
この「サ高住」は、社会福祉法人や介護事業者だけでなく一般の不動産投資家でも運営が可能です。入居者のニーズが多い「サ高住」は優良な投資対象の一つになるでしょう。ターゲット層と入居動機の両方が明確なので、立地条件が良くない場合でも客付けしやすいというメリットがあります。
「サ高住」は、通常よりも建設費などが高額になりがちです。しかし、行政から建設費の補助などを受けることも可能ですし、「本人に安定収入がある」「綿密な事業計画がある」など複数の条件をしっかりと満たせば、住宅金融支援機構の融資制度も利用できます。
また、2016年度の減税措置として、2017年3月31日までに取得した物件には「サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制」が適用されます。具体的な内容は以下の通りです。(※床面積、戸数などの個々の要件を満たしている必要があります。)
・ 所得・法人税の割増償却が5年間14%となる
・ 固定資産税が、市町村の条例に基づき5年間軽減される
・ 不動産取得税(家屋)が課税標準から1,200万円控除される
・ 不動産取得税(土地)が床面積の2倍にあたる土地面積分の減額が受けられる
さて、今回は「サ高住」についてみてきました。プライバシーやセキュリティの観点からみて「サ高住」は、これからの時代に合った住宅でしょう。また、投資家の立場からみても、国や行政からの援助があり、高い需要が見込まれます。
「サ高住」への投資は、安定的に賃貸収入を得るための一つの選択肢になるでしょう。ただし、まだまだ高齢者の間で、「サ高住」の存在が十分に認知されておらず、サービス内容への理解も足りません。そのメリットとデメリットを、よく考えた上で、物件を検討しましょう。
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