ウェス・アンダーソン監督、ビル・マーレイらと共に新作撮影現場からNY映画祭に登場!
9月29日から10月10日まで開催されていた第59回ニューヨーク映画祭で、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザ...
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9月29日から10月10日まで開催されていた第59回ニューヨーク映画祭で、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2022年1月28日公開)のウェス・アンダーソン監督とキャストたちがトークを行った。とは言っても、レア・セドゥとジェフリー・ライトらがニューヨーク市内の会場に登壇し、現在スペインで新作映画を撮影中のアンダーソン監督、ビル・マーレイ、エイドリアン・ブロディ、スティーブ・パーク、ジェイソン・シュワルツマンはヴァーチャル出演という、“ハイブリッド”トークとなった。
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「会場に行かれなくてすみません。いつもだったら、どんなことがあってもニューヨーク映画祭を欠席することはないのだけれど、新しい映画の撮影中なので仕方ありませんね」と挨拶するアンダーソン監督。『天才マックスの世界』(98)から『フレンチ・ディスパッチ』に至るまで、過去9本のアンダーソン作品に出演しているマーレイは、「今夜はBBQでした。だから、肉をたくさん食べたんですよ。スペインの人々はハムなど肉類が好きですからね…。私たちは、45人が大きな長いテーブルに着いて一緒に食事をします。みんなお行儀がいいので、事件が起きて警察が出動することもありません。みなさんがいまご覧になった駄作より良い映画ができていると思いますよ(笑)」と、いつものひょうひょうとした口調で、冗談とも本音とも受け取れる発言をして観客を沸かせた。
会場にいるセドゥは、『グランド・ブダペスト・ホテル』(13)以来でアンダーソン組に参加したが、撮影前に脚本を受け取っていなかったという。彼女はスクリーンの向こうのアンダーソン監督に向かい、「私のセリフだけ抜き出したものが送られてきました。だから、撮影中は映画全体についてよくわかっていませんでした。ウェスはフランス映画、特にヌーヴェル・ヴァーグを愛しているので、私たちは情熱を共有していました。ウェス、本当に素晴らしい映画を作りましたね! これはフランス映画へのラブレターだと思います」と語りかける。
『フレンチ・ディスパッチ』が撮影されたのは、フランス西部の小さな街、アングレーム。フランスで映画を作った理由について聞かれたアンダーソン監督は、「もう何年も、1年の半分以上をフランスで過ごしているので、フランスで、大好きなフランスの俳優と一緒に映画を作りたいと思いました。雑誌をテーマにしたアンソロジーと、海外で暮らすアメリカ人として経験してきたことを活かした作品のアイデアがあり、フランス映画のイメージから頭の中で解釈していたフランスの小さな街を、初めて訪れたアングレームの街で見つけることができたのです」と答えた。
また、ネスカフィエ警部補を演じたパークも、スペインからヴァーチャルで登場。あの独特の髪型は、フランスで活躍した画家がインスピレーション源だと明かした。「ウェスが、藤田嗣治の写真を見せてくれたのですが、私が子どもの頃にしていた髪型そっくりで。ネスカフィエは修道士のようなものなので、Netflixの『シェフのテーブル』に出てくるチョン・クワンという仏教の尼僧からもインスピレーションを受けて、一途で献身的で料理に全ての愛を注ぐキャラクターを作り上げました」。
アングレームの街そのものが登場人物のようであった、と語るプロデューサーのジェレミー・ドーソン。ロケ地となったフランスの小さな街について、「通常、私たちは出演者全員で同じホテルに泊まり、移動時間480秒以内の場所で撮影を行います。ホテルの前の道、向かいにある教会、道路を隔てた広場などです。アングレームで見つけた巨大な工場跡の倉庫にセットを作り、街角にジャック・タチの映画に出てくるような小さな建物を建てたりして、すでにある景色とのハイブリッドで映画を撮影しました。
この小さな街を、私たちの映画のユニバースに取り込みたかったのです。だからこの街の住民のみなさんも映画の一部になりました。すでにあったものと私たちが作ったものの融合が、まだ見たことのないものになっていればいいと思います」と語る。どの映画も、一目で“ウェス・アンダーソンらしい”とわかるロケ地やビジュアルは、こうしたハイブリッドから生まれていたことがわかる。今作のロケーションも、映画のトーンを築くために大きな役目を担っている。
本作は、2022年1月28日公開だが、10月30日(土)に開幕する第34回東京国際映画祭の「ガラ・セレクション」部門でも上映が行われる。
文/平井伊都子
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