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「あの作品」ヒストリーvol.2 marmellataさんの、花びらジャム

自身の代名詞ともいえるような、長年愛され続けている作品をもつ作家さんに、その作品の誕生秘話を語っていただく連載企画。第2回目は、山梨県で果樹園を営むmarmellataさんと、おいしくて美しい「花びらジャム」の登場です。

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marmellata(マルメラータ)

山梨県南アルプス市で果物づくりをする傍ら、ジャムやお菓子も製作。金箔柚子茶で「2018ダルメイン国際マーマレードアワード」金賞を受賞。

 
marmellataさんが手がけるフードの中でも、ひときわ注目を集めるのがおいしくて美しい「花びらジャム」。小瓶の中に、透き通ったジャムと一緒に閉じ込められた花びらはとても幻想的で、見る人をたちまち虜に。対面販売では必ず人だかりができる、大人気のジャムです。

今回は、そんなmarmellataさんの「花びらジャム」ヒストリーに迫りました。

桃の花の美しさ

「花びらジャム」はどのように生まれたのでしょう。

marmellata

わたしたちは南アルプス市の果物を栽培する農家で構成されたNPO団体です。ジャムのイベントをきっかけに農産の加工も行うようになりました。最初は果樹園で穫れる果物でスタンダードなジャムをつくっていましたが、ある春の日に、ふと頭に浮かんだのが花びらジャムでした。

marmellata

山梨の春。南アルプス市からは富士山をバックに桃の花が広がる景色をたのしむことができる、とてもきれいなシーズンです。たくさんの方がカメラ片手に市内を散策するのですが、実はわたしたち果樹園主は、この時期、咲き誇る桃の花を摘み取っては地面に落とす「摘花」という作業をします。1本の枝につける桃の実をひとつにするために、多すぎる花はあらかじめ少なくする必要があるんです。

marmellata

美しいピンク色の花を摘み取るたびに「この花びらをどうにか活かせないか」と考えていました。そしてある日、「ジャムの中にただよわせてはどうか」と思いついたのです。

ナイスアイデア、ですね。実際に商品として完成した後は、すぐにヒットへとつながったのでしょうか。

marmellata

「桃の花びらジャム」はそのかわいらしさゆえ、販売開始当初から大評判でした。ところがすぐに、一部のお客さまに納得いただけていないことに気がつきました。原因は「香り」です。「桃の香りはしないのね」とさみしそうな表情を浮かべるお客さまに、「桃の花びらからは、桃の香りはしないんです」と説明をするわたし。さらに、添加物を使わなかったことで、お店に並べて販売すると蛍光灯などの紫外線にさらされ、半年もしないうちにピンクから茶色っぽく変化してしまうこともわかりました。

 
評判を得ながらも、課題が生まれてしまった「花びらジャム」。marmellataさんは今一度、自分たちのつくりたいもの、届けたいものについて考える時間をつくったのだといいます。

課題への挑戦

marmellata

わたしたちがつくるジャムは、山梨の特産品である桃の「おいしさ」と「一面に咲き誇る花びら」のイメージに重きを置いたものでした。一方でお客さまが「桃の花びらジャム」と聞いて期待していたのは桃の「香り」と「ピンクの花びら」をたのしめるジャムだったのです。わたしたちは自分たちがつくりたいものを押し付けていたのだと気付きました。

 
それからは、「食べると桃の香りが広がり、きれいなピンク色をできるだけ長くたのしめるジャムをつくること」に専念したのだそう。

marmellata

課題である香りと色味に加えて、酸味や口当たりの硬さ、花びらの散らばり具合も含め、試行錯誤を重ねました。最終的には、添加物を使わないまま、桃の天然香料と赤大根から抽出した色素を使うことで、食べても眺めてもおいしい「桃の花びらジャム」が完成。よりたくさんのお客さまによろこんでいただけるようになりました。

ヒット後も研究を重ねることで完成した、色味と香りの良さだったのですね。ゆらゆらと浮かぶ花びらも本当に美しく、うっとりしてしまいます。

marmellata

「桃の花びらジャムは、花吹雪が舞う春の風景を思い出してもらえるように」という想いを込めて、ジャム瓶の中に花びらがまんべんなく広がるよう工夫しています。花びらに不純物が入らないよう、ピンセットでひと花づつ選別する、非常に時間のかかる手作業を経て完成していますので、すこしお待ちいただけないとお届けできないこともありますが、ご了承ください。

四季を閉じ込めて

「花びらジャム」はご自身にとって、どのような存在ですか。

marmellata

日本には四季があり、季節の旬を感じる味と香りと風景があります。花びらジャムはそんな四季を、箱庭のように小さなジャム瓶に閉じ込めた「日本的なジャム」だと思っています。

秋を閉じ込めた「金木犀の花びらジャム」は、輝くような美しさと爽やかな風味から、「桃の花びらジャム」以上の大ヒット作に。

「花びらジャム」の新作情報や今後の展望をおしえてください。

marmellata

研究を重ねて得たわたしたちの花びらジャムの製法は、よりフレッシュな香りを閉じ込めることができるようになっています。今後も香りに特徴のある花や、姿がきれいな花を使ったジャムをたくさんつくっていきたいです。

 
ヒットの後にも研究を重ねることで、より長年愛されるものへと変貌を遂げた「花びらジャム」。眺めて食べてたのしめる逸品は要チェックです。

marmellataさんのギャラリーには、今回ご紹介した花びらジャムをはじめ、ぶどうジャムやりんごジャム、シャインマスカットプリンなど、南アルプスのフルーツを使った色とりどりのおいしいフードもたくさん並んでいますので、ぜひご覧ください。

次回の作品ヒストリーもおたのしみに。

 
取材・文 / 西巻香織

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