【小さなお店 #2】東京の小さなリトアニアで出合った、ぬくもりあるクラフトとチョコレート
街角に佇む小さなお店。知らない街を訪れて吸い込まれるように入ったら、大好きな作家さんの器がちょこんとわたしを待っていた。いつもの街で気づかなかったドアを開いてみたら、ハンドドリップのコーヒーがとびきりおいしかった……。そんなお店を見つけた日の帰り道って、あたたかくて幸せな気持ちになりますよね。この連載では、そんな小さなお店をご紹介しています。
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今回ご紹介するお店は、外苑前のヴィンテージマンションでひっそりと営まれながらも、活動はワールドワイド。いま注目を集めるリトアニアと日本の架け橋となっているお店です。
静かなヴィンテージマンションの中、ひっそりと。見つけるまでも楽しい〔LTshop〕
外苑前から歩いて7分ほど。外苑西通りと明治通りをつなぐ神宮前3丁目交差点の角に建つ、シンボリックなヴィンテージマンション「原宿ニューロイヤルマンション」。今回ご紹介する〔LTshop〕は、この中にあります。
このマンション、以前わたしの取引先オフィスがあり、2ヶ月ほど毎日通った場所。当時は仕事ばかりしていたのでじっくりと環境を楽しむ余裕がなかったのですが、〔LTshop〕がオープンして以来、プライベートで訪れる場所に。とても魅力的な空間です。そこだけ違う時間が流れているような、まるで異国のような。
中庭奥のエレベーターで2階に上がると中庭越しに見えるのが〔LTshop〕。ここまでで、すでにトキメキます。マンションの中のお店ってちょっと入りにくいところも多いけれど、通路に面した一面がガラスで中の様子を伺えるので、ご安心を。さあ、一歩、中へ。
この場所から、日本各地へ。東京の小さなリトアニア
ここ〔LTshop〕は、店主の松田沙織さんが「リトアニアの文化を日本に紹介したい」と始めたお店。7年前、大好きなお芝居をきっかけにリトアニアを訪れた松田さんは、街で出合ったクラフトや親日家であるリトアニアの人々に魅せられ、「それなのに日本ではリトアニアのことがあまり知られていない」と、「リトアニア ダイアリー」という名の展示会をスタートしました。
展示を見て終わり、ではなく、手にとり、生活の中に持ち帰ってもらいたいという思いから販売もし、回を重ねるうちに、各地のショップやイベントから声がかかりはじめたのだとか。
そして4年前。拠点となる「自分のお店」を作っておきたいと、「リトアニアダイアリー」を開催していた原宿ニューロイヤルマンション内に〔LTshop〕をオープン。現在はここを常設のお店とし、百貨店や大手インテリアショップでのポップアップショップ、地方のショップでの展示会など、精力的に活動し、リトアニアの輪を広げています。
ぬくもり溢れるクラフトに、エッジの効いたエッセンス
店内に入ると、まず目に入るのが、ヘーゼルナッツや松の根などで編まれた大小のかご。色の濃淡やフォルムもさまざま。リネンや鉢物を入れるのによさそうな大きなタイプは、わたしもいつか自宅に迎えたいとねらっています。暮らしぶりを知る友人への引っ越し祝いにもよさそう。
器類や木製のクラフトも、ぬくもりがありながらも美しく、日本の伝統工芸と相通じるものを感じます。
ドットが美しいピッチャーや鳥笛のような、インテリア要素の強いものから入る人もいれば、木製のコースターやスパチュラなど、使いやすい雑貨から入る人も。ひとつが生活になじめば、またひとつ、と次のなにかを迎えたくなるはず。
また、上質なリネンでも知られるリトアニアのアパレルブランド〔muku(ムク)〕や、リトアニアの小さな工房でつくられた靴などは、新作が発表されると受注会も開催。
東京のヴィンテージマンションの一室でデザインとサイズ、色を決め、リトアニアで製作されたものが手元に届くなんて、夢があってわくわくしますよね。どのアイテムも、着心地や履き心地、使いやすさを大切にしながらもしっかりと“デザイン”されており、とても素敵です。
そして、今ではチョコレートの特集やイベントでもすっかりとおなじみになったビーン トゥー バー・チョコレートブランド〔チョコレート ナイーブ〕も、じつは松田さんがリトアニアで出合い、日本での販売を実現するために尽力したブランド。
日本でのお披露目となった会場は、リトアニア大使館。訪れたことがなくともリトアニアの景色が広がるような表現の豊かさ、伝えたいことが明確な味わい、そして洗練されたパッケージに感動してからというもの、新作を追ったり、おなじみのフレーバーに戻ったり。ずっとリピートしています。
ギフトにもぴったり。日本のライフスタイルにもなじむリトアニアの文化
「本店だから一番商品がたくさんあると思ってきていただいたのに、(お店が)小さくてびっくりされることもあって」と松田さんは恐縮していましたが、どんなに小さくても起源はここ。彼女の溢れる思いがぎゅっと詰まっていて、物足りなさなんてちっとも感じません。
「リトアニア ダイアリー」時代、手の届きやすい絶妙な価格設定について聞いてみると、金額がハードルになってそこで縁が切れてしまうより、持ち帰って生活の中に置き、使ってもらうことで、縁が続く方を望んでとのこと。いまも、あちらこちらで“リトアニア”の文字を目にすると、そのときの彼女の話を思い出します。ああ、あそこから続いて、広がっているんだなぁと。
この時期は、クリスマスのギフトにぴったりの蜜ろうキャンドルやオーナメントも並んでいます。年末のギフト選びや、新年とともに自宅へ迎えるアイテム探しに、東京の小さなリトアニアを訪れてみませんか?
【LTshop】
●住所:東京都神宮前3丁目38-11 原宿ニューロイヤルマンション♯212
●電話:03-3401-0302
●定休日:不定休
※買い付けやイベントのためにクローズしていることもあるので、訪れる前に営業日を確認しておくと安心です
●ライター 醍醐由貴子
ライター。女性誌から男性誌まで、ジャンルはフードからライフスタイルまで、幅広く活動中。すっかり意見するようになった息子に助けられつつ、日々奮闘しています。
●写真 さくらいしょうこ
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