省エネ住宅にする際に利用出来る補助金や税制をまとめてご紹介
省エネ住宅はエネルギーの消費量を抑えることができるとともに、住む人にとっても快適な住まいをつくることができるものです。しかし気になるのが、導入するための初期費用がかかってしまうという点。その問題を解決するために補助金や税制が充実しているので、今回は代表的な制度をご紹介します。
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省エネ住宅の補助金の種類
せっかくなら家を建てる際に省エネ性も取り入れたいと考える方は多いでしょう。
一定の省エネ性を求めて施工をすると補助金が受けられるので、以下では、どのような補助金があるか見てみましょう。
【住宅ストック循環支援事業】
住宅ストック循環支援事業とは、若者の住居費負担の軽減と良質な既存住宅の流通を拡大すること、耐震化率、省エネ化率の向上などを目的とした補助制度です。
2016年10月に実施が決まりました。支援されるのは「良質な既存住宅の購入」、「住宅のエコリフォーム」、「エコ住宅への建替え」の3つで、いずれも持ち家が対象となります。
このうち、省エネ住宅に関する補助は「エコ住宅への建替え」です。
エコ住宅への建て替えの対象となるのは、耐震性のない住宅を除去し耐震性のあるエコ住宅を建てること、予算が成立した2016年10月11日以降か、事業者登録した日のいずれか遅い日に工事着手することが要件です。
木造住宅とそれ以外の住宅では省エネ性能が異なっていたり、長期優良住宅認定の有無によって評価が異なっていたりすることから、星5段階で評価される「BELS」という省エネ性機能表示に則って補助額も異なります。
《木造住宅の場合》
■省エネ性能が一次エネルギー消費量等級5、トップランナー基準、BELS3
認定長期優良住宅の場合は上限500,000円/戸、それ以外は上限400,000円/戸
■省エネ性能が一次エネルギー消費量等級4、断熱等性能等級4、BELS2
認定長期優良住宅の場合は上限400,000円/戸、それ以外は上限300,000円/戸
■BELS4あるいは5
認定長期優良住宅とそれ以外の住宅ともに上限500,000円/戸
《非木造住宅の場合》
■省エネ性能が一次エネルギー消費量等級5、トップランナー基準、BELS3
認定長期優良住宅の場合は上限400,000円/戸、それ以外は上限300,000円/戸
■BELS4
認定長期優良住宅の場合は上限500,000円/戸、それ以外は上限400,000円/戸
■BELS5
認定長期優良住宅とそれ以外の住宅ともに上限500,000円/戸
【すまい給付金】
「すまい給付金」とは、消費税の引き上げによる住宅取得者の負担を減らすための制度。収入によって給付額が変わるしくみになっています。
床面積が50㎡の住宅であること、引き上げ後の消費税率が適用される住宅であること、ホームインスペクションなど第三者機関の検査を受けた住宅であることが住宅の要件となります。
対象者の要件は、対象となる住宅に居住する人であること、収入額が一定以下であることです。
また、住宅ローンを利用しない場合は50歳以上であり、住宅が「フラット35S」と同等の基準を満たすことが挙げられます。
この時に基準のひとつとなるフラット35Sとは、フラット35に申し込んだ人が、省エネルギー性、耐震性などに優れた住宅を建てる際に借入金利を引き下げることができる制度です。
フラット35Sの基準は、省エネ性、耐震性、バリアフリー性、耐久性の4つ。
中でも省エネ性に関しては、「一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4または省エネルギー対策等級4」というエコ住宅に必要な基準が設けられています。
前述の通り消費税率や収入額によって給付額は変わりますが、例としては以下の通りです。
■消費税率8%の場合の給付額
収入が4,250,000円以下…300,000円まで
収入が4,250,000〜4,750,000円…200,000円まで
収入が4,250,000〜5,100,000円…100,000円まで
【ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)支援事業】
現在、国を挙げて省エネを推奨していますが、中でも「ZEH(ゼッチ)」というエコ住宅が注目されています。
ZEHとは、住宅における年間の消費エネルギーを正味ゼロ以下にする住宅のこと。断熱性や省エネ性能を向上させて使用するエネルギー量を減らすとともに、太陽光発電などによってエネルギーを作り出すことでゼロにすることを目指します。
2020年までに標準的な新築住宅で、2030年までに新築住宅の平均がZEHになることを目標としているため、補助金での支援を行っています。
申請者が居住する住宅であること、新築建売住宅の場合は申請者が建売住宅の購入予定者でもあることなどが要件となっていて、賃貸住宅や集合住宅は基本的に対象外となります。
補助金の上限は、一戸あたり1,250,000円で、寒冷地のため外皮を強化する必要がある場合は1,500,000円となっています。
また、ZEHの要件を完全には満たしていないものの限りなく近い「Nearly ZEH」に認定された場合も、1,250,000円までの補助を受けることができます。
省エネ住宅で優遇される税制
一定の省エネリフォームを行うと減税制度が受けられることもあります。
省エネ住宅の場合は、主に所得税と固定資産税が関係するため、以下で詳しく見てみましょう。
【投資型減税】
所得税が控除される制度です。
対象となる工事は、すべての窓の改修工事、あるいは窓の改修工事と合わせて行う床、天井、壁の断熱工事とその設置工事、太陽光発電設備設置工事です。
いずれも省エネ改修を行う部分が現行の省エネ基準を満たすこと、対象となる工事費用から補助金等を控除した金額が500,000円を超えることなどが条件となります。
省エネ改修に関わる標準的な工事費用の10%を所得税から控除し、上限額は2,500,000円、太陽光発電設備も設置する場合は3,500,000円が上限となります。
【ローン型減税】
こちらも投資型減税と同様に所得税が控除される制度です。
投資型減税がローン借入の有無に関わらず受けることができるのに対し、ローン型減税は償還期間が5年以上のローンを組んでいることが条件となります。
対象となる工事は、すべての窓の改修工事、あるいは窓の改修工事と合わせて行う床、天井、壁の断熱工事です。
こちらも改修部分が現行の省エネ基準を満たすこと、対象となる工事費用から補助金等を控除した金額が500,000円を超えることなどが条件ですが、それに加え、改修後の省エネ性能が現状から一段階相当以上上がる工事であることも必須となります。
控除額は、断熱改修工事に関わるローンの年末残高の額の2%および、断熱改修工事以外の増改築に関わるローンの年末残高の1%が5年にわたって所得税から引かれます。
【固定資産税の減税】
固定資産税に関する制度で、ローン型減税と同様、窓の改修工事、あるいは窓の改修工事と合わせて行う床、天井、壁の断熱工事が対象となります。
ただしこちらはすべての窓である必要はなく、改修部分が現行の省エネ基準を満たすこと、対象となる工事費用から補助金等を控除した金額が500,000円を超えることが条件です。
また、平成20年1月1日以前から建っている住宅が省エネ工事を行った場合に、翌年度分の家屋の固定資産税額が3分の1減額されるというものです。
エコリフォームでの補助金
新築ではなく、既存の住宅をエコ仕様にリフォームする場合を対象とした補助金もあります。
その際は以下のような補助を受けることができます。
【住宅ストック循環支援事業】
新築のエコ住宅の際の補助としてご紹介した住宅ストック循環支援事業ですが、エコリフォームも支援の対象となります。
エコリフォーム補助は、自ら居住する住宅についてエコリフォームをすること、エコリフォーム後の住宅が耐震性を有すること、予算が成立した2016年10月11日以降か、事業者登録した日のいずれか遅い日に工事着手することが要件です。
さらに、以下1〜3のいずれかひとつを行うことが補助を受ける際の必須条件となります。
1、ガラス交換、内窓設置など開口部の断熱改修
2、外壁、屋根、天井または床の断熱改修
3、太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯器、節水水栓のうち、3種類以上を設置する工事
補助金額の限度額は一戸あたり300,000円で、工事別の補助額については以下の通りです。
1、開口部の断熱改修…3,000〜25,000円/箇所
2、外壁、屋根、天井または床の断熱改修…外壁改修は120,000円、屋根・天井改修は36,000円、床の断熱改修は60,000円
3、太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯器、節水水栓のうち、3種類以上を設置する工事…節水水栓は3,000円、それ以外は24,000円
【住宅省エネリノベーション促進事業】
住宅省エネリノベーション促進事業とは、住宅の省エネ化を促進するために、既存の住宅の高断熱化や省エネリノベーションを後押しする事業。
改修工事と同時に、高性能な家庭用設備の導入費用なども支援しています。
基本的には申請者が居住する住宅であれば、戸建のほか集合住宅であっても申請することができますが、同一人物が複数の物件を申請することはできないなどの制約もあります。
以下では、対象となる家庭用設備についてご紹介します。
■電気ヒートポンプ(エコキュート)
定められた年間給湯保温効率または年間給湯効率が3.0以上であること。寒冷地の場合は2.7以上がラインとなります。
■潜熱回収型ガス給湯器(エコジョーズ)
エネルギー消費効率が94%以上であること
■潜熱回収型石油給湯器(エコフィール)
発電および排熱利用の効率が、低位発熱量基準で定められた基準の80%以上であること
■ヒートポンプ、ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器)
電気式ヒートポンプと潜熱回収型ガス機器と併用するシステムで貯湯タンクがある。
電気式ヒートポンプの効率が定められた基準を満たし、かつガス機器の給湯部熱効率が95%であること
補助額については、以下の補助率または補助金の上限のうち、いずれか低い額が採用されます。
■ガラス、窓、断熱材などの高性能健材
補助対象費用の3分の1以内、あるいは1戸あたり1,500,000円まで
集合住宅50戸の場合は1,500,000円×50戸が上限
■蓄電システム
kWhあたり50,000円、あるいは補助対象費用の3分の1または500,000円のいずれか低い金額まで
■高効率給湯器
補助対象費用の3分の1以内、あるいは150,000円まで
補助金の申請方法
補助金の申請方法はそれぞれ異なりますが、以下では代表的なものをご紹介します。
実際には施工会社の方にフォローしてもらいながら進めることになりますが、必要なものをあらかじめ確認しておくと安心です。
【住宅ストック循環支援事業】
まずは事業者の基礎情報を登録。
交付が決定するまでは補助金交付が確約されないので、そのあたりの認識についても確認をします。その後、事業者から事務局へと交付申請が行われます。
この時、除去する住宅が耐震性を有しないものであることを証明する書類、エコ住宅の性能証明書や確認済み証の写し、建築主の本人確認書類などが提出されます。
そして交付が決定すると、事務局から事業者へと連絡がいき、住宅購入者にも交付決定の旨が伝えられます。
そして工事に着手する際に、事業者を建築主との間で補助金の受け取りに関する規約が結ばれます。
工事が完了すると、完了報告を行います。
この時に必要になるのが、「減失登記」と呼ばれる除去住宅の閉鎖に関する証明書、「表示登記」と呼ばれるエコ住宅の登記事項証明書、エコ住宅であることの検査済証の写し、住宅購入者の住民票など。
これらが受理されると、補助金が確定し交付されるという流れです。
【ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)支援事業】
まずは交付申請書に必要事項を記入し、「実施計画書」、「外皮計算書」、「補助金申請算定表」を用意します。
実施計画書には、申請する住宅の高断熱外皮や設備の仕様、年間の一次エネルギー削減量を算出して記入します。外皮計算書は、申請する住宅の外皮平均熱貫流率等の根拠となる計算を記したものです。
そして補助金申請算定表は、申請する住宅の仕様をもとに割り出した補助対象費用を書いたものです。
そのほか、蓄電システムを購入する場合は見積書やリース代を記した書類、研究所が定めた計算法に則って算出した計算結果や建築図面なども用意しなくてはなりません。
また、印鑑証明も必要なので忘れずに手配しましょう。
【住宅省エネリノベーション促進事業】
こちらも最初に交付申請書を提出するところからはじまります。
審査に通過すると交付決定通知書が発行されるので、受理したら速やかに工事を行わなくてはなりません。
そして工事が完了したら「補助事業実績報告書」を提出し、これが認められたら補助金が支払われるという流れです。
まとめ
これらの申請の際には「SII(環境共創イニシアチブ)」を介する機会が増えることが予想されます。不明点があったらSIIに問い合わせることもできるので、尋ねてみるのも良いでしょう。また、補助制度は随時新しい情報が更新されていきます。工事を考えている場合は早めに確認等を行うよう心がけましょう。
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