和室を洋室にリフォーム|5つの大切ポイントと費用の相場を専門家が解説

専門家監修のもと、和室を洋室にリフォームする際の押さえておきたい5つのポイントと、費用の相場を解説。畳や床の間など、和室をどこまでリフォームしたらいいの? マンションと戸建てのリフォームの違いは? といった疑問点も説明しています!

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和室から洋室へのリフォームを考える人は多い

「親が他界した。30年前に新築した時は特に考えることもなく『和室はとりあえず必要だろう』と設計して建築した」

このようなケースがとても多いのです。ところが、今の生活ではその和室はまったく使っていないことに気づいて「無駄な空間だな……」と思いつつ日々の生活を続けているわけです。

ここ数年は減築という言葉が市民権を得るほどに広まりつつあります。家族の減少で部屋が余ったりすると、その部屋をつぶして家そのものを小さくしてしまうことを減築というのですが、せっかく建てた家ですから、減築ではなく余った和室を洋室にリフォームして活用しようと考える人も増えてきました。

和室を洋室にリフォームする上での大切な5つのポイント

1.和室をどこまでの洋室にリフォームするのか

私がいつも気にかかるのがこの問題。和室から洋室へリフォームをする決断をしたのはいいですが、皆さん必ず悩むのが「和室をどこまで洋室にリフォームするか?」ということです。

もっとも簡単な事例を挙げると、畳をフローリングに張り替えるだけのリフォーム。これも列記とした和室⇒洋室へのリフォームにはほかなりません。

これに対して完全な洋室へ衣替えするのであれば、畳をフローリングにするのはもちろんですが、押入れをクローゼットに変更しなくてはなりませんし、床の間も撤去しなくてはおかしいですよね。

これには予算が絡んでくるわけですが、和室から洋室へのリフォームを検討する場合には、はじめに「どの場所をどこまでリフォームするのか」の方向性や優先度をしっかりと決めることから始めてください。

2.マンションと戸建ての違い

分譲マンションの和室を洋室に変えるリフォームも大変ポピュラーな工事の一つといえるでしょう。物置同然の和室を何とか活用しようと考えるのは、ごく自然なことだと私は思います。ただ、戸建てであれば何をしようと構わないのですが、マンションの和室を洋室へリフォームする場合は要注意です。

問題となるのは階下への騒音問題。1階ならば良いと思いますが、2階以上に住んでいる方は注意を払うポイントがあります。

畳はその見た目や感触からわかるようにクッション性があるので、その上を歩く音などはある程度吸収されます。しかし、これがフローリングとなると畳と違うので、その音はそのまま階下へ響くこととなります。もちろん、それを押さえるために一定の厚みをもったコンクリート層があるのですが、それでも畳と比べれば音が響きやすいことは容易に想像できるでしょう。

また、マンションにおいてリフォームする場合には、管理組合規約にのっとって工事をしなくてはならないケースが多いでしょう。勝手に工事をするわけにはいかないことが、マンションリフォームにとって若干の足かせになるのです。

3.段差問題

畳を横から見たことはありますか? 通常そのような機会はないのですが、実は6cmとけっこうな厚みがあります。ところが、フローリングはこんな厚みはありません。

畳の厚みが6cmでフローリングのそれが1cmと仮定しましょうか。この場合、6cmの畳を剥がして1cmのフローリングを貼ればその差は5cmもあります。つまり、洋室に入ると5cmの段差ができてしまうことになります。もちろんリフォーム業者はそこを合わせて工事をしてくれるのですが、そこで問題が発生することも少なからずあるのです。

床のかさ上げをして段差をなくすために、それを支える工事をするのですが、この工事内容がずさんで床鳴りを起こすケースがたまにあるのです。

ただ、これはレアケースではあります。そうそうこのようなことは起こらないのですが、ごくたまに聴くことがある事例なので注意をしてください。

4.見た目のバランス

「どこまでのリフォームをするか?」と前述しました。これは工事金額にも大きく影響するのでこの問題をはっきりとさせましょう、とお話ししたのですが、金銭的な問題と並んで大事なのはその見栄えですね。

フローリングだけ貼って終わりにするリフォームも選択としてはありますが、見た目のバランスとしては最悪です。

床が板張りなのに目線を上にやると純和風。やはり変ですよね。何らかの意図があるとか、予算上どうしようもないのであれば致し方ありませんが、本来ならば避けたいところでしょう。

5.ドアスペースはあるか

これが意外な盲点。和室の入り口は基本的には引き戸。板張りのドアか襖かはわかりませんが、横に引く引き戸には変わりありません。

ところが、洋室に変更すると一般的には開き戸になります。想像してほしいのですが、引き戸から開き戸になると、その扉を開く分だけスペースが必要になりますよね。

ところが、古い住宅の場合このスペースが取り切れないこともあるので注意をしてください。また、扉を廊下側に開くことは可能であっても、それが廊下の動線を完全に遮断するようなこともあります。

一人で住む家ならば問題ないのですが、複数の家族で住む場合には、この開いたドアが邪魔になったり、ときには思い切り顔を強打して怪我をすることにもなりかねません。

和室から洋室へのリフォームにかかる費用

畳をフローリングに変えるだけのリフォームであれば20万円~30万円で十分にできるでしょう。ただ、マンションの場合は階下への防音性も考慮しなくてはなりませんので、対策仕様として若干費用が上がるかもしれません。

また、和室を全面的に洋室へ変更するリフォームを行う場合は、50万円~100万円をみなくてはなりません。実際のデータを見ても50万円を超える工事が全体の50%以上を占めています。

もちろん上を見ればきりがありませんが、150万円程度を見込めば、凝った照明を選ぶ余裕も生まれて素晴らしい洋室に生まれ変わらせることが可能となります。

ただ、そうは言っても費用をなるべく抑えたいと考える方が圧倒的に多いと思います。

和室から洋室へのリフォームにおいて、その工事費用を少しでも安く抑えるポイントがあるのでご紹介します。

費用を安く抑えるうえで最も大事なのは、入り口の位置を変えたり、収納の位置を変えたりしないことでしょう。入り口の場所を変える人は実際にはあまり聞かないケースですが、ひとまず頭に入れておいてください。

使わない和室は洋室にリフォームしてしまいましょう!

新築の住宅に和室を設定しない人は年々増えてきています。和室を作るにしても、畳が敷いてあるだけの部屋であり、和室ではないケースも増えてきています。

日本古来の素晴らしい空間ではありますが、現状の生活とはある程度の乖離がみられるのが和室ではないでしょうか。

とくに、親世帯と一緒に暮らしていた方で、その親が他界した時にこの和室の処理に困るケースが多いようです。また、親は存命なものの、足腰が弱くなり和室の生活が厳しくなるケースもここ最近は激増しています。

こういった事情を考えてみると、余った和室を使い勝手の良い洋室にリフォームする需要は今後ますます増えることが予想されています。

このアイデアの監修者

森住宅コンサルタント株式会社 代表取締役 森雅樹

名古屋生まれ。法政大学卒業後、大手ハウスメーカーに就職し戸建て住宅営業を経験。
退職後は都内の零細工務店において戸建て営業とリフォーム営業に従事。その後、森住
宅コンサルタント㈱を興して独立。現在は住宅会社と消費者向けの講演、執筆、コンサ
ルティング活動を行う。買う側、売る側双方の立場を熟知したうえでのアドバイスを行
っている。住宅購入者向け、住宅販売者向けの単行本20冊以上。

森住宅コンサルタント(株)
http://mori-consultant.com/

※賃貸物件の場合、退去の際に原状回復を行う義務があり、修繕費用が必要となる場合があります。必ず賃貸借契約書を確認の上で、家主や管理会社の許可を取ってから作業を行いましょう。

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