太陽光発電は北側に設置しても大丈夫なの?発電量の違いや注意点を紹介
太陽光発電の導入において、発電パネルの向きによって発電量が変わることはご存知ですか? パネルの向きは屋根の形状や立地条件、設置方法などによっておのずと決まってきます。一般的に日当たりが悪いと言われる北側では、南側と比べてどれほど発電量の違いがあるのでしょうか。ここでは、太陽光発電を北側に設置する場合の発電量や注意点などについて紹介します。これから太陽光発電の導入を検討する方は、ぜひ参考にしてみてください。
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北側に設置した太陽光発電は発電量が減る?
太陽光発電は日光で発電するシステムのため、日射量が多いほど発電量が多くなります。日射を多く受けるには発電パネルの向きと角度がポイントで、日当たりの悪い真北の場合は発電量が大幅に下がります。そのため、もっとも発電量が多い南側を100%とすると、真北の場合はその65~66%の発電量に留まります。
もちろん、周辺環境や屋根の勾配によって多少の違いはありますが、計算上では南側の3分の2しか発電していないことがわかります。そのため、システム設置の初期費用を回収するためには通常の1.5倍の期間が必要です。
南側が10年で回収できるものが北側では15年かかるとなると採算が合わず、業者から導入しないほうがいいと提案されるケースも少なくありません。実際に太陽光発電のメーカーでは、原則的に発電パネルの北側設置を禁止しているところも多くなっています。
禁止していないメーカーでも、北側に設置した太陽光システムはメーカー保証の対象外になってしまう場合がほとんどです。特に、完全北側で屋根の傾斜が1面のみの「片流れ屋根」の場合は導入してもメリットがなく、設置が不可能とされています。
発電量はさまざまな要因で変化する
太陽光発電の発電量が影響を受けるのはパネルの向きだけでなく、温度や日照時間によっても変わります。一般的な発電パネルの表面はガラスでできていますが、内部はシリコンです。シリコンは高温になると機能が低下してしまう性質があるため、真夏など気温が高い時は発電効率が下がってしまいます。
また、メーカーのカタログに記載されている性能表示は、発電パネルの温度が25℃の場合の発電量です。1℃上がるごとに発電効率は0.4~0.5%下がり、10℃上がると4%ほど低下します。パネルの温度は気温よりも30~40℃上昇すると考えられているので、40℃近くなる夏場はパネルの温度が70℃前後になり、10~20%ほど発電効率が悪くなるのです。
さらに、太陽光発電の発電効率は、日照時間が大きなキーポイントになります。太陽は東から昇って南を通り、西に沈んでいくため、住んでいる地域によって日照時間が変わります。そのため、太平洋沿岸の地域は日本海側に比べて日照時間が長く、発電量も多い傾向があります。
その他、発電パネルの角度によっても発電量は変わります。同じ条件で計測した場合、もっともバランスが良いとされる30°を基準として、0°(水平)になると89.3%、90°(垂直)になると67.1%という数値になります。つまり、角度が大きすぎても小さすぎても発電効率が下がるという訳です。
北側に設置する際の注意点は?
北側が太陽光発電に不向きとはいっても、最終的に発電量を決めるのは複合的な要因です。北西や北東など真北から少しずれている場合や、北以外の方角を向いた屋根もある場合は、南向きの80%程度の発電量が確保できる場合もあります。まずは信頼できる業者に相談し、設置を希望する場所での発電量シミュレーションをおこなってみましょう。
業者からシミュレーションと見積もりが届いたら、下記の公式で計算してみましょう。太陽光発電導入のために支払う初期費用が、10年間で回収できるかどうかがわかります。
・現金で導入する場合:初期費用÷発電金額≦10
・ローンで導入する場合:(初期費用+総金利負担額)÷発電金額≦10
もしも初期費用を10年で回収できれば、それ以降に発電した電気はすべて利益となります。10年以内は発電パネルのメンテナンスをする必要はありませんが、10~15年頃からパワーコンディショナの交換費用などが発生します。そのため、初期費用回収に10年以上かかるのであれば費用対効果が低いため、導入を考え直したほうが無難です。
また、北側に太陽光パネルを設置する場合、パネルに反射した光が近隣トラブルになるケースがあります。反射光は眩しいだけでなく、近隣の室温上昇にもつながります。これは光害と呼ばれ、夏場は特に深刻なトラブルになりかねないため、計画段階でパネルの光がどう反射するか、確認しておくことも大切です。
まとめ
太陽光発電を北側に設置する場合は南側よりも発電量が少なくなり、初期費用を回収するための期間は長くかかってしまいます。発電量は日照時間や温度など外的要因に左右されますが、10年以内に初期費用が回収できないと導入メリットがありません。まずは信頼できる業者に見積もりとシミュレーションを依頼し、検討してみましょう。
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