外壁を施工する際の湿式工法とは?基礎知識やメリット・デメリットを解説

ご自宅の外壁塗装が、どのような工法で行われているか詳しくご存じでしょうか。外壁塗装の工事には大きく2つに分けて「湿式工法」と「乾式工法」があり、それぞれ作業の手順や施工後の特徴などが大きく異なります。今回はそれらのうち「湿式工法」を取りあげ、性質や特徴、メリット・デメリットなどについてご紹介します。

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湿式工法とはどんな工法か

湿式工法とは、簡単に説明すると「材料に水を混ぜてその場で壁材を作り、湿った状態で施工する工法」を指します。外壁の場合はモルタルや漆喰の壁が良く知られ、同じ材料を使用した場合でも左官職人さんの技術やセンスによってさまざまなイメージや質感を演出できる点が特徴です。

また、タイルや石を貼り付ける外壁の施工においても湿式工法が用いられる場合があります。タイルや石材の外壁への接着にモルタルなど湿式工法の材料を使用するケースで、具体的には「団子貼り」や「圧着貼り」と呼ばれる貼り方が湿式工法によるものです。

湿式工法のメリット・デメリットを説明します

こちらでは、湿式工法が持つ4つのメリットと3つのデメリットについてご紹介します。

【メリット1:塗り壁特有の性能】
漆喰やモルタルなど湿式の塗り壁材は、素材特有の有用な性能を持っています。たとえば漆喰の外壁には防火性能や断熱性能がありますし、モルタル外壁も高い遮音性や防火性、耐衝撃性を備えています。

【メリット2:色や質感のバリエーションが豊富】
湿式工法では現場で材料を混合してから施工するため、色合いや質感などの微妙な調整が可能です。乾式工法では工場で生産された資材をそのまま使用するため、その場で色調などを調整することはできません。

また、水を混ぜた材料を使用することで、刷毛やコテなどを用いた左官作業によって風合いやデザインを工夫できます。腕の良い職人さんに任せれば、他の家にはない「我が家だけの壁」を作ってもらうこともできるかもしれません。

【メリット3:カビが付着しにくい】
モルタルや漆喰に代表される湿式の壁材は強アルカリ性のため、有機物を分解する性質を持っています。つまり殺菌作用があるため、カビなどが発生しにくく長く美しい状態を保つことができます。

【メリット4:結露を防げる】
湿式の壁材には微細な多くの穴が空いているため、空気中の湿気を適度に吸い込んでは放出する機能があります。その作用で結露を防いでくれるため、建物自体の耐久性を損ないません。

【デメリット1:施工時に長時間の乾燥を要するため工期が長い】
湿式工法のデメリットには、塗り壁の場合・タイル貼りの場合共通で工期の長さが挙げられます。水分をたっぷり含んだ壁材を塗って施工するため、それをしっかり乾燥させるための時間を要するのです。工事を完了させたい時期が決まっている場合や、乾燥しにくい気候の時期の施工には適していないと言えます。

【デメリット2:施工できる業者が限られる】
建築業界全体の傾向として、最近では外壁の工事も効率化を求めて湿式工法から乾式工法への移行が進んでいます。そのため、左官作業ができる職人さんの絶対数も減っており、塗り壁を施工できる業者そのものも少なくなっている傾向にあります。

【デメリット3:施工コストが高め】
前の項目で述べた通り湿式工法で外壁を施工できる業者が少なくなっているため、湿式の外壁工事そのものがレアなケースになりつつあります。そのため、漆喰やモルタルでの外壁工事にかかるコストも比較的高くつくようになっています。

湿式工法を選択する際の注意点は?

湿式工法で外壁工事を検討する場合、気をつける点もあります。こちらでは、ご自宅の外壁を湿式工法で施工する場合に注意する点をご紹介します。

【1.施工する季節に注意】
湿式工法には、施工後の乾燥に長い時間を要する特色があります。そのため、梅雨どきや真冬など天候事情が乾燥に適さない時期は避けた方が良いと言われています。どうしても乾燥しにくい時期に施工を依頼する場合は、工期がかなり長期にわたる可能性がありますから、それを念頭に置いたスケジュールを組み立てる必要があるでしょう。

【2.壁の重量が増加する】
湿式工法の外壁は、素材自体に重量があるため建物自体も重くなる性質があります。そのため、耐震性能は乾式の外壁の住宅と比較して劣る可能性があります。

【3.腕の良い職人さんに依頼することが成功の秘訣】
湿式工法の外壁には質感や色調の表現の自由度が高く、さまざまな風合いが楽しめるメリットがありますが、その反面職人さんの腕前に仕上がりが左右されがちになります。イメージ通りの仕上がりを求めるなら、業者を選定する段階から腕の良い職人さんがいる工務店などを探して依頼することが大切です。

まとめ

こちらの記事では、外壁塗装における湿式工法の概要や基礎知識、そのメリット・デメリットなどについてご紹介しました。左官工事による外壁には独特の風合いと高級感があり、その落ち着きと品格から根強い人気があります。ここ20年ほどで施工できる業者が減少したことは事実ですが、基本性能の高さやエコ&自然派ブームの影響からその良さを見直す人も増え、近年において湿式工法は復権のきざしも見せています。

湿式工法の外壁の施工や修繕を検討中の方はなるべくスケジュールに余裕を持って計画し、望み通りの仕上がりを実現できるよう慎重に計画を立てましょう。

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