液状化現象が起きるとどうなる?原因から被害までメカニズムを紹介
液状化は大地震による被害の1つとして知られている現象です。道路や地面が液体になるとは信じがたいですが、一体何が原因なのでしょうか? どのような建物が影響を受けやすいのでしょうか? 液状化現象が起こる要因やそのメカニズム、考えられる被害について説明します。
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液状化を引き起こす要因とは?
液状化現象とは、地震の揺れを受け、地盤が液体のようになってしまう現象です。建物が沈下したり、道路から水道管やマンホールなどが浮き上がって断水を引き起こしたりするケースも多く、私たちの生活に甚大な被害を及ぼします。しかし、液状化はどこでも起こるものではなく、特定の条件が揃った地域で地震が起こった時、発生する可能性が高まります。
では、液状化が起こる条件とはどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。
【粒の大きさが揃っていて、細かい砂地盤】
粒の大きさが揃った砂は、人工的な埋め立てを行う時に大量に使われるケースが多く見られます。
【河川や海岸など、地下水位が地表の近くにある】
地下水位とは地下水脈のことではなく、地盤に水が含まれて湿っている状態です。一般的に、海や川に近いほど地下水位が浅く、高地になるほど深くなる傾向があります。海岸沿いの埋立地や沼・池の埋立地などは、液状化が起こりやすい条件が揃っていると考えられています。
【震度5以上の揺れ】
長い揺れが続くと被害が拡大しやすくなるとされています。
【液状化したことがある土地】
過去に液状化した地盤は、新しい地震がきた時には再び液状化するケースが多くなっています。地盤が沈下したことで多少は地盤が締固められますが、液状化を防げるほどではありません。そのため、土地を購入する前に、過去に液状化現象が起こった地域かどうかを調べることは、非常に重要なポイントになります。
液状化のメカニズムを詳しく解説!
液状化が起こる前の地盤では細かい砂の粒子が結合し、その隙間を水が満たすことで建物を支えています。しかし、地震による激しい揺れで地盤が変形し、隙間を埋めている水を押し出す圧力が高まると、砂の粒子の結合が外れて水に浮いた状態になるのです。その結果、砂の粒子が泥水となってあふれ出す液状化現象が発生します。
地震の揺れは長く続くほど液状化が起こりやすくなるため、震度4でも揺れる時間が長ければ液状化が起こる可能性はあります。さらに、液状化した泥水が噴水のように噴き出す「墳砂」が起こることもあります。地震後は砂の粒子は下に、水は上に溜まって完全に分離した状態になり、泥水が噴き出た分だけ地盤は沈下します。
同時に、建物など水よりも比重が重いものは沈下し、比重が軽い地下の水道管やマンホールなどは浮上します。さらに、傾斜した土地で液状化が起こると泥水となった地盤が流動し、大変危険な状態になってしまいます。
自宅が倒壊することも!? 液状化現象の被害とは
【公共施設の損壊】
液状化現象は発生しやすい地域全体で起こる特徴があるため、地面から水があふれ出して水浸しになってしまいます。また、アスファルト舗装の下が空洞化して陥没したり、歩道が盛り上がったりするため、大変危険です。
【ライフラインの断絶】
地盤が下がることで電柱が傾いて断線したり、水道管などが浮き上がって破損したりするため、ライフラインが途絶えてしまいます。
【家屋の倒壊】
液状化が起こる地域はもともと軟弱地盤のため、地盤改良を行ったり、基礎下に杭を打ったりして建てられている住宅も多くなっています。しかし、一般的な住宅で使われている摩擦杭(まさつぐい)は、周囲の土との摩擦で建物を支える構造なので、周囲の土が液状化している場合は効果が期待できません。なかでも木造住宅は重さが軽く基礎も浅いため、液状化現象によって沈下や傾斜の危険性が高まります。
【健康被害】
住宅や生活道路などは、沈下してしまってもすぐに補修することができません。もしも床が0.5°ほど傾いた場所で生活を続けると、平衡感覚が狂って頭痛やめまい、吐き気などの健康被害も現れます。
液状化被害を軽減するために、事前にできることは地盤改良などの工事です。
宅地造成事業の許可をする機関は、造成を行う事業主に対し、宅地防災マニュアルなどに基づいた指導を行っています。しかし、古い造成地である場合は現在の基準と合っていないケースもあります。さらに、建築基準法では戸建住宅の液状化対策についての規定がないため、建主が自分の判断で地盤調査や対策工事を行う必要があります。その際は液状化対策に有効な、地盤改良を専門とする施工会社を選びましょう。
まとめ
液状化は地震の揺れを受けて地盤が液体に変化する現象で、海や川に近い人工的な埋立地などで起こる危険性が高くなります。耐震性能が高い住宅でも地面が液体化すると簡単に沈み、倒壊してしまうので、事前に土地を調査して地盤改良を行うと良いでしょう。液状化対策に有効な工法が確立されている、専門の施工会社に依頼すると安心です。
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