地盤沈下が起きるとどのような被害があるの?修復方法から費用まで徹底公開

さまざまな原因で地盤が沈むと、その上に建っている住宅や、そこに住む住人にどのような影響があるかご存知でしょうか? 少しの歪みだからと油断している方は要注意です。建物の歪みだけでなく、あなたの身体にも異変が起こるかもしれません。地盤沈下の原因や被害、修復費用についてご紹介しましょう。

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地盤沈下が起きる原因とその被害

ひとくちに地盤沈下と言っても、その原因は次のようにさまざまです。

・地震による地殻変動が起こる
・液状化現象によって地盤に含まれていた水分が流れ出し、地表が下がる
・水分を多く含む地盤に建物を建てたことで、建物の重さで水が抜け、地盤が沈下する
・大規模工事などで陥没対策をせずに近隣の土を大きく掘り返したため、地盤が弱くなる
・過剰な地下水の汲み上げにより地盤内の空洞が拡大し、表層の重みに耐えられず沈下する
・近隣に大きな道路や線路があることで、長年の振動が蓄積される

これらの原因によって地盤が不均一に沈下し、建物が傾く状態を「不同沈下」、広範囲にわたって地盤が沈下することで建物の傾きが見られない状態を「等沈下」と呼びます。

特に建物の傾きを伴う不同沈下は、めまいや頭痛に始まり、次のように多様な被害をもたらす可能性があります。

・バランス感覚の悪化によるめまいや頭痛、吐き気
・土間の亀裂
・壁やタイルの亀裂
・壁と柱の間に空間ができる
・扉や窓の開閉に支障が生じる

地盤沈下による建物の傾きを放置しておくと、時間が経つにつれて傾斜がきつくなり、最悪の場合は小さな震動や強風によって建物が倒壊する恐れもあります。また、住宅の販売業者や施工業者との裁判にまで問題が拡大すると、精神的なストレスから不眠や体調不良になってしまう可能性もあるため、早い段階で修復しておくことが大切です。

地盤沈下が起きた後の修復方法

もしも地盤沈下が起きてしまった場合は、住宅の基礎部分の造りや地盤沈下の状態などに応じて、次のような工法で修復工事を行います。

【アンダーピニング鋼管圧入工法】
油圧ジャッキで住宅の基礎下にある地盤に鋼管を深く圧入し、住宅を持ち上げ、傾きを水平に戻す方法です。地盤の固さを反力として利用するため、水分量の少ない安定した地盤が適しています。再び沈下するリスクが低いというメリットがある反面、施工期間は約1ヵ月と長期にわたる点がデメリットです。

【アンダーピニング耐圧版工法】
住宅の基礎下に耐圧版を設置し、油圧ジャッキを用いて住宅を持ち上げ、傾きを修正する方法です。施工期間は2~3週間と、アンダーピニング鋼管圧入工法に比べて短期間で済むというメリットがあります。一方、不同沈下が終息した状態でなければ作業ができないことがデメリットです。

【土台上げ工法】
建物を持ち上げてできた空間をモルタルで充填する方法です。まずは住宅と基礎部分を切り離し、爪付きジャッキを用いて住宅だけを持ち上げます。住宅が水平に戻ったら、住宅の土台と基礎コンクリートを鉄版のスペーサーで固定し、柱などの隙間をモルタルで補填します。施工期間は約1~2週間と短く、大きな騒音や振動も少ないことから簡易的な方法として需要があります。しかし、再沈下のリスクがあり、不同沈下が収まっていなければ作業ができないのがデメリットです。

【薬液注入工法】
数回にわたって地上から基礎部の地盤へ薬剤を注入し、軟弱な地盤を固めながら住宅を基礎ごと持ち上げ、徐々に水平に戻していく方法です。薬剤で地盤全体を固めるため再沈下のリスクが低く、大きな騒音や振動を伴わずに約1週間で作業が終わるメリットがあります。一方、地面を鉄筋コンクリートで覆っている「ベタ基礎」の状態でなければ作業できない点がデメリットです。

地盤沈下の修復にはいくらかかる?

いずれにしても住宅の基礎部分に手を加えるなどの工事が必要となるため、費用が気になる方も多いことでしょう。地盤や住宅の状態、施工業者などによっても費用は異なりますが、およその目安は以下の通りです。

・アンダーピニング鋼管圧入工法/3,000,000円~
・アンダーピニング耐圧版工法/1,000,000円~
・土台上げ工法/1,000,000円~
・薬液注入工法/2,000,000円~

このように、状態によってはかなりまとまった費用が必要になるため、つい低価格で行っている業者を選びがちですが、金額だけで選ぶのはおすすめできません。中には格安で請け負う業者も見られますが、あまりに安い場合は地盤調査を行わずに工事を進め、沈下原因に適した方法を選択しなかったために再沈下してしまう恐れがあります。

まずは複数の業者を比較し、きちんと地盤調査を実施して正しい修復方法で施工してくれる業者を見極めましょう。

まとめ

最初は小さな歪みとなって現れる地盤沈下ですが、時間とともに沈下が大きくなり、住宅だけでなく家族の体調にも影響を及ぼす可能性があります。自宅の歪みに心当たりのある方は、被害が拡大する前に地盤調査を依頼し、修復しておくのがおすすめです。これから家を建てる方は、周辺の地盤の強度についてもリサーチしておくと良いでしょう。

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