家が傾くこともある!?地震による地盤沈下のメカニズムとその影響

地震による住まいへの影響はさまざまですが、最も深刻な問題のひとつが「地盤沈下」です。地盤沈下とはその名の通り「地表面が沈下してしまうこと」ですが、なぜ地震によってそのような現象が起きてしまうのでしょうか? そして、地盤沈下によって住まいには具体的にどのような影響があるのでしょうか? ここでは、地震大国である日本だからこそ知っておきたい、地震による地盤沈下の基礎知識をまとめました。

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地震による地盤沈下にはどんな種類がある?

地震によって起こる地盤沈下は、大きく分けて2種類あります。1つは深い地層で起こるもの、もう1つは浅い地層で起こるものです。

【深い地層で発生する地盤沈下】
震源の地下深くで断層運動が起こり、地盤沈下が発生します。地震の規模が大きいほど広域に渡って見られ、断層に近いところで被害が大きくなります。東日本大震災の際には東北地方沿岸部の広範囲で発生し、宮城県では最大1.2mもの沈下が計測されました。

【浅い地層で発生する地盤沈下】
軟弱な地盤が地震によって液状化し、地盤沈下が発生します。主に埋立地や河川の下流部といった土地で発生する傾向があります。東日本大震災の時には、東京湾岸の埋立地で最大50㎝ほど沈下しました。

地盤沈下はどんな地形で起こりやすい?

地盤沈下が起こりやすい地盤を「軟弱地盤」と言いますが、具体的にはどのような地形が当てはまるのでしょうか? 特にこれから家を建てる場合は、土地選びの段階から失敗することのないように、しっかりとチェックしておきましょう。

【新しい埋立地】
海や湖などに土砂や廃棄物を盛り、人工的に造成した陸地です。50~60年以内に造成された新しい埋立地は特に注意が必要とされています。東日本大震災時には千葉県浦安市などで被害がありました。

【川・沼・池だった土地】
過去に川や沼、池などがあった場所は地下水位が高く、地盤のゆるくなっている箇所が多く存在しています。液状化が最も発生しやすい地形です。

【河川の沿岸部や下流部】
河川沿岸部や下流部は、川の流れに乗って運ばれてきた土砂が積もっており、水はけが悪い地帯です。曲がりくねった部分やほかの川との合流地点などは氾濫が多く、特に注意が必要とされています。昔とは川の形が変わっているケースもあるため、元の川の流れを明治時代の古い地図で確認してみると良いでしょう。

【砂丘の裾や砂丘間の低地】
砂丘は風によって運搬された砂が積もってできあがる地形です。砂粒の大きさが均等で細かいことや、砂丘の裾・砂丘間の低地では地下水位が低いことなど、液状化を招きやすい要素が数多く含まれています。代表的な地域は日本海沿岸や、太平洋側の鹿島灘、遠州灘沿岸などで、多くの地で過去に複数回の液状化が発生しています。

【砂鉄採掘の跡地】
1960年代頃までは日本全国で砂鉄の採掘が盛んに行われていました。当時は5~10mほどの穴を掘って砂鉄を選別したあと、砂を埋め戻しただけで、地面をしっかりと固めなかった場所もありました。そのため、過去に砂鉄採掘が行われた土地の地盤はかなりゆるい状態で、地震時の地盤沈下に要注意です。

【沢や谷を埋めた造成地】
丘陵地帯にある造成地は、地盤沈下が起こりづらいとされている地域です。しかし、谷や沢に盛り土をして埋めた地帯は、厚い盛り土や地下水などが原因で地盤が崩れやすくなっています。

【液状化したことがある土地】
過去に地震などで液状化が起こっている土地は、再び液状化する可能性が高いと言われています。これは、液状化した際に離散した砂粒が、液状化後にぴったりとくっついた状態で元通りになるとは限らないためです。

地盤沈下で家が傾くことも!

地震によって地盤沈下が起こってしまった場合、家が傾いてしまうこともあります。「多少の傾きなら日常生活に支障はないのでは?」と思う方も多いでしょう。しかし、ドアや窓が締めづらくなる、平衡感覚が失われるなど、ほんの少しの傾きで、生活にさまざまな悪影響が出てしまうのです。

もちろん、工事によってずれた地盤や傾いた床を補修することは可能です。建物をジャッキアップする「耐圧盤工法」や、地盤に薬液を注入して強化を図る「薬液注入工法」、鋼管杭を圧入して建物を支える「鋼管圧入工法」など、さまざまな工法があります。ただし、どの工事も費用が高く、期間も長くかかってしまい、かなり大きな負担になってしまうでしょう。

地盤沈下が起こってから困らないためには、家を建てる際に地盤の調査をきちんと行うことが大切になります。そして、もしも地盤に弱点が見つかった場合は、地盤改良工事や基礎の強化など、地震時の被害を軽減する対策を講じることが大きなポイントです。

まとめ

地震大国・日本で安心して生活するためには、地震や液状化などに負けない強い地盤に家を建てることが必要不可欠です。住む場所を決める時は、家そのものだけでなく、その土地の特徴や歴史などもしっかりと確認しておきましょう。

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