硬質ウレタン注入工法とは?施工にかかる費用や注意点

地下水が過剰に使われていたり、軟弱地盤の上に増築してしまったり、地震の強い揺れによって液状化が発生してしまったりなど、家を建てたあとに地盤の変化が起こると、家が傾いてしまうことがあります。家の傾きを修正するには、地盤改良を含めたさまざまな工事を行うことが必要です。そのうち、硬質ウレタン注入工法は、ウレタンを形成する際の発泡力を使い、家を持ち上げる工法のことを指します。今回は、この比較的新しい工法である、硬質ウレタン注入工法についてご紹介しましょう。

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硬質ウレタン注入工法の特徴とは?

建物の建材によく使用されるウレタン樹脂は、複数の溶剤を混合すると、発泡して樹脂を形成します。この発泡し、膨張する力を利用して傾いた部分を持ち上げて、家の傾斜を修正するのが硬質ウレタン注入工法です。

【硬質ウレタンとは?】
ポリウレタンが原料の発泡材で、軟質、半硬質、硬質があります。軟質のものは断熱材やクッション材などに多く使われ、半硬質は、自動車のバンパーなどの緩衝材や建物の遮音材などに使われています。硬質は、断熱材などに使用されています。

硬質ウレタンは独立気泡構造と言い、発泡時にできる気泡が微細で、家の重さに耐えるだけの強度を持っています。

また、「硬質ウレタンはシロアリに弱い」と言われることがありますが、結論から言うと、その心配はありません。シロアリは木を栄養としているため、家の基礎を伝って木でできた柱や土台を食い荒らします。一方、ウレタン樹脂には栄養がないため、シロアリのえさになることはありません。土中に住むシロアリが、家の土台で使っている木を探すために道を作る場合はあるようですが、樹脂を食い荒らしてボロボロにされてしまうことはないと言えます。

【硬質ウレタン注入工法の施工手順】
家の傾斜角度を測定したら、ベタ基礎の下にウレタン注入用の小さな穴を開けます。その穴から硬質ウレタン樹脂を注入し、膨張する力を利用して家の傾きを修正します。傾きの修正が完了したら、基礎に開けた穴を補修して工事は終了です。

【硬質ウレタン注入工法の工期】
ウレタン樹脂が固まるのは1時間程度です。工期も最短で1日、長くても1~3週間と、短くて済みます。工事中は、基礎に穴を開ける際に音が出る程度で、騒音やほこりもありません。したがって、近隣への心配は最小限で済みます。また、工事中でも在宅できるため、生活に支障が出ることはほとんどありません。仮住まいや引っ越しも不要であるため、予算さえ合えば比較的気楽に利用できる工法と言えるでしょう。

硬質ウレタン注入工法の費用

硬質ウレタン注入工法は、大がかりな作業がほとんどなく、作業時間が少ないのが特徴です。そのため、料金も建坪15~20坪の総2階建ての住宅で3,500,000円~6,000,000円と比較的安価で済みます。なお、費用相場に幅があるのは、家によって地盤の条件などに違いがあるためです。

ウレタンを注入するポイントや量は、作業をする技術者の経験値による部分が多くなります。また、この工法は確立してまだ10年程度と、ほかに比べて歴史があまりありません。したがって、依頼する会社を選ぶ際は、実績豊富で経験豊かな会社を探すことが重要になります。

硬質ウレタン注入工法を行う際の注意点

硬質ウレタン注入工法を使用して家の傾きを修正する場合、下記の点に注意が必要です。

【ベタ基礎であること】
硬質ウレタン注入工法は、基礎下にウレタン樹脂を注入して沈下した基礎ごと家を持ち上げる工法のため、ベタ基礎にのみ使用できます。

【傾き範囲】
5㎝程度を上限とした傾きの修正に向いています。それ以上の沈下がある場合は、ジャッキアップと併用したり、ほかの工法で修正したりするほうがよいでしょう。

【再沈下の可能性】
硬質ウレタン注入工法は、基礎下にできてしまった空洞にウレタン樹脂を注入することで家の傾きを修正する工法です。地盤改良を行わないため、特に地震などで液状化が起きてしまった地盤の場合、次の地震で再沈下が起きる可能性は否定できません。ただし、地表面のみ軟弱地盤という場合であれば、ウレタン樹脂を注入することで地盤を補強できることもあるようです。

まとめ

硬質ウレタン注入工法は、新しく確立した工法で歴史が浅いため、取り扱っている工事会社はほかの工法と比べると多くはありません。ですが、短い工期で家の傾きを修正できるのは大きなメリットですので、条件に合うようであれば積極的に利用したいところです。

経験豊富な作業員や技術者にお願いできれば、ミリ単位までしっかり修正できるので、依頼する際は、施工事例の多くある工事会社を選ぶようにするのがベストです。工事後に後悔しないためにも、比較検討は複数の会社から見積もりを取って、希望に合った工事会社を見つけましょう。

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