家の傾きを直す「アンダーピニング工法」とは?費用や注意点まとめ
家の傾きは、家そのものを傷めるだけでなく、身体の不調の原因となるなど、健康にも悪影響を及ぼします。地盤沈下や液状化、地震などによって家が傾いたら、なるべく早くリフォーム工事を行いましょう。傾斜を直す工法はさまざまあります。この記事では、家の傾きを直すリフォーム方法のひとつ「アンダーピニング工法」について解説します。
本サービス内ではアフィリエイト広告を利用しています
- 29528
- 5
- 0
-
いいね
-
クリップ
アンダーピニング工法の特徴
家の基礎の下に杭を打ち込み、その力で家の傾斜を修正する工法がアンダーピニング工法です。家の下(アンダー)に杭(ピン)を打つため、このように呼ばれています。軟弱な地盤にも効果があり、重量のあるコンクリート造の建築物に適した工法です。騒音や振動、ほこりの発生も少なく、閑静な住宅地でも近所の方々へ大きな迷惑はかけることなく行えます。また、住宅密集地でも50㎝ほどの幅があれば行うことが可能です。以下で、アンダーピニング工法の手順や特徴を詳しくご紹介しましょう。
【アンダーピニング工法の工事の手順】
アンダーピニング工法では、まず基礎の横に作業スペース用の穴を作るため、土を掘り起こします。その後、建物の重みと油圧ジャッキの力を生かし、地盤に鋼鉄製(またはコンクリート製)の杭を打ち込んでいきます。1本の杭の長さは50㎝〜1mほどなので、溶接(またはボルトジョイント)して継ぎ足し、長い杭を造って固い地盤まで到達させます。支持層まで到達すると家が持ち上がるので、水平に修正していきます。このとき、1㎜単位で微調整することが可能です。
このようにして修正し終えたあとは、流動化処理土を用いて埋め戻しをし、工事は完了となります。基礎下のすき間や杭の周辺には、モルタルを注入し、補強を行います。
【アンダーピニング工法の工事期間】
工事期間は1~2ヶ月と、他の工法に比べると長い傾向にあります。ただし、その間、仮住まいの必要はありません。入居したまま過ごせ、水道・電気・ガスなども通常どおり使用できるため、特に生活条件を変える必要はないのがメリットです。作業は庭で行われるので、在宅していても外出していても問題ありません。
【修正強度は抜群】
アンダーピニング工法は、橋や地下鉄などの公共事業などでも採用されていることがその効果を実証しています。支持層まで丈夫な金属製の杭を下ろすため、再沈下のリスクがほとんどない、現状の傾斜補修工事のなかでも特に信頼性のある工法だと言えるでしょう。大きな地震があっても倒壊する危険性が低くなり、安心して住み続けられる家になります。
アンダーピニング工法の費用
高い効果のあるアンダーピニング工法の唯一とも言えるデメリットは、費用面だと言えます。アンダーピニング工法は、他の工法に比べると圧倒的に高額です。
アンダーピニング工法を用いて地盤修正工事を行った場合、建坪15〜20坪・総2階建て住宅なら6,000,000〜10,000,000円ほどの費用が必要になります。費用に幅があるのは、地盤の条件や必要な杭の数、人員数に左右されるためです。適正価格を知るため、いくつかの業者に見積もりを依頼し、見極めるようにしましょう。
参考までに、他の工法の費用は以下のとおりです。
・プッシュアップ工法:2,000,000〜3,000,000円
・硬質ウレタン注入工法:3,500,000〜6,000,000円
・グラウト注入工法:3,000,000〜6,000,000円
・耐圧盤工法:5,000,000〜7,000,000円
高額だからと言って安易に他の工法を選ぶのではなく、地盤や基礎の状態を踏まえて総合的に判断することが大切です。他の4工法では再沈下の恐れがあったり、修正できる傾きに限度があったりする点に注意しましょう。
アンダーピニング工法を行う際の注意点
アンダーピニング工法は、再沈下の可能性が特に少ない安全な工法だと言えますが、地盤の条件が悪ければ100%ないとは断言できません。そのため、事前の地盤調査と基礎の調査と検討が欠かせません。きちんと事前調査を行い、工事によって起こるデメリットやリスクもきちんと説明してくれる業者を選ぶことも重要です。加えて、万が一、再沈下が起きたときの補償がしっかりしているか、確認してから工事を依頼しましょう。
また、一度沈下が起こった建物は、なんらかの歪みが発生している可能性がありますし、家を持ち上げるときにもさまざまな歪みが発生する恐れがあります。床の解体・復旧や、内外壁の補修や建具の交換などが必要となれば、その分コストは上乗せされる点には注意が必要です。アンダーピニング工法は高額ですので、特に古い住宅の場合は建て替えすべきか、リフォーム工事をすべきか、総合的に判断しましょう。
まとめ
地盤修正工事のひとつ、アンダーピニング工法を紹介しました。工期が長く、費用は高額ですが、その分、細かな単位までしっかりと家の傾きを直し、地震にも強い安全に住み続けられる家へと変身させてくれる、信頼できる工法です。大切な家に安心して住めるよう、適切な工法で家の傾きを直してください。
- 29528
- 5
-
いいね
-
クリップ
あなたにおすすめ
関連キーワード
関連アイデア
-
ダブルロック工法のメリットは?施工にかかる費用や注意点も解説!LIMIA 住まい部
-
グラウト注入工法のメリットは?費用や注意点は?疑問を一気に解決します!LIMIA 住まい部
-
地盤沈下が起きるとどのような被害があるの?修復方法から費用まで徹底公開LIMIA 住まい部
-
家の傾きの修理で行われる「ジャッキアップ」とは?費用や注意点LIMIA 住まい部
-
家の傾きの修理方法にはどのようなものがある?各工法をわかりやすく解説LIMIA 住まい部
-
硬質ウレタン注入工法とは?施工にかかる費用や注意点LIMIA 住まい部
-
盛土して住宅を建てる場合のメリットや注意点を徹底解説!LIMIA 住まい部
-
家の傾きはどうして起こるの?主な原因と傾きチェックの方法をご説明しますLIMIA 住まい部
-
リフォームで床の傾きを直して、健康で快適な暮らしを実現!LIMIA 住まい部
-
ドアの歪みは家が傾いているサインかも!歪みの原因から補修方法まで徹底紹介LIMIA 住まい部
-
家に大きな被害を与える「抜け上がり」とは?原因や被害を確認LIMIA 住まい部
-
家の歪みの原因をチェック!修理方法や費用までをトータルでご紹介しますLIMIA 住まい部
-
陸屋根(屋上)から雨漏りする原因は?防水工事の種類やメリット・デメリットを紹介LIMIA編集部