
一戸建てとマンションのリフォーム、それぞれどこまでできる?
築年数が経っている、大規模な間取り変更を行いたいなど、大掛かりな住宅の改装を考えた時に気になるのは、リフォームでどこまで対応できるのかということ。近年はさまざまなリフォーム例が見られますが、実際どこまでできるのでしょう?一戸建てとマンションでも異なるため、それぞれのリフォーム可能範囲と注意点をご紹介します。
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事前に確認!一戸建てのリフォームに関する規制
一戸建てのリフォームと言っても、新築をすぐにリフォームしたいという方から築30年以上の住宅をリフォームしたいという方まで、実にさまざまです。一戸建てだと規制が少ないイメージですが、実は気をつけなくてはいけない法規制があります。できることとできないことにも関わるため、具体的にどのような決まりごとが関係しているのか見てみましょう。
1. 用途地域
街の中にさまざまな建築物が混在することを避け、地域ごとに建物の合理的な立地・用途を定めているものです。これによって住宅地の中にそぐわない店舗や工場などが造れないように環境が整えられています。
詳しくは、都市計画法によって区域内を12種に分けており、第一種低層住宅専用地域、第一種中高層住宅専用地域などがあります。この区分によって建物の種類や規模が変わるのです。
2.防火地域
都市計画では、用途地域とは別で防火地域も定められています。防火地域とは、市街地の防火対策のためのもので、主要駅の周りや住宅が密集しているところなど人が集まる地域が指定されています。
防火地域では木造住宅は禁止、準防火地域では、木造住宅は建てられますが、屋根や外壁など延焼の可能性がある部分を防火構造にしなくてはなりません。
3.建ぺい率
敷地面積に対する建築面積のことで、これによって建てられる面積が制限されます。例えば1階部分を増築する際に、50平方メートルの敷地で建ぺい率が70%の場合は、増築後の建築面積は35平方メートルに納めなくてはなりません。
4.容積率
敷地面積に対する建物の総床面積のことです。建ぺい率と同様の規定で、増築後の総床面積を容積率の範囲内に納めなくてはなりません。
5.高さ制限、道路斜線制限
用途地域によって定められている第一種・第二種低層住居専用地域では、建物の高さは10メートルまたは12メートル以下と定められています。また、前面道路の幅員に1.25または1.5をかけた数字で出される範囲内に建物を納めなくてはならないという決まりもあります。
6.建築確認申請
10平方メートル以上を増築する場合、建築基準法や条例に反していないかを確認するために自治体に届け出る必要があります。防火地域・準防火地域では10平方メートル未満でも確認が必要となります。
一戸建てリフォームでできること、できないこと
前述の法規律を踏まえ、実際にリフォームではどこまでできるのかを見てみましょう。よく行われるリフォームを例にご紹介します。
1.間取り変更
建物の構造によっても大きく異なるので、住宅の構造をチェックすることから始めましょう。RC造や鉄骨の場合は間仕切り壁をすべて撤去することも可能ですが、木造住宅の軸組構造や2×4工法の場合は、建物を支える耐震壁は抜くことができないので制限が出ます。
さらに、木造の在来工法の場合は柱と梁が基盤となっているためすべてを取り外すことはできません。ただし、補強をしながらであれば間取り変更も可能となるでしょう。
2.キッチンやトイレ、浴室など水回りの場所移動
水回り設備の移動は難しいと思われがちですが、実はほとんどの場合が可能となります。壁付きのキッチンを対面式のものにしたり、2階にもトイレを増やしたり、浴室周りの面積を増やすことも可能です。
ただし、給排水管や電気配線の移動も必要となるため、費用がかさみやすくなります。
3.増築
増築の際は、建ぺい率や高さ制限などが関わります。そのため、敷地いっぱいまで広げるという増築はできません。
また、1階建てを2階建てにする場合、柱の補強によって可能となる場合もありますが、2階建てを3階建てにするには、元から3階建てを想定した基礎構造でないと対応できません。横に広げる増築が不可能だからと言って、単純に縦に増やせば良いというわけでもないので注意しましょう。
マンションのリフォームは「共用部分」「専有部分」がカギ
マンションの場合は、一戸建てとは全く異なる点に注意しなくてはなりません。大きなポイントとしては、リフォームしたい部分が「専有部分」か「共用部分」という点です。
区分所有法という法律によって定められた「管理規約」と「使用細則」というものがあり、そこに専有部分と共用部分についても記されています。
1.共用部分
マンションの住戸の所有者が共用で使用する部分のこと。ロビーやエレベーター、廊下、階段などの内装設備のほか、外壁や屋根、天井なども含まれます。これらの部分は個人でのリフォームは不可能です。
2.専有部分
個人の所有が確立されている部分のこと。玄関からサッシの内側までを指し、玄関や水回り、居室をはじめ、天井や床、間仕切りに至るまで、住居の内側と住宅設備機器が該当します。これらの部位は、個人でリフォームすることができます。
3.これはどっち?判断が難しい共用部分と専有部分
中には、共用部分と専有部分の見極めが難しい部分もあります。例えば玄関ドアの場合、ドア自体は共用部分とみなされるため変更はできませんが、内側は専有部分なので、色を塗り替えたり鍵を変えたりすることができます。
また、ベランダやサッシは共用部分とみなされるためリフォームはできませんが、実際は居住者が専用で使用している場所であるため「専用使用部分」と呼ばれます。そのため、ガラスや網戸の交換などは居住者が自ら行う必要があります。特にガラスに関してはマンション標準管理規制が改定され、交換が認められていることも多いようです。まずはマンションの管理組合に確認してみると良いでしょう。
マンションリフォームでできること、できないこと
専有部分や共用部分といった区分け以外にも、マンションならではの注意点があります。よく行われるリフォームを参考に見てみましょう。
1.間取り変更
マンションの場合、専用部分なら間取りの変更も可能ですが、住宅の構造によってもリフォームできる範囲が変わります。
主に柱と梁で耐力を出す「ラーメン構造」の場合は間取り変更が可能ですが、柱や梁がなく壁で耐力を出す「壁式構造」でできており、さらに一部がコンクリートの壁でできている間仕切りの場合は、壁が共用部分とみなされるため変更ができません。
2. キッチンやトイレ、浴室など水回りの場所移動
床下に配管を通す空間のあるマンションであれば行うことができるでしょう。ただし、水が流れるよう勾配をつけなくてはならないため、空間には高さが求められます。
排水管が天井裏を通っていたり、管理規約によって禁止されていたりする場合には移動できないため、構造と規約の両方を確認した上で行いましょう。
3.カーペットや畳をフローリングに変更
手入れがしやすいフローリングの床を望む方は多いことでしょう。フローリングに張り替える際は、特に防音効果に注意しましょう。管理規約で遮音性に関して定められていることも多いため、確認しておくと安心です。
4.コンセントの数を増やす
コンセント自体の数は自由に増やすことができますが、注意したいのは使用する電力量です。マンション全体の総電力量が決まっていて、それぞれの住戸への配電量にも決まりがあります。上限を超えるとブレーカーが落ちる原因にもなるため、まずは管理組合で電力量を確認しましょう。
同様に、エアコンや床暖房の設置の際にも電力量のチェックが必要となります。
おわりに
リフォームでどこまでできるかという判断は難しいところですが、一戸建てとマンションによっても注意しておきたい点が異なり、さらに構造によってもできることとできないことに差があります。まずはご自身の住宅がどの規定に該当するのかを把握した上で計画を立ててみましょう。
もっと具体的にリフォーム・リノベーションについて知りたい方は、多くの業者から見積もり・提案を無料で受け取ることができる、一括見積もりサービスからお気軽にお問い合わせください。
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