【専門家監修】おしゃれなリフォームの秘訣を写真付きで4点解説
リフォームは家の原状回復だけでなく、自分の理想のデザインを実現することもできます。予算内でおしゃれなデザインのリフォームがですよね。「リフォームはお金がかかるからこそ、しっかりと細部までこだわりたい」という方は必見です。今回は競合住宅会社もそのデザインを参考にすることで知られる、北九州市の〔(株)なかやしき〕さんにご協力を願い、おしゃれに仕上げるデザインリフォームのコツを徹底的に教えていただきました。
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おしゃれなデザインリフォームとは?
〔株式会社なかやしき〕は創業130年の老舗会社で新築一戸建てとマンションを主軸にしているのですが、小さなリフォームはもちろんのこと、数千万円クラスのリフォームも行うことで知られています。
取材場所は福岡県北九州市にある小倉南住宅展示場ですが、こちらには全国区のハウスメーカーや地場工務店を含めて12社の展示場が建っています。なかやしきさんの展示場はバリ島をイメージしたデザインになっていて、12社の中でもひときわ目を引く建物でした。
取材にはリフォームをメインに担当する設計士の石井課長に対応していただきました。
おしゃれなデザインにリフォームする4つの秘訣
秘訣1 影を巧みに創り出す
上記の写真は主寝室のベッド部分なのですが、枕元の上を指さす石井課長の先に照明の影が映っています。この影をうまく使うことがおしゃれデザインの秘訣とのこと。
「照明とクロスのリフォームにはお金がかかりますが、そこから生み出される影は無料の副産物なんですよね」
これが好きか嫌いかは別物ですが、展示場の接客においてもこの説明をお客さんにするそうです。実際には多くのお客さんが「こういうのもいいね!」と反応するとのこと。
もう一枚の写真を見てみましょう。
これは寝室全体を引きで撮ったものですが、枕元の上部分には鎖状の影は見えません。室内照明を消していると影がでないように工夫されているからです。このように、影を意識することにより昼と夜とで違うイメージを創り出すことができるのです。
秘訣2 収納リフォームこそがおしゃれデザインリフォームの急所
収納リフォームは水回りリフォームと並んで工事件数が多いといえます。収納不足を感じないという人はまずいませんし、それどころか新築した瞬間からすでに収納不足に陥っているケースすらよく耳にするほどです。
次の写真を見てみましょう。さきほどの主寝室写真でお気づきかもしれませんが、奥に4畳程度のスペースウォークスルー方式の収納があります。
とにかくこのウォークスルー方式はとてもおすすめ。是非検討してほしいのですが、収納スペースは広さだけを確保すればいいというものではありません。
石井課長はこう話してくれました。
「こういう洋服が何着、奥さんのワンピースが何着、というように現在持っている服などもしっかり数えて設計士に相談してほしいのです。収納のリフォームでは打ち合わせ時に必ず私は聞きますよ」
おしゃれなデザインリフォームの秘訣の一つは、目に付く雑多なものを隠すことでしょう。収納不足ということは、それだけいろいろなものが部屋にあふれて視界に入り込むので、それらをなんとしてでもどこかに押し込みたくなるのです。
ただ、押し込むだけでは視界からは除去されるものの、その押し込んだ先が悲惨なことに。単にものを押し込んだだけで隠すことには成功したものの、今度はそこから目的のものを探し出すのに一苦労してしまいます。
次に石井課長が指摘したのがこの写真。多くの家庭でその置き場所に苦労しているスーツケースです。写真は比較的小ぶりなスーツケースですが、あなたはどこに置いていますか?
おそらくは空いているスペースに押し込んでいるはず。おしゃれなリフォームをしようと思うのであれば、こういったスーツケースの置き場も考えたうえで収納リフォームをするべきと石井課長はアドバイスをします。
これも同じく寝室収納です。掃除機とルンバが写っていますが、この手のものは充電を考えるとコンセントの近くにスペースを取るべきでしょう。
自立式の掃除機を買ったものの、置き場所にコンセントがないとすこぶる使い勝手が悪くなります。仕方ないのでコードを長く床には這わせる羽目に。いくら見えない収納ないとはいえ、これではおしゃれリフォームとは言えなくなってしまいます。
秘訣3 掃除がしやすいリフォームを
これは脱衣洗面所にある大きめの洗面台です。「通常は2台を並列しておくのですが、これは横に長いタイプです。探すのに苦労したんですよ(笑)」というレアな商品です。
ただ、ここで見ていただきたいのは商品ではありません。石井課長が指さししている場所に注目してみましょう。
こんなおしゃれな商品を使ってリフォームすれば、毎日の入浴タイムは楽しくなりますし、お化粧するときも力が入りますよね。しかし、問題は意外なところにありました。
「この境目の部分がどうしても汚れてしまうのです。四六時中掃除しているわけにはいきませんから」
おしゃれなデザインリフォームを目指してステキなレア商品を選ぶところまではいいのですが、問題はそのメンテナンス。きれいに維持するからこそおしゃれデザインを楽しめるのですが、汚くなってしまってはすべてが台無しです。
この展示場ではこのような仕様にしていますが、メンテナンスを考えるのならば壁から直接出すタイプにすべきなのです。ただ、これも好き好き。こまめな掃除をいとわない覚悟があるかどうかにかかっています。
秘訣4 担当者にいかに正確なイメージを伝えるか
設計士の立場から石井課長が強く話されていたことを最後の秘訣としましょう。
これは実に人間的なことなのですが、あなたが持っているおしゃれ感覚と担当者の持つおしゃれ感覚とのずれをなくすことが肝心なことです。
つまり、イメージを正確に伝えることの重要性を理解してほしいのです。
筆者も住宅営業出身者ですのでよくわかるのですが、お客さんが打ちあわせ段階で想像した【真っ白な外壁】と実際に出来上がった壁を見た時に見た【真っ白な外壁】では色に微妙なずれが生じます。
私の経験談ですが、あるお客さんの強い要望に従って真っ白な外壁に仕上げたところ「私はこんな色を選んだっけ?」と言われてしまったのです。
結論から言うとお互いに何のミスもありませんでした。認識のずれというか感覚のずれがあったことに加えて、外壁の色を小さなサンプル板だけを見て決めたことが原因でした。
この時は別にトラブルになることもなく済みましたが、こういった失敗を起こさないようにするための鉄則があります。それは、「とにかく商品の実物をあなたの目で確認すること」につきます。
単価の高いキッチンなどはさすがに実物をショウルームなどで確認するとは思いますが、最新式でない限り近くのショウルームにないというケースも多々あります。
なければ仕方がないのですが、後悔しないためにも多少の距離はいとわない気持ちで実物を確認しに現地まで足を運んでください。結果的におしゃれであったとしても、自分の好みもあってのおしゃれです。イメージと異なってしまっては元も子もありませんからね。
リフォーム箇所別、おしゃれデザインのリフォームポイント
【洗面所】は収納と壁がポイント!
石井課長がタオルを持っている場所は脱衣洗面所になります。展示場ということもあり、若干のタオルをサンプルとして入れるくらいしか使っていませんが、もし4人家族で脱衣洗面所をリフォームするならこの程度の収納を作るべきでしょう。【秘訣3】で洗面台の写真を掲載したように、おしゃれな洗面所リフォームを目指すならば、収納を増やして下着などの置き場に困らないように気を付けてください。
棚の写真を見ていただくと中段が5枚あります。1段の高さは30cmほどは確保されています。これだけあれば4人家族であっても、バスタオルや下着置き場などを十分に収納できます。
繰り返しますが、おしゃれなデザインリフォームをするには余分なものが目に入らないことが重要なのです。ついつい壁紙や洗面台を選ぶことだけに目が行ってしまうのですが、せっかくの良い商品を選んでも、脱いだ下着を入れた籠が足元を占拠していたらすべてが台無しです。
もう一つの注目ポイントは壁紙。写真をもう一回見てみましょう。
奥に写っている棚の話をしましたが、壁にはタイルが貼ってあります。洗面所はご承知のように湿気が非常に高い場所になります。ところが、ほとんどの家では普通のクロスを使っているのではないでしょうか。
機能的にはもちろんですが、この部分を写真のようなタイルにすると洗面台が非常に映えるのです。タイルはどうしても高価になりがちですが、貼る面積が少なければ一考の余地がありますし、一部の壁だけをタイルにするリフォームも考えられます。
【お風呂】は視線の先の工夫とバスタブの実物チェック
洗面所の話をしましたが、この展示場は洗面所とお風呂がこんな感じでつながっています。一般的なお風呂をここまでリフォームでグレードアップするのは難しいとは思いますが、ここでご覧いただきたいのは次の写真です。
「この眺め良いと思いませんか?」と石井課長。全く同感なのですが、たとえユニットバスであってもこの考えは通用します。周囲の家がどのように建っているかが問題ですが、「視線を遮る」ことができる角度を見つけたら、その視線を軸にリフォームをすればよいのです。
「視線を遮る」とは以下のようなことです。
上の写真では石井課長が外を眺めていますね。見ることができるということは、その逆もしかり。この視線の先がお隣の2階にある窓であればどうでしょうか? 当然のことながら、このように外の景色をスリットの間から楽しむなどということは無理です。
しかしここはそもそも2階で、隣も大きな空き地ですので覗かれるという心配はありませんが、このように外を眺められるような計画をするのであれば、外から見られないような角度と場所を見つけ出そう、となるのです。
次の写真にも注目してください。
おそらくはユニットバスを使ってのリフォームになるケースが多いと推測していますが、商品を選ぶ際にはこうして実物に入ってほしいのです。
メーカーによる違いはもちろんですが商品によっても座り心地などが微妙に違います。あとで後悔しないように、この点だけは面倒くさがらずに実行するよう気を付けましょう。
【トイレ】は光と空間の使い方
こんなトイレはいかがですか。「トイレのリフォームまでは手が回らないわ」という声も聞こえてきそうですが、トイレは毎日使う場所ですから何とかしたいですよね。
この写真を見ながらおしゃれなデザインのポイントを考えていきましょう。最初にチェックしたいのはこの窓。建物の構造を調べなくてはなりませんが、電気をつけなくても昼間ならばこの程度の明るさを確保できるのです。
では、次の写真を見てみましょう。
このトイレを掃除するシーンをイメージしてください。便器周りにも簡単に手が届きますし、モップを使えば床も拭き残すことなく掃除ができます。
また、おしゃれなトイレを演出するには、自然光と人工光の2つのシーンを楽しめるようにするべきです。女性にとってこの窓の高さは気になるかもしれませんが、おしゃれデザインという観点から考えると一考の余地はあります。
今度は天井を見てみましょう。
「ここのおしゃれポイントは斜め天井と間接光です」と力説する石井課長。
ちょっとした工夫なのですが天井を斜めにしただけで雰囲気は大きく変わります。また、間接照明もおしゃれポイント。トイレはできるだけ明るくこうこうと照らすものという固定概念を振り払うと、こんな落ち着いた空間を造り出せるのです。
【キッチン】をおしゃれにするなら断然アイランド型がおすすめ!
おしゃれなデザインリフォームの代表格はといえば、何と言ってもキッチンでしょう。とくに女性にとっては絶対に外せない重要ポイントであるはずです。
キッチンの配置としては①クローズドキッチン②対面キッチン③アイランドキッチンの3パターンに大別できます。このどれを選択するかはあなたの好みですが、今回のテーマであるおしゃれデザインをキーワードにすると、写真のようなアイランドキッチンをおすすめします。
石井課長と一緒に筆者もこのキッチンを前にして立ってみたのですが、やはりアイランドキッチンはいいですね! とにかく見晴らしがいい!
ただし、アイランド型キッチンは部屋のどこからも丸見えに。きれいにしておかないと、せっかくのおしゃれキッチンも台無しになってしまうこともあります。
女性としては大いに悩むところだと思いますが、アイランドキッチンは一度使うと止められないくらいの満足感があるのは事実。思い切ってチャレンジする価値はありますよ。
それでもこの開放感はどうでしょう。ここは展示場ですからキッチンの上に写真やカタログが置いてありますが、実際にはもっとすっきりした空間になるうえに、キッチンが中心になります。
LDKの空間の場合、一般的にはいくら豪華なキッチンリフォームを行っても、あくまで中心はリビングとなるはず。しかし、今回のようにアイランド型キッチンにリフォームすると、設計の仕方によってはこれだけ存在感のあるスペースに変えることもできるのです。せっかくリフォームをするのですから常識にとらわれる必要はありません。
【部屋】は壁紙と間接照明で見違える
次は部屋のリフォームに話を移しましょう。最初の写真は展示場の子ども部屋に入ったところです。いかがですか?
「来場される奥様の80%以上はここに入られた瞬間に『かわいい!』を連発されるんですよね(笑)」と石井課長。
それでは、女性の多くが「かわいい!」と思わず口にする要因はどこにあるのでしょうか? その理由をお尋ねしました。
「やはり壁紙だと思いますね。ここは子ども部屋ということもあって少し冒険した壁紙を使いましたが、この柄が女性の心をがっちり捕まえたようです」
またもう一つの要因として挙げたのが照明。この星形照明をあなたはどう思いますか? 純粋にかわいらしい形をしています。さらに、なんとこれは手で押すとへこむのです。ここは子ども部屋になりますので、小さな子供が怪我をしないような素材を使用しているのです。
このように部屋のおしゃれデザインリフォームのコツは壁紙と照明の使い方だそうです。では、次の写真をご覧ください。
先ほどは子ども部屋ということもあったのでかわいらしいポップな壁紙でしたが、今度の写真は寝室になります。ご覧のように色のトーンを落とした壁紙を使っていますが、このように部屋のリフォームは壁紙の選択が大きく影響をしているのです。
そして次の写真は同じく寝室なのですが、間接照明を使っているのがお判りでしょう。ここは寝室なので、一切の直接照明を排除してすべて間接照明でまとめてあります。
直接光とは違い、間接光は微妙な陰影が部屋の中に広がるのが特徴。照明による影の効果がもっとも出るのは寝室です。
部屋リフォームのおしゃれポイントをいくつか解説しましたが、やはりTPOというものは存在します。いくら赤色が好きだとしても、寝室に持ってくるのはどうでしょう……先々後悔しないような選択を心がけたいですね。
【外装】は仕上がりを実物で確認することが大切
一般的には外壁の塗り直しとなるのですが、予算に余裕があるのならばウッドデッキを新設したり、屋根材まで一気に変える選択もあります。
ただ、ここでは外壁の塗り直しに話を絞りましょう。通常は新築してから10年が塗り直しの目安とお考えください。30坪程度の住宅でも費用は150万円程度にはなるので、絶対に後悔をしたくないリフォームといえます。「おしゃれな外壁リフォームを目指していたのにイメージが全く違う(泣)」とならないポイントを引き続き石井課長にお聞きしました。
「外壁リフォームのトラブルは、打ち合わせ時のイメージと仕上がりが異なるというものが大半です」
これには筆者も同感です。外壁の塗り替えリフォームをしたことがあるのですが、その打ち合わせの際に立ち会った女性のインテリアコーディネーターはお客さんにこうアドバイスしていました。
「お客さんが選んだこの色で実際に施工した案件がありますのでそこを見て下さい。そのうえで最終的な決断をした方がいいですよ」
狭い事務所で見るサンプル版と実際に施工されたものとでは印象が大きく異なることを知っているからです。さらに徹底するのであれば、晴天、荒天、夜間と時間や気象条件が異なる状況で外壁をチェックできるとなおよいでしょう!
まとめ
現在住んでいる家が古くなったり、あるいは中古住宅を購入したりすると、どうしても古い部分や傷んだ部分に目が行きリフォームをしたくなります。
ただ、どうせリフォームをするのであればおしゃれな仕上がりにしたいと願うのは誰しもが同じこと。同じ金額であればデザイン性の高いリフォームをして満足したいものですね。
【取材協力 福岡県 北九州市 ㈱なかやしき】
このアイデアの監修者
森住宅コンサルタント株式会社 代表取締役 森雅樹
名古屋生まれ。名古屋市立菊里高校卒業。
法政大学卒業後、大手ハウスメーカーに就職し戸建て住宅営業を経験。
退職後は都内の零細工務店において戸建て営業とリフォーム営業に従事。その後、森住
宅コンサルタント㈱を興して独立。現在は住宅会社と消費者向けの講演、執筆、コンサ
ルティング活動を行う。買う側、売る側双方の立場を熟知したうえでのアドバイスを行
っている。住宅購入者向け、住宅販売者向けの単行本20冊以上。
森住宅コンサルタント(株)
http://mori-consultant.com/
※賃貸物件の場合、退去の際に原状回復を行う義務があり、修繕費用が必要となる場合があります。必ず賃貸借契約書を確認の上で、家主や管理会社の許可を取ってから作業を行いましょう。
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