太陽光発電の発電量は夏より冬の方が多い?季節による違いを解説
太陽光発電と言えば、日照時間が長くなればなるほど発電量が多くなるイメージです。ところが、実際は驚いたことに、夏場の発電量が伸び悩んでしまうそうです。それは一体なぜなのでしょうか? 季節による発電量の違いと、夏でも発電量を維持するための工夫を説明します。
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夏の発電量が多くないのはなぜ?
ソーラーパネルは高温が弱点
日照時間が長いはずの夏に、なぜ発電量が落ちてしまうのでしょうか? その答えは、「ソーラーパネルは高温が弱点だから」です。
ソーラーパネルの内部は高熱に弱いシリコンで作られているため、温度が上昇すると機能が低下してしまいます。したがって、夏場になると発電効率が下がり、発電量が通常よりも少なくなってしまうのです。
ソーラーパネルは、カタログに記載されている基準の25℃から1℃上昇するごとに、0.4%から0.5%ほど効率が下がるとされています。夏になると日中の気温が40℃になることも珍しくない昨今、ソーラーパネルは70℃近くまで上昇すると考えられます。そうなった場合、発電効率がなんと10~20%近く落ちてしまうこともあるのです。
損失率は冬がもっとも低い
ソーラーパネル内部の温度上昇によって発電量が減少してしまうことを、「温度の損失」と言います。この損失率は、春・秋(3〜5月・9〜11月)が8〜15%、夏(6〜8月)が11〜20%、冬(12〜2月)が5〜10%となっており、冬場がもっとも発電量をロスせずに済むのです。
発電量は季節によって異なる
発電量は、季節によって大きく変動します。それでは、春夏秋冬によって具体的にどのような違いがあるかを見ていきましょう。
1年の中でもっとも発電量が多いのは3〜5月
1kWあたりの年間発電量は、地域差があるものの、900〜1400kWhほどとなります。これを月別、かつ1日あたりの平均発電量に換算すると次の通りです。
・1月 2.86kWh/日
・2月 3.28kWh/日
・3月 3.50kWh/日
・4月 3.90kWh/日
・5月 3.90kWh/日
・6月 3.29kWh/日
・7月 3.48kWh/日
・8月 3.76kWh/日
・9月 3.40kWh/日
・10月 3.20kWh/日
・11月 2.70kWh/日
・12月 2.65kWh/日
この数字からもわかるように、1年の中でもっとも発電量が多いのは日照時間が長く、かつ夏ほど気温が上昇しない春(3〜5月)です。前述の通り、夏は日照時間が長いものの温度の損失が多く、冬場や梅雨時は損失率が低いかわりに日照時間が短くなってしまいます。そのため、安定して太陽光発電による電力が供給されるのは3〜5月となるのです。
同じ季節でも地域で発電量に差がある
同じ季節でも、地域によって発電量に差があるということは少し触れました。具体的には、たとえば全都道府県のうち、もっとも発電量が多いのは山梨県と長野県というデータがあります。
山梨県はほかの都道府県と比べてみても日照時間が長く、また長野県は夏に気温が上昇しにくく、損失率が他県ほど高くならないからだと考えられます。このように、住んでいる県によっても発電量が異なるため、お住まいの地域の発電量を確認してみると良いでしょう。
夏場に発電量を落とさないためには?
夏真っ盛りの時期に発電量を落とさないようにするためには、まずソーラーパネルの気温の上昇を抑えることが大切です。そのために、次の2つの方法が考えられます。
高温に強いパネルを使用する
まず、ソーラーパネルを設置する際、高温に強いパネルを選ぶことが挙げられます。その候補が、HIT(ヘテロ接合型ソーラーパネル)です。
HITは、普通のソーラーパネルとは異なり、単結晶シリコンだけでなく、熱に強いアモルファスシリコンという物質を加えて構成されています。この2種類のシリコンを使用することで、発電の変換効率を高め、温度の損失を少なくしているのです。
その変換効率は、通常のソーラーパネルを上回っています。通常のソーラーパネルの効率が12〜16%であるのに対し、HITは16〜19%という数値なのです。価格はお高めですが、検討する価値はあると言えるでしょう。
冷却システムを作る
もう1つは、温度が上昇してしまったときのために、パネルを冷却するシステムを作っておくということです。ソーラーパネルに水をかけると、温度が下がって再び発電量を確保できるようになるのです。
しかし、1時間程度で元の温度に戻ってしまうため、定期的に放水し続ける必要があります。加えて、ポンプや貯水槽などの大がかりな設備が必要になってしまうため、わずかな水や手間でパネルを冷却することのできる、ミストタイプの放水装置を販売している会社もあります。夏の炎天下に備え、合わせてチェックしてみましょう。
まとめ
太陽光発電は日光に頼るしかないため、気温や日照時間、季節や天候といったさまざまな条件により左右され、発電量がそのときどきで変動してしまいます。「想像していたよりも発電量が少ない」とお困りの方は、季節や地域などに応じて対策をとると良いでしょう。
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