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大阪府南部には、狭山池に代表されるように、多くのため池がある。この敷地もそんな池を見下ろす高台にあった。

敷地の特徴を活かすため、建物の2階を北側に張り出す事を考えた。池を望む為であるが、北側につき光の入り過ぎを考える必要がない。開口高さは天井一杯の2.7mとし、広がりを無限にする為、3方のコーナーフィックスとした。池を望むリビング・ダインングを中心に、キッチン、子供部屋、寝室と、水廻り以外の全てを2階に集めた。

玄関を入ると、両脇に居室が並ぶ。東側にはキッチンもあり、3家族が暮らせるようになっている。将来、両親との同居も考えたものである。廊下、階段の壁は、可能な限り本棚とした。夫妻は共に医師で大変な読書家だ。廊下の北端にスタディーコーナーも設けたのも、その為である。

水面を愛でる暮らしは、想像以上に素晴らしい。水鳥、カメなど水辺に暮らす生物を、かわるがわる見つけることが出来る。また、それらが見えずとも時々の表情を見ることが出来る。

風の無い日は、空と雲を映し、風の強い日は、まるで何かが駆け抜けたように、一部が波立ったり。水というものは非常に繊細で、ひと時として同じ様はない。それらが心にもたらす影響を考えた時、暮らしの中に自然を取り込む必要性を改めて強く感じた。

敷地の北側はもとの形状を生かしたままの庭とした。斜面は視界を下にも広げ、更に人の視線を揃える。家族であっても、デッキで足をブラブラさせながら、並んで座るほうが話し易いこともあると思うのだ。

「家に良いも悪いもない。全部良いに決まっている」と写真家は言った。同じようにどの敷地にもその良さが有る。手を加える前に、在る姿を最大限に尊重し、活かしたいと思う。それが、敷地、環境、地球への畏敬、感謝へとつながると思うからである。

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