攻略しよう!スライド丁番

組立て家具にコレが付いてきて、なんとなく身構える事ないですか?でもコレ、それほど腕に覚えの無い人でも、開き戸をいい感じに取り付けられる便利なアイテムなんです。構造を知ればもうコワくない!さあ一緒に勉強しましょう!

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t_otatsu

このパーツ、普段はそんなに気になりませんが、扉が開け難くなって修理しなければならない時や、買った組立て家具に付いてた時などには、避けては通れない存在となります。
その都度、「どうするんだったかな~これ」ってなる人には読んでもらいたい!そんな記事です。

ややこしいけど使えるヤツ

これ、スライド丁番といって、探せば大概家の中のどこかしらに居ます。下駄箱や洗面ユニット、クローゼットやシステムキッチン等の開き戸に結構使われていて、皆さんも一度は触れたことがあるのではないでしょうか。

ドイツ生まれ

生まれは旧西ドイツです。戦後住まいつくりが急務であった当時、収納家具を早く安く大量につくることが要求され、国家的プロジェクトとして作られました。
本来、扉を付けるのってトータルバランスがとれていないとどうにもならないものなのですが、スライド丁番を使えばまず取り付けが簡単で、納まり具合の微調整が取付け後に出来ます。なんとも画期的な丁番ですね。

チャームポイント

スライド丁番には上記の長所以外に、”扉を閉めたら外から丁番が見えない!”というメリットもあります。その為英語では "invisible hinge(インビジブル ヒンジ)" と呼ばれているそうです。

そんなこんなで

だからスライド丁番ってなんとなく複雑な形をしていて、ネジもいっぱい付いているんですね。でも、そんなに便利なものなら使いこなさない手は無いですよね。さあ!一緒に順を追って攻略していきましょう!

まずは基本構造を理解しましょう

構造

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2つのユニットで構成されています。

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着脱式で、座金と本体とに分けられます。

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座金を側板側に、本体を扉側に各々取り付けておいて、

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ユニット同士をドッキングさせると側板に扉が付く。という構造です。

開閉アクション

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開閉のメカニズムはこんな感じです。

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4つの軸を使ってカップを回転させるので

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いい塩梅でカドが棚につっかえない様に扉をスライドさせながら扉を開閉出来ます。

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閉めた状態では可動部先端がカップの中に収まる形になりますので、扉はピッタリと閉じられます。また、閉じた状態ですと外からは丁番が見えません。

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ここの形状を違えているものが大まかに3パターン用意されていて、

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棚枠の隠し具合を選べます。

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こんな感じで使い分けます。ちなみに呼び方は左から
全かぶせ、半かぶせ、インセット です。

取付け方

基本的な作りをご理解頂けたところで、いよいよ取付け方に移りたいと思います。いっぱい付いてるネジの説明もこちらでご覧いただけます。
但し、本記事での説明は取り替え需要、乃至は組立て家具の様なキットでの作業を前提とさせていただきます。
一から家具を作る前提だとなかなか難しい話も出てくるのでここではご勘弁下さいませ…。

まずは外し方

座金と本体を離します。製品によって2タイプに分かれます。ネジを緩めて外すタイプと、ボタンが付いていて押したら外れるタイプです。先ずはボタンの方から見てみましょう。

ボタンタイプ

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いろいろなタイプのものが売られているのですが、今は弊社の商品を見本に説明します。だいたいは本体の後ろの方、ここら辺にボタンが付いています。

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押すとツメが外れて本体を取り外せます。

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ちなみに取付ける時は、前のツメを座金のここに引っ掛けてから本体の後ろを押し付けるとカチッと合体します。

ネジタイプ

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こちらも同じく弊社の商品を見本に説明します。だいたいは本体の一番後ろのネジ、このネジで座金に留まっていますので反時計回りに回して緩めて

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ネジ穴の通るサイズの穴が空いているので、そこまでズラして通せば取外せます。
ちなみにもし黄色い丸で囲ったようなタイプのものであれば、後方に引き抜くだけで取外せます。

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このネジは緩めたり締めたりする用途のネジなので、力いっぱいまわして抜いてしまわない様に気をつけましょう。抜いてしまうと元に戻せなくなる可能性があります。他の調節ネジも同じです。

座金から本体を上手く外す事が出来たら次です。

扉にスライド丁番の本体の方を取り付けます。

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こんな感じにします。

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取り替え需要の場合、もともと付いていた方の本体を外すと、こんな感じで円柱状の穴が空いていると思います。キットの場合も予めこの穴は空けられています。

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この穴とカップの円周はほぼ同じで、カパッとはまる様になっています。大抵の場合は直径が26㎜、35㎜、40㎜の3種類の内どれかで、この直径の事を “カップ径”と言います。新しいのを買う時は必ず最初に “カップ径” を確認しましょう。

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ちなみに穴まで自分で空けなければならない事態に陥った場合はここの距離がとても重要になってきます。基本構造のところで出てきた “かぶせ” の被さり具合に影響してくるからで、適当に空けると扉が開かなくなったりもします。
ここの距離のことは “カット量” といいます。このカット量も買い替える新しいスライド丁番を選ぶ時必要になってきます。

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カップ径の話で長くなってしまいましたが、丸穴さえ空いていればこの工程は写真の向きに本体をはめ、ただネジ止めするだけで終わりです。
キットの場合はネジを止める位置に印が付いていると思いますので問題ありませんが、交換の場合元々付いていた商品とネジ止め位置が異なる場合があります。そんな時は直角を意識して取付けるようにしましょう。

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次は側板側

次は座金を側板に取り付けます。

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こんな感じにします。

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キットであれば印が付いていると思うのでそこに合わせて付ければ良いのですが、取り替え需要ですとほとんどの場合、取付ビス位置は変わります。

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新たに購入する商品には上図の様な説明書が付属していると思いますので、位置決めはその説明書に則って行う様にしましょう。側板に印を付けていく形ですが、ポイントは古い方の座金を取外す前に上下位置を示す中心線を引いておく事です。
※一から家具を作る場合はいろいろしなければいけないので、そのお話はまた別の機会に…。

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座金を付けたらあとはドッキングすれば取付け完了です。
ひとまずはお疲れ様でした!

次は、位置の微調整にはいりましょう。

位置の微調整

最後に調節ネジを使って扉の前後左右を微調整します。いっぱいついてるネジの正体がここで明らかになります。
製品もいろいろ売られていますが基本的なところはほぼ同じです。ここでは弊社の製品を例に説明させて頂きます。
備え付けのスライド丁番付き扉の位置調整だけであればこの章を見てもらえるだけでOKです。

まずは各ネジの説明です。

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これらは扉、棚に本体と座金をそれぞれ止めているネジです。

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なのでこの3つのネジの役割を理解すればいいだけです。

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このネジ達を使う時はこんな時です。

case-1

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case-1の場合はこのネジをさわります。

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図の向きで説明すると、ネジを時計回りに回すと左に、反対に回すと右に本体ユニットが動きます。


※以降、ネジの位置や回し方の説明を進めていきますが、スライド丁番は多種の商品が出回っているため、適合しない特殊なタイプもございますのでご了承下さい。本記事では最も標準的なケース寄りの例で説明して参ります。

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例えば全体的に棚と扉に隙間が空いている時は上と下両方の丁番のネジを時計回りに、扉の上だけ隙間が空いている時は上に付いている丁番だけのネジを時計回りに回すといい感じになります。

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1つ注意点を挙げますと、それほど劇的に動きません。この前後ネジでは2㎜ぐらいしか動きませんので、座金を取り付ける段階で出来るだけキッチリ測って作業する様にしましょう。

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座金と本体をネジで着脱するタイプは、ネジを回しただけでは本体ユニットを移動させる事が出来ません。

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このネジの役割は緩めるか締めるかだけなので、扉の前後は扉を手で持って押し込んだり引いたりして調節します。いいところに合わせたらネジを締めて固定します。(この作業は2人以上で行う方が良いでしょう)

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ちなみにこの溝の分、本体は前後に動きます

case-2

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case-2の場合はこのネジをさわります。

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時計回りに回すと本体のカップ側が座金から離れて行きます。ネジを時計回りと逆にまわせば座金と本体が近づきます。

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例えば全体的にもう一方の扉と隙間が空いている時は上と下両方の丁番のネジを時計回りに、扉の上側だけ隙間が空いている時は上に付いている丁番だけのネジを時計回りに回すといい感じになります。

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左右の調節、所謂かぶりの調節についてはネジタイプも同じ要領です。

case-3

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最後はcase-3 このネジをさわります。

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製品によってはネジの位置が違う場合もあります。その場合はだいたい真ん中にあります。

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図の向きで説明しますと、ネジを時計回りに回すと下に、反対に回すと上に両ユニットが動きます。座金を留めているネジの位置を見てもらえれば動いてる方向が分かると思います。

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例えば扉が棚より上に行きすぎている場合、上と下両方の丁番のネジを時計回りに、扉が下に行きすぎている場合は上と下両方の丁番のネジを反時計回りに回すといい感じになります。

調節ネジがない場合もあります

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このネジの役割は緩めるか締めるかだけなので、扉の上下は扉を手で持って上げたり下げたりして調節します。いいところに合わせたらネジを締めて固定します。(この作業も2人で行う方が良いでしょう)

位置の微調整についての説明は以上です

各図の表現も少しオーバーにしていますが、読んで字のごとく微調整ですので、調節ネジで動かせるのは±1mm~±3㎜程度です。ですので微調整を行うタイミングとしては扉の一部がどこかと干渉して開け閉めし辛い等の時になると思います。きっちり取り付けるにはやはり最初の位置決めが重要です。

もうこれで取扱いについては略々会得できた感じではないでしょうか。全て記憶しておくのも面倒だと思いますので、いざ作業しなければならない時の為にこの記事をブックマーク等しておいていただけると嬉しいです。

商品の選び方

キットの場合は必要ありませんが、取り替え需要の場合は購入する新しい商品をチョイスしなければなりません。最後はそのお話で終わりたいと思います。
本当は今付いてる製品と全く同じものを買うのが一番良いのですが、型番が書いてないとか、もう売ってないとかの場合の為にご覧下さい。
尚、買い替える時は1個だけが壊れた場合でも扉についている全ての丁番を買い替える様にしましょう。

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① カップ径

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まずはカップ径、これは取付け方の章でもふれましたが扉に空いている穴に合う直径ですね。例外もありますが大抵取り替え用として売られているものは、26mm、35mm、40mmの3サイズです。扉を一度取り外してどれに該当するか測りましょう。

② かぶせ量・カット量

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次はかぶせ量、これは基本構造の章でお話させていただきましたね。

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3パターンあるうちで、インセットは一目瞭然です。しかし全かぶせと半かぶせは分かり辛い時があります。ざっくり言うと、略かぶっているか半分くらいかの違いなのですが、どうしても知りたい方はかぶせ量を測りましょう。ここで取り付け方の章で出てきたカット量が必要になります。新しく購入する商品のパッケージには上図の様な図や表が表示されていると思いますので、見比べる為に現状のかぶせ量及びカット量を測っておきましょう。

③ キャッチ・ダンパーの確認

最後はキャッチとダンパーです。これはここに来て初めて出てきましたスミマセン。
どちらも途中まで閉めかけた扉をぴっちり閉まるまでサポートしてくれる機能です。

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どちらも付いていなければ、扉が閉まりきる手前で手を離すと扉はそのままちょっと開いたままです。

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キャッチ機能が付いていれば、閉まる手前で手を離しても扉は勝手に最後までパタンッと閉まります。

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ダンパーはかかった力を減衰させながら扉を閉めきる機能です。結構勢いよく扉をしめても扉は勝手にゆっくりと静かにパムッと閉まります。

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例えば天板に、予め上図の様なマグネットキャッチやローラーキャッチが備え付けられていれば、スライド丁番にキャッチ機能は付いてなくてもOKです。はたまた、小さなお子さんがいらっしゃるお家でしたら誤って手を挟んだりし難いよう、ゆっくりしまるダンパー付きが要るでしょうし、キャッチ付き・ダンパー付きはそこらへんを考慮して選びます。

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ちなみに、「ダンパー付きを使いたいんだけど上下に計2つスライド丁番を付ける時はどうするか」という質問をよく受けるのですが、上下ともダンパー付きにするとものすごくゆっくり閉まるので、どちらかというと上だけダンパー付きにするのがベターですとお伝えしています。もし大きな扉であれば3つ以上スライド丁番を付ける事になりますが、そんな場合はベストな閉まり具合になる様、都度検証をお勧めしています。

あとがき

長い文章になってしまってスミマセン。また、最後まで読んでいただいて本当に有難うございます。ここまで読んでいただいた貴方なら、家のスライド丁番が壊れてもカッコイイ開き扉付きのキャビネットを買って来ても、「なに?スライド丁番?まかせといてよ!」となるかもしれませんよ!

このブログを書いたのは

通販チームのweb掲載用グラフィック担当、おいしいものと文鳥と細かい作業が好きな一児のおとうさん、ライターの “KURO” です。
パソコンが無いと赤子同然!DIYに携わる部署にいながら手先は不器用!それだけに、DIY初心者の方がどんな所でつまづき易いかが良く分かります。
そんな私が日々お送りするこの記事、初心者の方もそうでない方も、是非是非読んでやって下さいませ!

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