古材が生きる"黒壁ヴィンテージスタイル”にフルリノベーション。

昭和の高度成長期に建てられたビンテージマンションをベースに、インダストリアル調の風合いを盛り込んだフルリノーベーション物件。天井や床には剥き出しのモルタルと、フローリング床。壁面は白ベースに黒壁塗装をアイキャッチで入れることで空間を引き締める効果も狙った、日当りと景観の良さを最大限活かした、シンプルかつお洒落な空間が大変魅力的なのです。

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しっかりした造りのバブル以前の典型的なマンションが生まれ変わる

昭和の高度成長期の最中に巻き起こった新築マンションブームがありました。当時はバブルに向かう直前の右肩上がりまっしぐらの時代。当時最先端の技術とコストを掛けた昭和50年代初頭に建てられたマンションは、造りもしっかりしていて不動産としても非常に良質な物件と言われています。オーナーのMさん夫妻は、そんな優良物件を視野に入れてhowzlifeに購入からリノベーションまでを一括で依頼。選考されたのがこちらの築33年となる江東区の物件でした。大きな開口部を持つ南向きのバルコニーと、川沿いという大変開放的な景観が決め手だったとのことです。

リノベーションプランは、フルリノベーション手法を取りつつ、風呂やトイレなどは元を活かす形の効率のいいプランが取られました。間取りは3K物件だったものを、部屋数を整理し2LDKに。バルコニー側を全面リビングダイニングとすることで日当りの良さと開放的な空間を作ることに成功しています。加えて全体の雰囲気はシンプルで無機質な空間を目指し、玄関からリビングダイニングまで繋がる動線を段差のない完全フラットなモルタルとフローリング材で施工。天井も天井材を剥がしたままの剥き出しのモルタルを活かし、白壁と組み合わせる事で、空間自体の印象は非常に無機質なものとなっていますが、その分、設備や調度品のアレンジが効いてくる室内空間を作ることに成功しているといえるのではないでしょうか。

バルコニーに面したLDとベッドルームのアレンジが見事

元は2部屋あった部分をリビングダイニングとして統一することで広さと充分な採光を確保。リビングエリアはキッチンまでのモルタルからフラットに繋がる設計でフローリング木材を使用。日当りの良さと相まって暖かみが感じられます。

中央にあるテーブルは中目黒にある古材などを扱うインテリアショップ、ギャラップにオーダーを掛けた特注品。ローテーブルでは低過ぎるし、通常のテーブルでは高過ぎてしまいソファに合う丁度いい高さのテーブルがなかなか見つからなかったとの事で高さ60cmでオーダー。手前のウッドローテーブルと雰囲気を合わせたものを製作してもらったものなのだそうです。

リビングダイニングは前述のようにバルコニー側全面に配置することで日当りの良さを確保しています。南向き、そして隣接する建物の無い川沿いということもあり、この時期でも昼間であれば暖房は必要ない程の日当りの良さはこの物件の大きな特徴と言えるのですが、そのアドバンテージを最大限活用した間取りといえます。バルコニー反対側にはキッチンスペースと通路を挟んでベッドルームが設けられていますが、そのベッドルームの配置&アレンジも見事。ベッドルームには、リビングへのアクセスとしてアンティークのドアと室内窓を取り付け、加えてベッドルーム側の壁面のみ全て黒板塗装とすることで、他の白壁部分とのコントラストを演出。非常に立体的且つ雰囲気のある空間演出も盛り込まれています。照明やテーブルなどの調度品はM夫妻が自ら選んだアンティーク品でまとめているのもセンスが感じられるポイントです。

ベッドルームの黒壁は空間をひきしめる効果を演出。木製枠の室内窓とアンティークドアは、シンプルな空間に独特の風合いをもたらしてくれます。玄関からの動線上にあるドアもアンティークドアで、デザイナー黒田さんがチョイスしたデモデファニチャー製。ちなみにベッドルームのドアは、このドアに似た風合いのものをギャラップで奥様がチョイスしたというアンティークのドアなのです。
キッチンは無機質な空気感を大切にしたい、とのことでモルタルフロアともマッチするステンレス製の対面式カウンタータイプをhowzlifeがオリジナルで製作。プロが使っている厨房用キッチンの使い易さとステンレスの硬質な質感が相まって、お洒落なカフェのような演出がとっても現代的なのです。

玄関から続くフルフラットなモルタルの動線

玄関を開けると、玄関口の段差を廃したモルタルの廊下がリビングまでフルフラットな状態で続きます。これならば自転車などのアクティビティギアの置き場としても使い易いですね。海外住宅にも通じる、現代的なレイアウトは来訪者に最初の驚きを与えてくれます。

ベッドルーム〜クローゼット〜セカンドルームまで一直線

セカンドルーム側からベッドルームを臨む。奥側に見えるドアがリビングに通じるベッドルームのドアで、手前右手側にはウォークインクローゼットを配置しています。

メインベッドルームのリビング反対側には玄関脇のセカンドルームまで一直線の動線があり、その間にウォークインクローゼットがある、これまた海外住宅のような贅沢なレイアウトが取られています。ベッドルームはシンプルですが、リビング側に室内窓とドアを設置しているので実際のスペース以上の開放感が得られています。

こちらがベッドルーム。かさ上げしたモルタル天井と、室内窓によって実際以上の広さを演出するデザインが秀逸です。

アンティークでまとめられた設備&調度品

照明などの調度品はアンティークな風合いのモノをチョイスしています。特に照明は使う目的や場所によってそれぞれ個性のあるデザインのものが取り入れられています。これらはほぼ全てオーナー夫妻がチョイスしたもの。以前住んでいた目黒区周辺にはアンティークショップが多く、この部屋のディティールが固まってきた段階で、その雰囲気に合う様に、と夫妻が探して少しずつ買い集めたという選りすぐりのアイテムばかりだそうです。

リビングに設置された時計は大正時代の国産時計だそうです。このシンプルだけど歴史の重みを感じさせるデザインと風合いが堪らないですね。元々は手巻きだったそうですが、購入時にムーブメントはクォーツ製に入れ替えられていたそうです。
こちらのビンテージショップで見つけてきたというドイツ製の吊り下げ式のランプは、ダイニングテーブル&ソファの照明として利用。この使い込まれた感じはアンティークならではです。
キッチン上部には球体タイプのペンダントライトを設置。日本製の吹きガラスを使ったライトで、ひとつひとつ異なるフォルムが気に入っているとのこと。
ベッドルームのライトもアンティークタイプのものをチョイス。ブラス製のボディが独特の空気感を醸し出してくれます。

独立キッチンの3K物件を2LDKに

Before

元は当時の国内マンションによくある独立キッチンの3K。大きなリビングの中にもう一つ部屋があるような独特の間取りでした。

After

対面式としたキッチンは多少の変更を有したものの、風呂やトイレなど水廻り設備の場所はほぼ変えずに2LDKの間取りに変更。バルコニーに全面アクセスさせたリビングダイニングがこの物件の最大の魅力なのです(バルコニーは図面右側)。

国内の築33年というビンテージマンション物件としては定番的と言える66㎡という占有面積の中で、現代的なデザインと演出を盛り込んだフルリノベーション物件は、同じよう物件探しでお悩みの方には非常に参考になる作例だったのではないでしょうか。このタイプのビンテージマンションはまだ数多く残っているので中古マンションリノベをお考えならば今が旬なのかもしれませんね。

以前は目黒区在住だったというオーナー夫妻も、当時は外で過ごす事が多かったとのことですが、こちらに移ってきてライフスタイルが変わり、家で過ごす事が多くなったそうです。休日は日当りのいいリビングでゆったり過ごし、夫婦で楽しみながら料理をする。そんな安らぎのライフスタイルを提案してくれる物件なのです。

◆所在地:東京都江東区
◆構造:マンション
◆築年数:昭和57年(築33年)
◆占有面積:66㎡
◆リフォーム工事面積:66.00㎡
◆間取り:施工前=3DK 施工後=2LDK

Text:藤川経雄
Photo:塩谷佳史
Movie:小久保直宣(LIMIA編集部)

設計・施工:howzlife(株式会社ハウズライフ)

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