DIYゲストハウス~100万円以下で空間を変える手法~

「華月」~アイザ鎌倉の簡易宿泊所
https://www.airbnb.jp/rooms/14709111

計画地は鎌倉駅から徒歩1分という好立地に位置する場所です。しかし、商業施設の裏口から集合住宅部分は入るという点もあり、2LDK(99㎡)に3年間入居者がないという状況がありました。そこでオーナーから民泊コンサル経由で依頼があり企画・設計・運営に携わることになりました。

大きな問題は予算が100万円を切っていたことです。

どうしようかなと思った時に「民泊」という言葉が注目を集めていたので、延床96㎡、2LDKの集合住宅の1室を簡易宿泊所としてDIYでゲストハウスを作ることにしました。

現在ではこのゲストハウスはオープンから6か月経過し、
BOOKING.COMの評価9.2、稼働率90%の人気宿になっています。

コンセプト

 本プロジェクトでは、アイザ鎌倉の4階住宅部分を転用してゲストハウスにし、簡易宿所許可を取得しました。

鎌倉駅から徒歩1分の商業施設、アイザ鎌倉の4階の住宅部分を転用してゲストハウスにしました。アイザ鎌倉は1階から3階部分が商業施設であり、小町通りなどに面しています。夏は観光地として由比ヶ浜などの海岸部分もありますが、ヨーロッパ、中国などのアジア系の観光客には日本の寺社を観光する方が多い印象があります。寺社をいくつか見て廻りましたが、鎌倉の寺院建築で一番良かったのが明月院です。明月院は鎌倉原産の花である紫陽花などの花々や日本伝統家屋の中にある円と緋毛氈という赤い布をモチーフにした美しい空間構成を作っています。

アイザ鎌倉の簡易宿泊所は明月院の円の借景をモチーフにしてデザインしました。2LDKには和室が2部屋併設されているが間仕切りを取り、緋毛氈と呼ばれる赤い布をくりぬいて間仕切りを入れることで明月院の借景を再現しました。

またリビングの天井には紫陽花を表現した天井画をアーティストに描いてもらっています。なお鎌倉山に住む華道家に生け花を円の間仕切りの奥に配置してもらうことで間仕切りの円に中心性を持つ空間を再現しました。今回の簡易宿泊所では宿泊すると同時に、鎌倉駅か徒歩1分という好立地なので華道教室やアートギャラリーとしても使用できるように計画しています。

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民泊DIY~工事費60万円で作る~

今回は予算が100万以下でやってほしいというかなりきつい条件の中でやっているので、基本的にはしつらえとアーティストとコラボしたDIYの内装で空間作りを考えました。住居のしつらえはカーペット、カーテン、布団や家具などによって大きく部屋のイメージを変えることが可能です。今回のDIYでは水廻り、躯体、壁をいじらずに構成しました。ほとんど緋毛氈と呼ばれる赤い布、ニトリの家具、ダイソー・セリアの100円均一のコップなどの生活用品をうまく使用するのことで空間を大きく変えています。

イメージは鎌倉にある明月院という円の借景を取る美しい空間を参照しています。これは緋毛氈(赤い布)を自家製コンパスで円をかたどっています。また、間仕切りにつける赤い布を用いて止めるピンやカットに使うはさみなどもすべてダイソーで一式揃えました。また自家製コンパスなどもダイソーで販売されている木製の棒やペンなどをうまく組み合わせることで作成しています。

ダイニングの天井画は紫陽花をモチーフにして作成しました。木製のパネル化して天井に電動ドリルではめ込みました。 今回の空間作りはアーティストとコラボレーションすることによって通常の集合住宅にはない和とアートをテーマにした空間を作り出しました。

香月真大
コンセプトボード
香月真大
室内で借景を再現する。明月院はあじさいが周囲にあるとても美しい空間です。円の間仕切りから紫陽花が寝ているときにみえるように天井画を作りました。
緋毛氈と呼ばれる赤い布をくり抜いて、明月院の円の借景を室内に再現しました。これは和室の間仕切りを全て取って、布を付けることで円を通り抜けできる和室となっています。
2LDKのリビングダイニング。ファミリー貸しでゲストハウスを提供することで団体の女子学生などが休みの日などにたくさんきます。基本的には空間全体のレベルを和室に合わせて低くすることで天井画がいきるしつらえにしています。
既存の間仕切りを全て取ることで広い1ROOM空間となるように設計しました。
和室・和室は落ち着いた空間とし、華道家に生け花をいけていただくことで円の間仕切りから借景として生け花が見えるようにデザインしています。
ゲストハウスの入り口。鎌倉小町のメインストリートの裏口から入るため、誰も集合住宅があること自体気づかないためほとんど入居がありませんでした。今回ゲストハウスにしたのはWEBで集客が可能だからです。
アイザ鎌倉のメインエントランス。鎌倉で最も人が多い鎌倉小町のメインストリートです。正面は平日でも人だかりがたくさんですが、裏口に集合住宅の入口があるとはほとんどわかりません。
円の間仕切りの作成
ダイソーで買った道具や物干し竿を加工して巨大なコンパスを作成し、用意した緋毛氈(赤い布)の中心に合わせて円の線を引き、はさみで切り取ることで円の間仕切りを再現しました。
紫陽花の絵の設置現場
アーティストの伊藤知宏が紫陽花のパネルを現場に持ってきて調整する様子です。
紫陽花の絵(木製パネル)
紫陽花の絵は木製パネルにすることでボルトではめ込む形式で天井に設置しました。これは天井で絵を描くことは困難なためです。
既存の集合住宅のリビングダイニング
3年間入居者募集をかけていたに関わらず入居がないのが現状でした。アイザ鎌倉にこのように集合住宅部分があると地域の人達も知らなかったからです。
既存の集合住宅の和室の間仕切
間仕切りは最初は付いていましたがすべて外して1ROOM空間としました。
外した部分に円の間仕切りを付けることで通り抜けることができるようにしています。
既存の集合住宅の和室
和室空間は基本的には綺麗だったので清掃のみにして赤い布としつらえのみで空間を変えることを考えました。
既存の集合住宅のキッチン。
最初は暗い感じでしたが、リノベーション後はファミリーで来る女子学生などが
鍋をしたりとキッチンを楽しんで使ってくれています。
2LDK・延床面積96㎡(集合住宅の平面図)
基本的には間取りや躯体はいじらずに布としつらえで空間を変えました。
既存の間仕切りを全て取り、広いユニバーサルスペースとなるように設計しています。
左が集合住宅、右が屋上です。
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建築家 1984年 東京生まれ 早稲田大学院建築学科修了石山修武研究室、上海へ渡航後ミサワホーム資産活用事業部香月真大建築設計事務所 / SIA (second…

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