サツマイモの育て方は? これを読んでサツマイモの育て方を知ろう!

本サービス内ではアフィリエイト広告を利用しています

  • 514
  • 0
  • 0
  • いいね
  • クリップ

サツマイモは痩せ地でもよく育ち、収穫量も多いため家庭菜園のスタートにぴったりの野菜です。病害虫の発生が少なく、ほとんどメンテナンスの手間がかからないのもメリット。近年では品種改良が進み、甘さに特化したもの、食感を追求したものなど、さまざま。数種類のサツマイモを栽培して、味比べを楽しむのもいいですね。この記事では、サツマイモのプロフィールや基本情報、種類、育て方まで、幅広くご紹介していきます。

サツマイモとは

goldenjack/Shutterstock.com

サツマイモは、ヒルガオ科サツマイモ属の根菜類です。原産地は中南米で、生育適温は16〜36℃、イモの肥大には20〜30℃が適しています。温暖な気候を好み、日本では主に西日本で栽培されています。栽培のスタートは、十分に気温が上がって遅霜などの心配がない5月頃から。乾燥した土壌で痩せ地を好み、肥料を施しすぎると、かえって地上部のつるばかりが茂ってイモが太らない「つるボケ」の現象を起こしてしまいます。

サツマイモは、17世紀頃に、東南アジアから中国を経て沖縄・九州に伝わったとされています。中国から伝わったイモとして、九州では「唐芋(からいも)」と呼ばれることが多く、本州では鹿児島から伝わったイモとして「薩摩芋(さつまいも)」と呼ばれるようになりました。サツマイモはやせ地でもよく育ち、収穫量も多いことから、天候不良による飢饉から何度も人々を救ってきた歴史があります。特に享保の飢饉では、本州では飢饉による餓死者が多数出たにもかかわらず、既にサツマイモが普及していた九州ではほとんど死者が出なかったことで、にわかに注目されるようになりました。凶作時の救荒作物として、一気に全国規模で栽培が広がっていったのです。当初は飢饉時のお腹を満たすためのイモでしたが、栽培が広まるにつれて味の改良が進むようになり、甘みの強い品種が生み出されて、食味のよい「おやつ」へと進化を遂げました。江戸時代には石焼きイモ屋が人気を博し、庶民に愛される存在だったようです。

サツマイモは、意外にもビタミンC、ビタミンEを多く含み、美容・美肌に効果があるとされています。またβ-カロテンやビタミンB1、B2、B6のほか、カリウム、鉄分などのミネラル成分も豊富。整腸作用のあるセルロースの含有量も多く、便秘の解消が期待できます。

サツマイモの種類

PJjaruwan/Shutterstock.com

サツマイモは人気の食材だけに、その品種数は大変多いのが特徴です。形に注目してみれば、細長い形、ずんぐりとした紡錘形、やや短めの円筒形があります。果肉の色に注目すると、ベージュ、黄金色、オレンジ色のほか、紫色なども。味もさまざまで、糖度が高いもの、食感がねっとりしているもの、ホクホクしているものなどがあります。ここでは、その食感に注目して分類し、サツマイモの多様な品種についてご紹介していきます。

ホクホク系

【紅あずま】

長紡錘形でイモの揃いがよく、大きく肥大して収穫量も多いので人気が高い品種です。皮の色は鮮やかな赤紫で、果肉はクリーム色。粉質の食感で、じっくりと加熱すると甘みが増します。

【紅小町】

長紡錘形で果皮は鮮やかな紫色、果肉は淡い黄色。貯蔵すると果肉が濃くなります。甘くて食味がいいので、焼きイモやふかしイモにすると絶品。

【高系14号】

高知県で生まれた品種です。紡錘形で、鮮やかな紫色の果皮、クリーム色の果肉。程よい上品な甘さが魅力です。砂質土壌での栽培に向いています。

【パープルスイートロード】

ややスマートな紡錘形で、果皮は紫色。果肉は紫色で、アントシアニンを多く含み、あっさりとした甘みが感じられます。ふかすと色も味も濃くなるのが特徴的。

【鳴門金時】

紡錘形で、果皮は鮮やかな紫色、果肉は黄色で、大変ポピュラーに出回っている品種です。しっとりとホクホクのバランスがよい食感で、甘みも強いので人気があります。

しっとり系

【べにまさり】

紡錘形で、果皮は赤、果肉は淡い黄色。甘みが強くて柔らかく、特にじっくり蒸して食べるのがおすすめ。収穫量が多く、早く収穫できる特性があります。

【シルクスイート】

ずんぐりとした短紡錘形。赤紫皮は肌合いがなめらかで、果肉は濃い黄色。収穫直後は粉質の食感ですが、貯蔵することにより、粘質でシルクのような食感を楽しめます。

【ひめあやか】

コロンとした短紡錘形で、濃い赤紫の果皮、クリーム色の果肉。しっとりとした舌触りで、食べきりの「姫サイズ」が特徴です。病気に強く、栽培しやすい品種です。

【アメリカ芋】

皮色はベージュ色、果肉は淡いクリーム色。昔ながらの品種で食感がよく、根強い人気を誇っています。乾燥しやすい土壌に向く性質です。

ねっとり系

【安納芋】

短紡錘形をしており、皮色はくすんだ紅色で、果肉は淡いオレンジ色。ねっとりとした食感で濃厚な甘みが口に広がります。食感のよさは群を抜き、サツマイモ界のスター的存在。

【べにはるか】

ふっくらとした長紡錘形で、赤紫の皮色に、淡い黄色の果肉です。ねっとりとした食感で、甘みが強いのが特徴。収穫時は形が大きさの揃いがよく、安定した収穫量が得られます。

【クイックスイート】

長い紡錘形で、赤紫の皮色、クリーム色の果肉。他の品種に比べて糖度が最高値に達する温度が低いため、電子レンジで調理しても十分な甘さが得られます。

サツマイモの栽培時期

tamu1500/Shutterstock.com

サツマイモの栽培は、温暖な気候を好む性質のため十分に気温の上がった5月頃に、苗の植え付けからスタートします。根づいてしまえば、救荒作物だけに痩せ地でも奔放につるを伸ばして生育するので、メンテナンスの手間はほとんどかかりません。夏を越えて、収穫は10月頃から行います。収穫量が多く、丸々と太ったイモを収穫できることから、お子さんのいる家庭では食育におすすめの野菜です。土の中を探って掘り当てた時の感激体験は、きっと忘れられない思い出になることでしょう。

サツマイモの育て方

ここまで、サツマイモの基本情報や種類、栽培時期などについて触れてきました。では、ここからは菜園ライフの実践編として、サツマイモの育て方について詳しく解説していきます。他の野菜とは一風変わっている苗の植え付け方や、日頃の管理、収穫や保存の仕方など、順を追って掘り下げていきますよ!

苗の準備

ジャガイモやサトイモが種イモの植え付けからスタートするのとは異なり、サトイモの栽培は、苗の植え付けからスタートします。意外ですよね。苗は5月頃から出回り、ホームセンターなどでつる苗を束ねた状態で売られています。しかも根がついていないんです! 「これじゃ植えても根付かないのでは?」と不安になるかもしれませんね。じつのところサツマイモは「挿し穂」が苗として流通しており、厳密にいえば挿し芽からのスタートと捉えてください。サツマイモは生命力が旺盛なので、挿し芽からの栽培でたくさんのイモを収穫できるのです。サツモイモの繁殖力たるや、凶作による飢饉から幾度となく人々の飢えを救ってきた「救荒作物」と表現されるのも納得がいきますね。

つる苗は、茎が太くてしなやかで、葉が5〜6枚ついている新鮮な苗を選びます。節間が短くがっしり締まっているものを選びましょう。「下葉が黄化しているものや、発根しているものは避けて」とよくいわれますが、茎が腐ってさえいなければ、生育には問題ありません。

苗を購入したら、1本ずつにばらして新聞紙などの上に並べ、日陰で3〜4日乾かします。これはそのまま新鮮な状態で植えると強い日差しに弱ってしまい、活着が悪くなるのを克服するために行う、「ハードニング」処理というテクニックです。しおれた状態になった苗を、植え付けの前日に水を張ったバケツにつけ込み、切り口から十分吸水させてください。すると水分を吸い上げてまた茎葉がシャキッとして勢いを取り戻します。この処理をすることで、苗の切り口周辺から発根しやすくなり、畑に植え付けた後の活着もよくなります。

土づくり

Sleepyhobbit/Shutterstock.com

サツマイモは、水はけのよいやせ地を好みます。前作に作物を育てていた場所では、肥料が残っているので無肥料で育てるとよいでしょう。また、適した土壌酸度はpH5.0〜7.0と幅があり、苦土石灰を散布しておく必要もありません。全く植物を植えていない場所で新たに栽培を始めるなら、元肥は植え付けの2週間ほど前に1㎡当たり堆肥500g、緩効性化成肥料(N-P-K=8-8-8)30gを全面にまいてよく耕し、土づくりをしておきます。しばらく置くことで肥料成分の分解が進んで土が熟成し、根づきやすくなります。

植え付け

Vasyliuk/Shutterstock.com

サツマイモの苗の植え付け適期は、気温が十分に上がった5〜6月中旬です。植え付けの際、日差しが強い日では苗が傷むことがあるので、曇りや小雨の日を選ぶとよいでしょう。晴天の場合は、夕方に作業しましょう。

畝幅は約1m取り、約20〜30cmほど土を盛ってカマボコ型の高畝を作ります。これはサツマイモが水はけのよい環境を好むためで、また十分に耕して盛り土することで、イモの太りもよくなります。

高畝には、地温を上げるために黒のマルチフィルムをピンと張り、風で飛ばされることのないよう四方に土を盛ってしっかり固定を。黒のマルチフィルムは光を通さないので雑草対策にもなります。

高畝の中央に約30cmの間隔を取って、黒のマルチフィルムに穴を開けます。植え穴は深さ10cmほど取り、前日に吸水させておいた苗を斜めに寝かせて置き、茎の部分に土をかぶせて植え付けます。

植え付けから1〜2日は、不織布をふわりとかけて周囲に土を盛って固定しておくとさらに万全。強い日差しや風から苗を守ってくれます。

つる返し

順調に生育してサツマイモのつるが1m以上に伸びたら、「つる返し」の作業を行います。つるが伸びて株元が見えないくらいに伸び放題になっていたら、つるを持ち上げて裏返し、株元に戻します。その後もつるが周囲へ旺盛に伸びようとしていたら、この「つる返し」を繰り返しましょう。

「何のための作業?」と不思議に思う方もいるかもしれませんね。これはつるが伸びて地面に着くと、そこから根を出してイモを作ろうとするために、栄養が分散されてイモの太りが悪くなるからです。サツマイモの繁殖力、恐るべし! 大きなイモを収穫するためには、必要なひと手間となります。この時、雑草が生えていたら抜いておきましょう。

収穫

kridsada tipchot/Shutterstock.com

10月上旬に、畝が盛り上がってきたら収穫のタイミングです。「高畝に長くおいておくほどイモが太るのでは?」と欲張ってはダメ。気温が5℃以下になるとイモが傷むので、収穫適期を逃さないようにしましょう。サツマイモのつるの切り口からが分泌される樹液が服につくと取れないので、作業の際には汚れてもいい服装で行ってください。

はじめに、黒のマルチフィルムをはがし、畝を覆い尽くすように広がっているサツマイモのつるを鎌などで切り取ります。株元から30〜40cmほど離れた場所にスコップの刃を差し込んで土を掘り起こし、周囲を手で探ってサツマイモを取り出しましょう。

追熟と保存

Ratchat/Shutterstock.com

サツマイモは、収穫から2〜3週間ほど置いて追熟させると、甘みが増します。時間を置くことで、イモの中に含まれるデンプンが糖に変わるからです。収穫の際にクワなどの刃が当たって傷がついたイモなどは早めに食したほうがよいのですが、他はしばらく貯蔵してから食べ始めるのがおすすめです。サツマイモは寒さに弱い性質のため、保存の際には冷蔵庫には入れないでください。サツマイモの貯蔵に適した温度は13℃前後で、湿気の多い環境を好みます。新聞紙などに包んで断熱効果がある発泡スチロール製の箱などに入れて、室内に置いておくとよいでしょう。

注意点

praditkhorn somboonsa/Shutterstock.com

【地植え栽培での水やりは不要】

地植えの場合は下から水が上がってくるので、水やりは不要です。サツマイモは、乾燥に強い性質だからというのも理由の一つです。秋に乾燥した気候が続くとおいしいイモを収穫できます。

【つるぼけに注意】

やせ地でも育つサツマイモは、肥料分が多いとかえって茎葉ばかりが旺盛に茂って、イモが太らない「つるぼけ」になるので注意してください。特に窒素成分を多く含む肥料を与えると「つるぼけ」の状態になりやすくなります。

【ハスモンヨトウの発生にご用心】

サツマイモにはほとんど病害虫が発生せず、放任してもよく育つ野菜です。ただし、ハスモンヨトウの発生にはご注意を。

サツマイモの葉に蛾のハスモンヨトウが卵を産み付けることがあり、孵化した幼虫が旺盛に葉を食害します。孵化したては小さいのですが、成長するとギョッとするほど大きくなり、その分食欲も旺盛に。昼間は土中に潜んでいますが、夜間に活動して一晩で葉を穴だらけにしてしまうほどです。葉に穴が開いている形跡はないか、パトロールして、見つけ次第捕殺しておきましょう。

サツマイモを家庭菜園で育ててみよう!

Piyaset/Shutterstock.com

サツマイモは簡単に栽培できるので、秋の収穫を目指して初夏から始める家庭菜園におすすめの根菜類です。収穫適期を迎えて土の中を丁寧に掘ると、ゴロゴロと大きく太ったイモが見つかり、宝探しのようなワクワク感があります。農耕民族の血が騒ぐのか、イモ掘る人々の目は老若男女を問わずキラキラと輝くもの。ぜひサツマイモを家庭で栽培して、収穫の喜び味わってみませんか?

Credit

文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。

参考文献/
『別冊やさい畑 野菜づくり名人 虎の巻』発行/家の光協会 2009年2月1日発行
『やさしい家庭菜園』 監修者/藤田智、加藤義松 発行/家の光協会 2006年3月1日第1刷

  • 514
  • 0
  • いいね
  • クリップ
コンテンツを違反報告する

関連キーワード

関連アイデア

カテゴリ

このアイデアを投稿したユーザー

『ガーデンストーリー』は植物のある心豊かな暮らしを提案するガーデン・エクステリア専門のメディア。さまざまな植物情報や、ガーデニングハウツー、庭やエクステリアのア…

GardenStoryさんの他のアイデア

コラムのデイリーランキング

おすすめのアイデア