洗剤だけでは落ちにくいガンコなシミや汚れには「漂白剤」が力を発揮します。「漂白剤」と聞くと、真っ白くしてしまうイメージで、色柄物の衣服には使えない、使い方がよくわからないという方もいらっしゃるかもしれません。
漂白剤は上手に使うことで洗濯の効果がアップ! 大事な服を長くキレイに保つために、漂白剤の特徴や使い方を学んでいきましょう!
■目次
1. 漂白剤ってどんな効能があるの?
2. 服によって漂白剤は分けるべき?
3. 漂白剤を使ったことによる失敗例
4. 漂白剤ってどこまで落ちるの?洗剤だけでは汚れは落ちない?
5. 液体漂白剤の効果的な使い方
6. 粉末漂白剤は、洗濯槽もキレイにする!?
1. 漂白剤ってどんな効能があるの?
漂白剤は、洗剤のように繊維から汚れを取り除くのではなく、汚れの色素を分解して落とし、衣類の本来持っている色を回復させるはたらきがあります。白いものはより白く、色柄ものはよりはっきりとした色合いになります。漂白剤を使う前にまず洗濯をし、洗剤では落ちなかった汚れやシミを落とす際に使用します。
また、漂白剤は色素を落とすだけではありません。除菌、殺菌効果も高く、湿気の多い梅雨の時期などに起こる生乾き臭を退治することができるのです。
漂白剤には「塩素系」と「酸素系」の2種類があります。塩素系は漂白力が非常に高いのですが、作用が強力のため白い衣類にしか使用することができません。衣類だけではなく、お風呂やトイレ、台所の掃除にも利用できます。酸性の洗剤と混ざってしまうと有毒な塩素ガスが出てしまうため、取り扱いには十分注意しましょう。
塩素ガスは眼、鼻、喉の組織破壊作用があり、生命の危険をともなうことがあります。小さいお子さんがいるご家庭では、必ず手の届かないところに保管してください。塩素系には容器に「まぜるな危険」と表示されています。
酸素系は、白物はもちろん、色、柄物にも使用できるので家庭で使う漂白剤に適しています。実際に、スーパーやドラッグストアで売られている衣類の漂白剤はほとんどが酸素系です。
2. 服によって漂白剤は分けるべき?
酸素系の漂白剤には「液体」と「粉末」の2種類があります。それぞれ使うことができる素材や使い方が異なるので、使用前にきちんと確認しておきましょう。
■液体漂白剤
家庭用漂白剤ではいちばんポピュラーなものではないでしょうか。主成分は消毒用のオキシドールと同じ過酸化水素で、殺菌、除菌効果があります。弱酸性なので繊維にやさしく、水洗いができるウール、シルクに使えます。洗剤と一緒に使用することで漂白力が作用するので、洗濯時に一緒に入れるようにしましょう。
液体漂白剤は、直接シミや汚れにつけることができるので効果的です。その際、長時間の放置は色落ちの原因となるので避けましょう。漂白剤がしみ込んだらすぐに洗うようにしてださい。
■粉末漂白剤
主成分は過炭酸ナトリウムです。水に溶けると、活性酸素を出し、ガンコなシミや汚れを分解します。液体漂白剤と同様、洗剤と一緒に使うことができますが、粉末漂白剤だけでも高い漂白効果が得られます。液体漂白剤よりも漂白力が高いですが、アルカリ性なので色落ちしやすく、注意が必要です。ウール、シルクには使えません。水か40度以下のお湯に溶かし、30分~2時間程度つけ置きすると高い効果が得られます。
■漂白剤を使えないもの
水洗いができないものや金属性のボタン、ファスナーがついたものには使用することができません。
洗うものによって洗剤を使い分けるといいですね。普段着の色・柄物には「漂白剤」、白物には「粉末の漂白剤」、シルクやウールなどのおしゃれ着には「おしゃれ着用の洗剤に液体の漂白剤をプラス」とするといいでしょう。そうすることで衣服がグッと長持ちします。
ここで知っておくと便利なのが洗濯表示です。2016年12月より新JIS規格によって22種類から44種類の洗濯表示に変わりました。
海外で使われている洗濯表示と統一になり、海外で買った衣類もどう洗えばいいか判断しやすくなります。漂白マークは三角の記号を使って表現されるようになります。洗濯表示の種類が増えることでより細かく掲示されるので、これまで以上に衣類に最適な洗い方ができますね。
3. 漂白剤を使ったことによる失敗例
漂白剤を使って、シミをとろうとしたら色落ちした!という経験ありませんか?
実際に「他の衣類と一緒に洗わないし、つけ置きもしないから色落ちはしないだろう……」と思って子どもの食事用エプロンを漂白しました。
すると、首元の部分が見事に色落ちしてしまいました……。このとき使用したのは、塩素系の漂白剤なので効力が強すぎたようです。
また白いシャツを漂白したら黄ばみが出た、ピンク色のシミがついてしまった! なんてことも。黄ばみは襟や袖に使われるメラニン樹脂、ピンクのシミは日焼け止めに含まれている成分の一部が塩素系漂白剤に反応して変色してしまいます。白物だからといって安易に塩素系漂白剤を使ってはいけませんね。
酸素系漂白剤は、基本的にすべての衣類に使用できますが、稀に以下のようなことが発生する場合もあります。
■こげ茶のシミ、黄ばみは要注意
こげ茶のシミや黄ばみは、金属分を含んだものが酸化してシミになった可能性があるので、酸素系漂白剤を使うと金属部分が過剰反応して衣類に穴が開く場合があります。
■粉末の酸素系漂白剤による脆化(ぜいか)
脆化(ぜいか)とはウールなどの繊維が溶けてなくなることです。主成分の過炭酸ナトリウムにより、ウールなどの繊維に発生し、衣類に穴があいてしまう場合があります。
4. 漂白剤ってどこまで落ちるの?洗剤だけでは汚れは落ちない?
漂白剤を使わなくても落ちる汚れはあります。どんな汚れが漂白剤によって落ちるか、洗剤と漂白剤を使って比べてみました。
■口紅
まずは口紅です。服を着るときや脱いだりするときに、思わずついてしまうことってありますよね。白い服だと余計に目立ってしまいます。
【洗剤のみ】
ほとんど口紅のシミがとれていますが、まだ薄く色が残っています。真っ赤な口紅だと、もっと残っていたかもしれませんね。
では、液体漂白剤はどうでしょうか。シミ部分に直接漂白剤を塗って試してみましょう。
【漂白剤を使用】
見事、漂白できました!
今回は、汚れをつけてすぐに洗濯をしたことも良かったのでしょう。汚れを放置していると、漂白しても汚れが落ちにくいこともあります。
■とんかつソース
次はとんかつソースです。小さい子どもは、ケチャップやソースなどをよく服にこぼすため、頭を悩ませているお母さん方も多いのでは?
【洗剤のみ】
洗剤のみでキレイに落ちました! しょうゆやソース、コーヒーは水溶性の汚れなので、洗剤だけでも落ちやすいのです。
■油性ペン
次はこちら、油性ペンの汚れです。洗剤では絶対落ちない汚れという印象があります。
【洗剤のみ】
少し薄くなりましたがはっきりと油性ペンが残っています。ここで、漂白剤の登場です。
漂白力の高い粉末漂白剤で30分以上つけ置きしてみました。目安は2Lのぬるま湯に対して粉末が大さじ1程度。どのくらいキレイになるでしょうか。
【漂白剤を使用】
うっすらと真ん中の線が消えかかっています。でもまだ油性ペンは残っていますね。何回か漂白を繰り返したら消えそうですが、繊維をいためてしまう可能性があります。無理に自宅でとろうとせず、クリーニング屋に相談したほうがいい場合もあります。
■皮脂汚れ
皮脂汚れは洗剤だけではなかなか落ちません。長く着ているシャツなどは、襟のあたりが黄ばんだり、黒ずんだりしてしまいます。
【洗剤のみ】
子どもの肌着です。首元が黄ばんでいるのが分かりますか? 遊んでいると汗をかくので、首や脇、袖などが汚れやすくなってしまいます。衣類に優しい、液体の漂白剤を塗って洗濯しました。
【漂白剤を使用】
かなりキレイになりました!
汚れ落ちだけでなく、消臭や除菌ができるのも嬉しいですね。
【洗剤のみ】
ワイシャツの襟元も汗や皮脂ですぐに黒くなります。一日着ただけでこの汚れです!
【漂白剤を使用】
漂白剤を入れると、この通り真っ白になりました。真っ白いシャツは、着ていても気持ちが良いですね。
5. 液体漂白剤の効果的な使い方
いつもの洗濯のときに、洗剤と一緒にキャップ一杯の漂白剤を入れるだけで、汚れやニオイを落とし、菌の増殖を防いでくれます。
今ではわが家も、洗剤と柔軟剤、そして液体の漂白剤をプラスして洗濯しています。
空気中の酸素によって皮脂汚れが酸化されると、汚れが黄ばみやニオイの原因となります。さらにホコリなどがつくと黒ずみの原因にもなります。
汚れは蓄積すると、時間の経過とともに落ちにくくなってしまいます。一見キレイに見える服の黄ばみ予防にも、普段の洗濯のときに漂白剤をプラスすることをおすすめします。
6. 粉末漂白剤は、洗濯槽もキレイにする!?
洗濯で粉末漂白剤を使用する前には、洗濯槽をキレイにしてから使用してください。過炭酸ナトリウムによって洗濯槽の汚れが剥がれ落ち、衣類に付着してしまう可能性があります。
主成分である過炭酸ナトリウムは、洗濯槽を掃除するのに使えます。塩素系とは違い、鼻にツーンとする独特なニオイがないのもポイントです。
一見キレイに見える洗濯槽。表面からは、汚れやカビなどは付着していません。
ここで粉末の漂白剤(過炭酸ナトリウム)を洗濯槽に投入します。目安は10Lに対して漂白剤が100ccです。
過炭酸ナトリウムはお湯(30℃~50℃)が効果的なのでお風呂の残り湯に少しお湯を足して使いました。(水が少し黄色く見えるのは、洗濯でも使える入浴剤なので問題ありません。)
次第に洗濯槽から浮かび上がってくる黒い点……! 汚れがこんなにあったことにびっくりです。
汚れが詰まるのを防ぐため、排水する前にネットで汚れを取り除きます。すすぎを2回以上して洗濯槽の中をしっかり乾燥させます。
これで洗濯槽の裏の汚れやカビがスッキリ!
洗濯槽が汚れたまま衣類を選択すると、ニオイの原因にもなります。2~3ヵ月に一度定期的に洗濯槽をキレイにすることをおすすめします。過炭酸ナトリウムは、使い続けると洗濯槽にカビが生えにくくなるという嬉しいポイントもあるので、継続して使用していくのも良いでしょう。
まとめ
毎日身に付ける衣類、毎日出る洗濯物。
ほんのちょっとの工夫で汚れは落ちやすくなります。漂白剤は汚れを落とすだけではなく、汚れの予防、除菌や掃除の役割もある万能な洗剤です。漂白剤を上手に使いこなせたら、お父さんのワイシャツやおしゃれ着も自宅で洗えます。クリーニングに行く回数も減るので、お財布に優しいですよね。
服がキレイだと気分も上がるのではないでしょうか。漂白剤を使って服も気持ちもピカピカにしませんか?
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