電気料金の仕組み!基本料金や電力量料金などの決まり方についても解説

月々の電気料金は、「電気料金=基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金」の計算式で算出されます。また電力量料金の算出式は「電力量料金=電力量料金単価×使用量+燃料費調整単価×使用量」です。このうち「電力量料金単価×使用量」の部分は節約努力によって減額が可能だといえます。

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■電気料金の内訳は?

「電気使用量のお知らせ」といった名前のついた電気料金・電気使用量の明細をじっくり見たことがありますか? よく観察してみると、請求予定金額欄の下部などに、電気料金の内訳が書いてあります。これらは何を意味するのでしょうか。

電気料金の内訳は以下のとおりです。この3つの合計が月々の電気料金となっています。

◼︎基本料金

◼︎電力料金

◼︎再生可能エネルギー発電促進賦課金

電力料金はさらに以下のように分けられます。

◼︎電力量料金単価×使用量

◼︎燃料費調整単価×使用量

使用量はご家庭のメーターの針から読み取ります。当月の指示数から前月の指示数を引いて、その月の使用電力量が決まります。

なお口座振替を利用している場合は上記合計額から割引されることもあります。

■基本料金とは

基本料金とは、契約アンペアごとに決められた一定の料金のことを指します。契約アンペアとは、同時に使用できる電気量のことです。一気にいろいろな電化製品を使ってブレーカーが落ちてしまった経験はありませんか? 

それは、契約アンペアを超えた電気量を使ってしまったことによるものです。

たとえばある電力会社を例に挙げると、10アンペアから60アンペアまで5アンペアもしくは10アンペアごとに契約アンペアが定められています。

各基本料金は、

・10アンペアで280.80円

・15アンペアで421.20円

・20アンペアで561.60円

といった具合です。

契約アンペアの色は、アンペアブレーカーの色によって判別できるのが一般的です。たとえばある送配電事業者の場合であれば、契約アンペアが10アンペアの場合は赤色、15アンペアの場合は桃色、といった具合に決まっています。

なお色と契約アンペアの組み合わせは送配電事業者によって異なりますので、利用している送配電事業者の色分けをチェックしてみましょう。


契約アンペアは任意で変更できます。頻繁にブレーカーが落ちてしまうという人は契約アンペアの変更を検討したほうがよいでしょう。ただし契約は年間契約が基本で、季節的に契約アンペアを変更できないのが一般的です。

たとえば、電気をあまり使わない春や秋には15アンペアで契約し、電気を多く使う夏や冬には30アンペアで契約する、といったことは多くの場合できません。

したがって契約アンペアを決める際は、1年または1日のなかでもっとも電気を多く使うタイミングを考えて決定しましょう。たとえば電気機器を同時に多く使いがちな夕食前・夕食時、冷暖房機器を使う真夏や真冬などの電気量を想定して決めてください。

なおアパートやマンションなどの集合住宅の場合は、契約アンペアを変更する際に所有者や管理人の許可が必要です。

契約アンペアを下げると基本料金は下がりますが、上乗せされる電力量料金は変わらなかったり、逆に増えたりすることもあります。基本料金を減らしても合計としての電気料金は必ずしも減るわけではありませんので注意しましょう。

■電力量料金単価の仕組み「三段階料金」とは

電力量料金単価とは、使用電力1kWhあたりの料金のことです。電力量料金単価は契約種別によって決まります。

契約種別とは、電力料金単価を決める電気料金プランのことです。契約種別はおもに以下の3種類に分かれます。


①従量電灯
24時間一律の電力量料金単価が設定されている契約種別です。もっともオーソドックスな契約種別だといえます。


②時間帯別電灯
一日を昼夜2つや朝昼晩3つの時間帯に分け、時間帯ごとに異なる電力量料金単価を設定している契約種別です。「夜得プラン」「朝得プラン」のような名前がついているのを見たことのある人もいるでしょう。

たとえば日中自宅にいないことが多く、夜に電気を使うことの多い人は、夜間に電力料金単価が低くなる契約種別を選べば、電気料金をその分安く抑えられます。

なお時間帯ごとおよび季節(2季節)ごとに電力量料金単価が設定されている契約種別もあります。


③ピーク抑制型時間帯別電灯
電気使用量がピークになる夏の午後3時間(北海道は冬期の夕方3時間)の電力量料金単価を高めに設定し、それ以外の時間帯の電力量料金単価を低めに設定しているタイプの契約種別です。

「ピークシフト」などという名前がついています。

電力量料金単価の多くは「三段階料金」となっています。

三段階料金制度とは、電気の使用量に応じて、電力量料金単価を3段階に変動させる制度のことです。省エネを推進する目的で昭和49年6月から実施されています。

第1段階は、国が保障すべき最低限度の生活水準である「ナショナル・ミニマム」の考えにのっとった料金で、比較的低額に設定されています。

第2段階は標準的な家庭における月ごとの使用量を踏まえた平均的な料金設定です。

そして第3段階は若干割高に設定されています。

たとえばある地域で従量電灯Bという契約種別で契約した場合、

・第1段階は120kWhまでで19.52円/kWh、

・第2段階は300kWhまでで26.00円/kWh、

・第3段階はそれ以上で30.02円/kWh

と設定されています。

もしこの電力量料金単価の地域で、ある月の使用量が60kWhだった場合は、第1段階の料金が適用され、19.52円×60=1171.2円の電力量料金という計算です。

以上を見るとわかるとおり、電力量料金単価は使用電力が少ないほど低くなるとともに、使用量に比例して電力量料金が決まることから、「電力量料金単価×使用量」は節約努力によって抑えられる部分といえるでしょう。また契約種別の見直しによっても額を抑えられる部分です。

■燃料費調整単価とは

燃料費調整制度とは、発電に必要な火力燃料(原油、LNG(液化天然ガス)、石炭)の価格変動を電気料金に反映させるための制度です。火力燃料の価格変動に応じて「燃料費調整単価」が毎月調整されます。

電気料金においては、この燃料費調整単価に月の使用量をかけた「燃料費調整額」として反映されています。

燃料費調整単価の計算式は以下のとおりです。なお燃料費調整単価は、小数点以下第1位で四捨五入されます。

◼︎平均燃料価格が基準燃料価格を上回った場合はプラスの燃料費調整単価になります。
燃料費調整単価=(平均燃料価格-基準燃料価格)×基準単価÷1,000

◼︎平均燃料価格が基準燃料価格を下回った場合はマイナスの燃料費調整単価になります。
燃料費調整単価=(基準燃料価格-平均燃料価格)×基準単価÷1,000

平均燃料価格とは、原油、LNG、石炭それぞれの燃料価格を原油換算1klあたりの価格に換算した計算用の燃料の価格です。原油、LNG、石炭それぞれにおける3か月間の貿易統計価格にもとづいて、毎月算定されます。

平均燃料価格は地域によって異なりますが、たとえば関東エリアの場合であれば、以下のような計算式で算出されます。

【平均燃料価格(原油換算1klあたり)=(3か月における1klあたりの平均原油価格×0.1970)+(3か月における1tあたりの平均LNG価格×0.4435)+(3か月における1tあたりの平均石炭価格×0.2512)】

なおそれぞれの平均価格にかけられている定数は、地域によって異なります。

また、上記の式の基準燃料価格は、電力会社が料金設定をする際に前提条件として用いる平均燃料価格のことです。

基準燃料価格と平均燃料価格の差額から、燃料費調整単価のプラスマイナスや額の大きさが決まります。

たとえば関東エリアの場合であれば、以下のように平成24年1月~3月における平均貿易統計価格から、原油換算1klあたりの基準燃料価格を算出しています。

◼︎1klあたりの平均原油価格 57,802円

◼︎1tあたりの平均LNG価格 67,548円

◼︎1tあたりの平均石炭価格 11,452円

→以上3点から算出し、基準燃料価格は原油換算1klあたり44,200円

基準単価とは、平均燃料価格が1,000円/kl変動した場合の燃料費調整単価のことです。たとえば関東エリアでは22.8 銭/kWhと決められています。

以上を踏まえて、燃料費調整額を具体的に見てみましょう。燃料費調整額は先述したとおり「燃料費調整額=燃料費調整単価×月の使用量」の計算式で算出されます。

たとえば使用量60kWhで燃料費調整単価が-4.6円/kWhだった場合、-4.6円×60=-276円がその月の燃料費調整額です。

電気使用量や電気料金の明細には燃料費調整単価自体が明記されていることはあまりありませんが、燃料費調整額を使用量で割れば、逆算で燃料費調整単価を導き出せます。

なお平均燃料価格、基準燃料価格、基準単価は、電力の提供エリアによって異なるため、この3つから算出される燃料費調整単価も地域によって異なります。ご自身のエリアについて調べてみましょう。

以上を踏まえると、燃料費調整額は原油などの燃料の価格に左右され、個人の努力ではあまり節約できない部分であることがわかるでしょう。

とはいえ、電気料金を見ることによって燃料の価格増減を身近に感じられるのは興味深いですよね。ニュースなども注意して見て、動向をチェックしておきましょう。

■再生可能エネルギー発電促進賦課金とは

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、「送配電事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」という法律によって定められている賦課金です。

送配電事業者は、太陽光や風力といった再生可能エネルギーによって発電された電気を、一定の期間中、国が定めた単価で購入することが義務づけられています。

この購入に必要な費用については、全国一律の単価で、電気を使用する人全員が負担します。この負担が再生可能エネルギー発電促進賦課金です。

なぜ再生可能エネルギー発電促進賦課金は全国一律料金なのでしょうか。

再生可能エネルギーの導入については、地域によってばらつきが生じる可能性があります。とはいえ、地域によって賦課金に格差があると不公平感が生まれてしまうでしょう。

それを避けるため、全国レベルで電気使用者の負担額を調整する「費用負担調整機関」が設置されています。

同機関は、各送配電事業者が全国一律料金で集めた賦課金をいったん回収します。そののち、各送配電事業者の買取費用に応じて、交付金を交付します。

このようにして、不公平感を防ぎながら、再生可能エネルギーの導入状況に応じて賦課金が使われるようになっています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は年度ごとに国が定めます。計算式は以下のとおりです。

【再生可能エネルギー発電促進賦課金単価=送配電事業者への交付金の見込額合計÷送配電事業者の想定供給電力量の合計】

月々の再生可能エネルギー発電促進賦課金は、以下の計算式で算出されています。

【再生可能エネルギー発電促進賦課金=再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×月の使用量】

たとえば使用量が60kWh、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価が2.25円/kWhであれば、2.25×60=135円がその月の再生可能エネルギー発電促進賦課金という計算です。

再生可能エネルギー発電促進賦課金の部分も、個人の努力で節約できる部分とはいえません。

とはいえ、再生可能エネルギー発電促進賦課金の額からは、日本全体の送配電事業者がどれだけ再生可能エネルギーを導入しているかがわかります。賦課金の部分が大きくなるのは電気料金を払う側からすると負担かもしれません。

しかし賦課金が大きいということは、それだけ日本の送配電事業者がエコなエネルギーを使うようになっているか、あるいは日本全体の電気使用量が減っているということを意味します。

賦課金の額は日本がどれだけエコな電気の使い方をしているかの指標になるといえるでしょう。

■まとめ

2016年から電力の自由化が実施され、電気料金を見直す機会が増えた人も多いかと思います。電気料金の仕組みを知ることは、電気料金をかしこく節約する第一歩です。毎月の電気使用量・電気料金明細の意味を細部まで理解し、ご家庭の電気料金を見直してみてはいかがでしょうか

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