グリーンと花のプロ・パーカーズ流・記憶に残る空間のつくり方

都内3カ所にある大人気のカフェ「Aoyama Flower Market TEA HOUSE」の内装を手掛けている、パーカーズ。有楽町のマルイ、表参道のバーなど、人気のショップや複合施設でその仕事を見られるのをご存知でしたか? 「TEA HOUSE」の空間のポイントを挙げながら、パーカーズ流の記憶に残るグリーンデザインを紹介します。家で使えるアイデア付き。

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今、注目を集めるデザイン集団・パーカーズとは?

 パーカーズ(parkERs)は、もともと青山フラワーマーケットのデザイン部として2013年に立ち上がった。青山フラワーマーケットの店舗デザインに加え、現在では、花と緑を効果的に用いて、他社の内装デザインも多く手掛けている。

 他社から仕事の依頼が来るきっかけになったのは、青山フラワーマーケットのオフィスだ。倉庫をイメージしたシンプルな空間に、マルシェにあるような什器や部材、グリーンを使ったシャンデリアなどを取り入れている。打ち合わせに訪れた人たちから「これをうちでもやりたい!」という声が多数上がり、活動の場が広がったのだそう。

マルイの有楽町店、グリーンのアーティストであるパトリック・ブラン氏と組んだコスチュームナショナルのバーの壁面緑化、羽田空港「ANA SUITE LOUNGE」。どれも、一度目にしたら、忘れられないほどのインパクトがある。パーカーズのチーフデザイナーである城本栄治さんは「記憶に残るグリーンを目指しています。驚きを与えて、もう一度、この環境に訪れたいと思っていただけるように。たとえ、今はグリーンや花に興味がない人たちにも、魅力を伝えていきたいですね」と語る。

羽田空港「ANA SUITE LOUNGE」のグリーンアレンジ。

既成概念を壊す。そして、顧客の半歩先を狙う

 パーカーズのチーフデザイナーの城本さんは、デザイン系の学校で学び、卒業後はキネティックアート(動きを伴う現代アートのひとつ)のアーティストのアシスタントに。その後、内装デザインの会社に入社。主にファッションのハイブランドの店舗の設計・施工に携わり、世界の第一線で活躍するクリエイターとも一緒に働くことで大きな刺激を受けたという。

 2000年、始動したばかりの青山フラワーマーケットに入り、今までにない花屋をつくるべく、新たな店舗デザインを考えていった。「当時はあまりインテリア業界の人達は花屋には手を付けておらず、可能性を感じました。年間で10以上の青山フラワーマーケットの店舗デザインをしていましたね。会社の根底にあるのは、お客様の半歩先の提案をすること」。


 花はかわいらしい、花は女性が好きなものという既成概念を壊し、男性的な空間をベースにデザイン。花のやわらかさや美しさと対比させて、花を引き立たせる空間を作り上げていく手法を取った。たとえば、鉄の塊を使ったカウンターや、H鋼(作業現場などで使われる柱)の内部に照明を仕込み、天井から吊り下げるなど、ファッションの店舗で培ったアイデアが生きている。


「単純にかっこいいものは誰でもつくれるんです。そうではなく、お客様の半歩先をつくらなければならない。今まで通りでもなく、尖りすぎたものでもなく。とても難しいのですが、半歩先のデザインだけが、お客様の心をつかみます」と城本さん。

カフェ「Aoyama Flower Market TEA HOUSE」の3つのポイント

パーカーズの代表作でもある、カフェ「TEA HOUSE」は温室やビニルハウスがテーマ。グリーンに包まれた心地よいカフェ空間をつくりたい、と店内には花と緑がとにかくいっぱい。大人気カフェを訪れたら、チェックしたいポイントは?

【グリーンの畝】

畑の畝(うね)のような直線につらなるボックスがあり、そこに鉢植えのグリーンや花が置かれている。南青山本店では畝をまたいでガラステーブルを配置。テーブル下の花がガラス越しに目に入ってくる。

【テーブルの花】
よく見ると、ガラステーブルに小さな穴が! そこから生花が顔を出している。赤坂Bizタワー店では、鉢植えの花ではなくて、土の中に試験管を仕込み、切り花を入れる手法を取った。試験管から花が生えているような見せ方に。壁・床・天井に加え、テーブルの上にも週ごとに変わる花を置き、常に植物に包まれている環境をつくり上げた。

【ガラステーブル】
ガラスと木を用いたテーブルはすべてオリジナルでつくりあげたもの。ファームハウス(農家)で使われている家具をイメージして、エイジングをかけた仕上げに。最近では、商品としても販売されている。

パーカーズが教える、家でグリーンを上手に取り入れる方法

【目線より上に吊るす】
グリーンに包まれている感覚を高めるためには、目線よりも上に植物がある状態を作り出すことが大事。リノベーションしたマンションなどでよくある配線ダクトなど、天井からグリーンを吊り下げると緑の量がアップしたように見える。



【行き止まりに大きな植物を!】
第一印象が勝負の分かれ目。ゲストが訪れた時に一番に目にするエントランスの正面に印象的なグリーンを置くこと。さらに、廊下の突き当りなど、視線が行き止まる場所に、背の高いグリーンを置くのがおすすめ。「家全体に取り入れるのは大変。少ない数で効果的に演出する方法を取りましょう」と城本さん。



【くつろぐ場所の近くに!】
ソファサイドに観葉植物を置くのもいい。ソファでゆっくりくつろぐときに、すぐ近くでグリーンを見ることで、リラックスの効果も高まる。



【西側の窓の前は意外な穴場】
西日が入る窓がある場合は、窓の室内側にグリーンを置いて。嫌な西日がやわらぎ、木漏れ日のような心地よい光が生まれる。

グリーンの演出を知り尽くしたパーカーズだからこそわかる、記憶に残る空間づくり。インテリアにも活用できるポイントがいくつもありました。まずは、グリーンや花に触れて、フレッシュな空気をどんどん住まいに取り入れてみてください!

◆取材協力/パーカーズ
◆Text:LIMIA編集部

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