テーマは緑の温室。「TEA HOUSE」の心地よさの秘密。

まるでそこは、小さな森。垂れ下がる緑の葉、壁一面を覆うグリーン、ガラステーブルには季節の花。どこを見てもグリーン、グリーン、グリーン! 植物に包まれたカフェ「Aoyama Flower Market TEA HOUSE」はどのように生まれたのか? 店舗デザインを手がけたインテリアデザイン集団・パーカーズの城本栄治さんに尋ねました。行列ができるほど大人気のTEA HOUSEの魅力に迫ります。

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心地よすぎるカフェ「Aoyama Flower Market TEA HOUSE」

 表参道駅のほど近く。フラワーショップ「青山フラワーマーケット」には色とりどりの花やブーケが並んでいます。店舗を奥へと進んでいくと、突然、緑に包まれた広々とした空間が! ここが、青山フラワーマーケットが手がけるカフェ「TEA HOUSE」の青山店。2012年にこの地にオープンして以来、根強い支持を集めています。

 レンガ壁は観葉植物に覆われ、天井からはつる性グリーン、ガラステーブルの下にも植物がぎっしりと埋め込まれています。思わず大きく息を吸い込みたくなるほどのフレッシュさ! 特別感のある場所でお茶をしたいと、多くの人がこのカフェを訪れるそう。現在、南青山本店のほか、赤坂Bizタワー店、アトレ吉祥寺店の全3店舗で展開する「TEA HOUSE」の空間デザインは、青山フラワーマーケットと同グループのパーカーズが手がけています。パーカーズ(parkERs)のチーフデザイナーである城本栄治さんにカフェが誕生するまでのストーリーを伺いました。

目指したのは「温室」。カフェスペースをグリーンで包む

城本栄治さん:TEA HOUSEを手がける「青山フラワーマーケット」がコンセプトは、“Living With Flowers Everyday・花や緑に囲まれた心ゆたかなライフスタイル”を提供すること。ブランドのスタート以来、花や植物を提供していましたが、商品の販売に加えカフェのような場を提案したいという思いをずっと持ち続けていたのです。その思いが形としてまとまってきたこともあり、南青山本店を増床しチャレンジしてみることにしました。


 カフェ全体をグリーンで包みたい! というイメージが強くあり、1年間構想を練りました。テーブルやフレームの実物大模型をつくり、グリーンいっぱいの感覚が味わえるかの実験を繰り返しました。2012年にTEAHOUSEの南青山本店がオープン。その後、2013年にアトレ吉祥寺店、2014年に赤坂Bizタワー店と次々にオープンしています。各店舗でそれぞれアレンジを加えているので、巡って違いを体感していただくのもいいですね!

花が最も美しい瞬間を体感してほしい

 花が最も美しい瞬間っていつだと思いますか? それは、茎を切る直前、ビニールハウスで育てられている状態だと思うんです。植物に関する仕事をしていれば、花を切る直前のみずみずしい状態を目にすることができますが、お客さんは見られませんよね。それならば、花を育てている温室をカフェとして再現してみたらどうだろう?という考えが生まれてきました。


たとえば、ワイナリーの中にあるテーブルで大勢が食事をするイメージ。畑の畝(うね)のように細長く直線状に連なるグリーンをテーブルがまたいでいるイメージ。人の背丈より高く生い茂った枝や葉のイメージ。そういった花のプロしか知らないビニールハウスの魅力的な景色、生き生きとしたグリーンに包まれた空間を再現したかったのです。カフェのガラステーブルには小さな穴があり、植物が伸びています。地面から花が生えたような場でお茶を飲んでもらおうとオリジナルで家具をつくりました。

レンガや鉄を使った空間にグリーンが映える

 カフェの中に入った瞬間に見える風景が、一般的な花屋のイメージと違いますよね(笑)。かわいい感じではないでしょう? ラスティックな温室というのも皆さんが驚かれるポイントだと思います。TEA HOUSEの南青山本店とアトレ吉祥寺店の壁はレンガになっています。レンガはグリーンや花と相性がよく、黒いフレームや墨モルタルは植物のやわらかさを引き立たせます。どの素材を組み合わせたらグリーンが美しく見えるのか、という点は常に意識して内装をデザインしていますね。

 青山フラワーマーケットとして常に大事にしていることは、既成概念を外すことです。花屋のカフェだからといって、安易にフェミニンなイメージにしない。手入れが楽だからといって、植物の量を減らしたりしない。そういった部分がたくさんの方から人気を集めた理由のひとつかもしれません。私たちとしても新しいことにチャレンジしたプロジェクトです。花とグリーンいっぱいの中で食事をする、今までにない心地よさをぜひ味わいに来てください。

プロフィール/城本栄治
しろもと・えいじ アパレルやフラワーショップなどのデザインで培ったセンスと経験をもとに、グリーンとインテリアの融合という、新しい分野のデザインに挑む。「人と植物の良い関係をつくりたい」という信念のもと、短期的で即物的なデザインでなく、長期的にコミュニケートできる”世の中に必要”な機能するデザインを常に生み出し続けている。

◆取材協力/パーカーズ
◆Text:LIMIA編集部

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