諏訪の家

敷地は諏訪湖近くの川辺に位置する。かつては水辺と対岸に連なる穏やかな自然により、風光明媚な場所であったことが想像できるところだが、河川の氾濫を抑制するために盛上げられた土手によって、水平に拡がるその景色が塞き止められてしまっているように思えた。一方、街路と土手に挟まれた土地の突端に位置するという極めて稀な状況でもあったことから、先端の持つ特異性、川辺と街並みを繋ぐようなその土地の特性を保持したいと考えた。
建築主の要望は、「寒冷地においても暖かく住める小さな家」「屋根付駐車場」「眺望の確保」といったシンプルなものであった。
軟弱地盤で、かつ多湿であることが想定される場所であったことから、漠然と高床式が相応しいと感じていた。地盤面から土手の高さを超えて持ち上げられた居住域は、眺望と開放性を取り戻すとともに、風が通り抜け、視界が拡がる大きな軒下空間を生むことになる。これがこの土地の固有性を保持することに繋がるように思えた。鋼管杭を高止まりさせ、その上に鉄骨と木造の複合フレームでつくられた単純なヴォリュームを乗せるという構成には、地盤面と建物を切り離し、土と構造物の接点を極力少なくする事による地盤面の環境保護、場の状況の継続というねらいも込められている。
持ち上げられた家型の内と外に漂う空気、川の流れのような気配を感じながら、この土地にしか無い豊かな暮らしが育まれる事を期待している。
長谷部勉

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Photo by Hiroaki Tanaka hasm.jp
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敷地の固有性と生活の多様性を読解し、その場所だけ、そこに住む人だけの豊かで快適な家づくりを心掛けています。長谷部勉(代表者)略歴1968年山梨県生まれ。’91年…

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