「過干渉な親」は口癖や行動でわかる? 親の価値観を押し付けられた子どもは…
過干渉は子どもにどのような影響を及ぼすのでしょうか。過干渉になってしまう親の心理やチェックリスト、また対応法など説明します。
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親の価値観を押し付ける「過干渉」
過干渉とは「必要以上に関与すること。一般的な限度を超えて関わること。過剰に干渉すること」とあります(実用日本語表現辞典より)。子育てにおいては、子どものすることに過度に口や手を出したり、親の考えや思いを一方的に押し付けることをいいます。
同じく行き過ぎた子育てには「過保護」があります。過保護は子どものしようとしていることを先回りして親がやってしまったり、子どもが望んでいることを何でも叶えてしまうことなど、要求に過剰に応えてしまうような場合をいいます。
それに対して過干渉は、子どもの嫌がっていることを強制的に続けさせたり、望まない方向に無理やり進ませたりすることをいい、そこでは子どもの意思や気持ちは無視されています。過干渉と過保護が大きく違うのはこの点です。
過干渉は子どもの意志や気持ちとは関係なく親がコントロールしたり、子どもの欲求や行動を制限するため、親子の信頼関係に溝ができたり、やがて子どもはストレスを溜め込むでしょう。
過干渉な親に育てられることで懸念される影響
過干渉で懸念される影響は以下のようなものです。
1. 自分を責める
親から出される指示や命令に対して、子どもは「親の言う通りにしなければ」「期待に応えなければ」といい子であるほど強く思います。しかし思うような結果が出せないと、自分を責めたり、罪悪感をもつことがあるでしょう。これはいい子であるほど強い傾向です。
たとえば「次のテストは、満点を取ってきなさい」と勉強の計画まで立てる親。このような場合、満点を取れなかった子は「頑張って勉強をしなかったから、親の期待に応えられなかった」と自己を責めることがあります。
2. 責任を転嫁する
いつも親の指示や命令で行動しているため、自分で考えて判断する経験が乏しく、責任感を育むことが難しいでしょう。そして失敗しても責任を他者に転嫁してしまう傾向にあります。
たとえば「自分で決めても、どうせ親が変えてしまうんだ、上手くいかなかったら親のせいだ」と思うようになるでしょう。
3. 無気力になる
自分の考えや思考、好みが否定され、親の価値観を押し付けられ、コントロールされ続けると、何をするのも意欲がわかず、積極性が失われていくでしょう。
たとえば「何を言っても無駄」「人生は親が決めるもの」と思うようになり、自分で考えることを避けるようになる場合もあります。そうすると、人生に対し無気力になっていくでしょう。
4. 突然キレる
嫌なことを続けさせられる、望まない方に進まされることが続くと、最初は親に従っていたものの、徐々にストレスを溜め込み、いつか一気に爆発する場合があります。
たとえば「親に嫌われたくない」という思いから従っていた子どもも、我慢しきれずに抑圧された感情が一度に噴出し、いわゆる「キレる子」になる可能性もあります。
5. 円滑な人間関係が築きにくい
親が子どもの思考や気持ちを無視しコントロールしようとすることは、言い代えれば「ありのままの子どもを認めていない」ということになります。親に認められない子どもは、自信を持てず、また友達も信じられなくなる傾向があります。
そして、親から常に支配される関わり方をされている子どもは、自分と友達との関係もそのようにしがちです。したがって円滑な人間関係を築くことが難しくなっていくでしょう。
過干渉である親は「子どものため」との思い込みから生じているので、このように健やかな成長を妨げるということに気づきにくいものです。
過干渉な親の心理を緩めていくために
過干渉な親は「もっときちんと育てなければ」「もっと頑張って子育てしなければ」と自分を駆り立てる気持ちが根底にあります。その気持ちが子どもへの度を越えた干渉に繋がるのです。
また子どもの頃に自身が親に認めてもらえなかったという体験がある場合、そこから自己に自信がもてず、過干渉になる親もいます。「子どもの評価は自分の評価に繋がる」という心配や恐れをもって、「よい親に思われなければ」と必要以上に子どもに口やかましく、行動を制御しようとすることもあるでしょう。
では、もし自分が過干渉な親では?と感じた場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
過干渉はその人の生き方に染みついていて、要因は親の成育歴からさかのぼることが多いものです。子どもに自分の価値観を押し付けることが普通になっているため、意識だけで変えるのは、難しい場合が多いでしょう。
ですので、チェックシートを作り「見える化」することをおすすめします。口癖や行動が何回当てはまったかを記録し、自分を振り返り、気づきを得てください。
そして自分に「子どもの意思に任せよう」「頑張るのは、ほどほどでいいよ」「子どもにはしっかり自分の人生を歩んでいるよ」など語りかけるのもよいでしょう。他に夫婦で、お互いにストレスが溜まらないように、話を聴きあったり、ケアをしあうことも有効です。
子どもへの関わり方を見直し、見守りましょう
子育てをしていくうえで、しつけやアドバイスは必ず必要です。たとえば、人に迷惑をかけることや社会のルールを乱すこと、また危険な行為などは、しっかり注意しなければなりません。
ですが、子どもの好みや意思、考えなどは、親がコントロールするのではなく、基本的には本人の気持ちを尊重しましょう。それらを親自身がきちんと区別しておく必要があります。
過干渉を対処することはすぐには困難ですが、「子どものため」という気持ちがあってのことですので、丁寧に努力をすれば改善されていきます。
少子化で、核家族が増え、また進学率の向上もあり、気が付けば子どもに関わり過ぎていることもあるかもしれません。少し子どもとの距離や関わりを見直し、過干渉にならないように健やかな成長を見守れる親でありたいですね。
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