ホトトギスの花を自宅で育ててみたい! ホトトギスを育てるポイント
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秋の茶花として用いられる、ホトトギス。白花に斑点が入る楚々とした風情が可憐で、古くから日本人に愛されてきた花です。日本で山野に自生してきたことからも分かるように、気候によく馴染み育てやすいのも長所の一つ。半日陰を好むため、シェードガーデンにも重宝するホトトギスを、ぜひ育ててみませんか? この記事では、基本情報からライフサイクル、種類、庭での生かし方、そして育て方まで、多岐にわたってご紹介していきます。
「ホトトギス」の基本情報
「鳥のホトトギスなら知っているけれど、植物にもホトトギスがあるの?」とピンと来ない方もいるかもしれませんね。ここでは、ホトトギスの基本情報について、詳しくご紹介していきます。
日陰に紫色の斑点の花を咲かせる
ホトトギスは、ユリ科ホトトギス属の多年草です。原産地は東アジアで、20種が分布するとされており、日本では約10種が自生。種類によって、花穂が立ち上がるものや下垂するものがあります。草丈は10〜100cmほど。
花弁に斑点が入る様子が、鳥のホトトギスの腹部に現れる斑点と似ているとして、この名前がつきました。別名に、油がはねたような斑点があるとして「油点草(ゆてんそう)」があります。花弁は6枚つき、サイズは2〜3cmとやや小ぶり。花色は白、紫、ピンク、黄などで、斑点が入らない種類もあります。
日本では南関東以西で主に太平洋側、山野の日陰地で自生。半日陰の場所を好み、夏の強い日差しや暑さをやや苦手とする性質です。
ライフサイクル
ホトトギスは多年草で、一度植え付ければ毎年花を咲かせてくれる、コストパフォーマンスの高い植物です。
生育期は3月下旬頃からで、春になると新芽が動き始めます。葉を旺盛に茂らせて、早い種類では7月頃から開花。11月上旬頃まで花を楽しめますが、最盛期は9〜10月頃です。その後、寒くなると茎葉を枯らして地上部から姿を消し、休眠します。枯れたと判断して抜き取って処分せずに、地際でカットしてそのまま置いておきましょう。越年し、また翌春になると目を覚まして新芽を出し始めます。
花言葉
ホトトギスの花言葉は、「永遠にあなたのもの」、「秘めた意志」、「永遠の若さ」など。これらの言葉は、ホトトギスの開花期間が長いことが由来となっているようです。
ホトトギスの種類
ホトトギスは、前述したように東アジアを中心に、約20種類が分布しています。ここでは、よく知られている主な種類についてご紹介していきます。
シロホトトギス
ホトトギスの白花種。日本原産種の一つで、北海道から九州に分布。山野のやや湿り気のある日陰地に自生しています。清楚な雰囲気をもたらす白い花弁が魅力。全体に斑点は入りませんが、花心あたりに黄色い斑点が見つかります。
タイワンホトトギス
台湾が原産地で、他に比べて真夏の強い光にも比較的耐え、強健な性質を持っています。茎は直立して枝分かれし、その頂部で房状に開花。ホトトギスの中でも生命力旺盛な性質を生かし、さまざまな園芸品種が生まれています。
ヤマジノホトトギス
草丈は30〜60cmほどで、ホトトギスに比べてやや小ぶり。開花期は7〜9月頃です。白い花弁に斑点が入り、花は平咲きになります。葉腋から花茎が伸びて2〜3輪が開花。花柱が太いのが特徴的です。
キバナノホトトギス
主に九州・宮崎県に分布している種類です。草丈は10〜30㎝で、やや小さめ。開花期は8〜10月で、鮮やかな黄色い花弁に小さな紫色の斑点が控えめに入ります。茎は直立し、上向きに咲く姿が可憐です。
ホトトギスを育てよう! ホトトギスの楽しみ方
野性味のある雰囲気を生かし、ナチュラルガーデンやロックガーデン、和風の庭で活躍します。また、半日陰で湿り気のある環境でもよく育つので、シェードガーデンや樹木の足元に植栽して、やや暗めの場所に彩りを添えてもよいでしょう。白花や黄色花は、洋風のガーデンにもよく似合います。
下垂する草姿のタイプは、ハンギングバスケットの縁に取り入れて、流れるようなラインを楽しむのも一案です。
ホトトギスの育て方
ここまで、ホトトギスの基本情報やライフサイクル、花言葉、種類などについて解説してきました。ここからは、育て方について、詳しく解説。植え付けから、水やりや追肥など日頃の管理の仕方、病害虫対策、増やし方などについて、幅広くご紹介していきます。
栽培環境(日当たりや温度)
基本的には、半日陰地が栽培適地です。
しかし、3〜7月の生育期は日当たりのよい場所で管理した方が、生育がよく株も大きくなります。梅雨が明けて真夏の強光線にさらされると、葉焼けして弱ってしまうことがあるので注意。また夏の暑さに弱い傾向があるので、真夏は直射日光が照りつけない、涼しい場所で管理するとよいでしょう。
冬は地上部が枯れて越冬します。寒さには強いほうで、関東地方以西の暖地では防寒対策の必要もなく屋外で越冬します。しかし、寒さが厳しい地域では、鉢に植え替えて軒下などで管理するか、地植えしている場所に腐葉土やバークチップなどでマルチングをしておくとよいでしょう。
土づくり
【鉢植え】
あらかじめ山野草の栽培用に配合された、市販の培養土を利用すると手軽です。
【庭植え】
水はけ、水もちのよい土壌を好みます。植え場所に直径、深さともに30cm程度の穴を掘りましょう。掘り上げた土に腐葉土や堆肥、緩効性肥料などをよく混ぜ込んで、再び植え穴に戻しておきます。
植え付け
ホトトギスは種まきからでもスタートできますが、花が咲くまで管理の手間がかかるため、花苗店で苗を購入するのがおすすめです。
植え付けの適期は、新芽が動き始める前の3〜4月です。7〜10月に花苗店などに出回る開花株を買い求めた場合は、植えたい場所へ早めに定植します。
【鉢植え】
鉢の大きさは、6〜7号鉢に1株を目安にします。用意した鉢の底穴に鉢底ネットを敷き、軽石を1〜2段分入れてから培養土を半分くらいまで入れましょう。ホトトギスの苗をポットから取り出して鉢に仮置きし、高さを決めます。水やりの際に水があふれ出さないように、土の量は鉢縁から2〜3cmほど下の高さまでを目安にし、ウォータースペースを取るとよいでしょう。土が鉢内までしっかり行き渡るように、割りばしなどでつつきながら用土を足していきます。最後に、鉢底からたっぷりと水が流れ出すまで、十分に水を与えましょう。寄せ植えの素材として、大鉢にほかの植物と一緒に植え付けてもOKです。
【庭植え】
土づくりをしておいた場所に、入手した苗の根鉢より1〜2回り大きな穴を掘って、植え付けましょう。最後にたっぷりと水やりをしておきます。
水やり
ホトトギスは乾燥に弱いので、水の管理には注意が必要です。
【鉢植え】
日頃から水やりを忘れずに管理します。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出すまで、たっぷりと与えましょう。茎葉がややだらんと下がっていたら、水を欲しがっているサイン。植物が発するメッセージを逃さずに、きちんとキャッチしてあげることが、枯らさないポイントです。
特に真夏は高温によって乾燥しやすくなるため、直射日光が当たらない半日陰の場所で管理し、朝夕2回の水やりを欠かさないように注意します。真夏は気温が上がっている昼間に水やりすると、水がすぐにぬるま湯になって株が弱ってしまうので、朝夕の涼しい時間帯に行うことが大切です。
冬に休眠したら、水やりは控えめにしてOK。4〜5日に1度を目安に、表土が乾いたら与える程度でよいでしょう。
【庭植え】
植え付け後にしっかり根づいて茎葉をぐんぐん伸ばすようになるまでは、乾いたら水やりをしましょう。根づいた後は、地植えの場合は下から水が上がってくるので、ほとんど不要です。ただし、真夏に晴天が続いて乾燥が続く場合は水やりをして補いましょう。真夏は昼間に水やりすると水の温度が上がってすぐお湯になってしまうので、朝か夕方の涼しい時間帯に与えることが大切です。
肥料
追肥の適期は生育期の3〜6月、9月中旬〜10月です。やや苦手とする真夏に肥料を与えると根が傷むので、この時期は肥料を与えないことがポイント。休眠中も不要です。
【鉢植え】
追肥の適期に、月に1回を目安に緩効性化成肥料を施し、株の勢いを保ちます。10日に1度を目安に、液体肥料を水やり代わりに与えてもかまいません。
【庭植え】
追肥の適期に、月に1回を目安に、緩効性化成肥料を株まわりに施し、生育を促します。株の状態を見て勢いがないようであれば、液体肥料を水やり代わりに与えて、様子を見ましょう。
植え替え
ホトトギスは、一度植え付ければ毎年花を咲かせてくれる、息の長い植物です。成長とともに根詰まりしたり、大株に育ちすぎたりするので、定期的に植え替えをして、株の若返りを図りましょう。植え替えの適期は、3〜4月です。
【鉢植え】
ホトトギスは生育旺盛なため、根詰まりを起こすことがあります。1〜2年に1度は植え替えましょう。植え替えの前に、水やりを控えて鉢内の土を乾燥させておきましょう。鉢から株を取り出し、根鉢を少しずつ崩していきます。不要な根を切り取り、1/3くらいまでを目安に根鉢を小さくしましょう。これ以上大きくしたくない場合は同じ鉢を用い、もう少し大きくしたい場合は2回りくらい大きな鉢を用意し、植え替えます。手順は「植え付け」の項目を参考にしてください。
【庭植え】
地植えでは3年ほどはそのまま育ててかまいませんが、旺盛に生育して株が込み合っているようなら3〜4月に掘り上げて株分けし、植え直します。手順は「植え付け」の項目を参考にしてください。
ホトトギスの増やし方
ホトトギスは、株分けして増やすことができます。大株に育ったら、株を掘り上げて土を落とし、2〜3芽つけて根を切り分ければ、その分株の数も増えるというわけです。株分けの適期は3〜4月です。大株に育つと、存在感が大きくなりすぎて持て余してしまうこともあるのではないでしょうか。株を小分けにすることで、株が若返って再び勢いよく生育するメリットもあります。
また、さし芽でも増やせます。適期は5月中旬〜6月。春に伸びた若くて勢いのある新しい茎を選んで切り取ります。市販の園芸用の培養土を育苗用トレイなどに入れて、採取した茎を挿しておきます。直射日光の当たらない明るい場所で、水切れしないように管理を。発根したら黒ポットなどに植え替えて育成します。大きく育ったら、植えたい場所に定植しましょう。さし芽で増やすメリットは、採取した株のクローンになることです。
ホトトギスは、種まきでも増やせます。秋の開花後、11月頃に種を採取。密閉容器に入れて保存しておきましょう。翌年の3月頃に、種まき用のトレイに園芸用培養土を入れて種をまき、霧吹きで水やりします。発芽後、込んでいる場所があれば間引きましょう。本葉が2〜4枚ついたら、鉢上げのタイミングです。直径6cmの黒ポットに園芸用培養土を入れ、苗を植え付けます。表土には緩効性肥料を置き肥し、最後にたっぷり水やりを。その後は、1〜2週間に1度を目安に液肥を施して育苗します。
美しく元気に育てるためにこの病害虫に注意!
病気は、モザイク病などウイルス性の病気が発生することがあります。葉に斑点が現れるなど病気の症状が現れたら、抜き取って処分し、周囲に蔓延するのを防ぎましょう。ウイルス病はアブラムシが媒介することが多いので、アブラムシの防除に努めることも大切です。
害虫は、アブラムシ、ヨトウムシ、ナメクジなどが発生しやすくなります。適用する薬剤を散布して防除するとよいでしょう。
斑点が個性的なホトトギス! 自宅で育てて楽しもう
ここまで、ホトトギスのプロフィールからその特性、育て方など、幅広くご紹介してきました。野趣に富んだ花姿は、夏〜秋の庭で個性を発揮します。昔から日本に自生してきた植物なので、育てやすく手がかからないのもメリット。素朴な花姿が魅力のホトトギスを、庭に取り入れてはいかがでしょう。
Credit
文/3and garden
ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。
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